ニセモノの魔法使い

新谷風

高校浪人回避のために、こんなふうにしてよかったのだろうか

試験

第1話

新田にったくん……」

担任が、気まずそうな顔をした。

俺も、つられて苦笑いをする。


高校全落ちした。


受けた高校が、全部落ちた。

滑り止めも。

何もかもだ。



「で、どうするの?達磨たつま、高校浪人?」

友人の中山秀が、イスを反対向きに座った状態できいてくる。

教室は何人かが残っていて、受験結果報告後の余韻に各々浸っていた。

「どうにか定員割れした高校を探す。んで、追加で試験を受ける」

「へ〜え、大変だね」

ちなみにこいつは名門私立の九条高校が合格しているから、余裕だ。

ムカつくことに、あっさりと日本でも指折りの難関高校を合格したのだ。

ロシア人の祖父をもつため、グレーっぽい色の髪に、少し日本人離れな彫りの深い顔立ち。

肌は職人が丁寧にこしらえた陶器みたいに、白くて透明感がある。

勉強もできて顔もいいなんて、卑怯だ。

「……九条受けたら?」

「はぁっ!?」

名案とばかりに、秀は言う。

「ばっかじゃねぇの!?九条なんて定員割れとは一番縁遠い場所にある高校だぞ!倍率いくつあったか教えてやろうか!?」

俺はさすがに腹が立ってきた。

自分が余裕で受かったからって、コノヤロウ。

「あ〜、違う違う。そうじゃくてさ」

秀はヘラヘラと手をひらつかせて笑う。

「それは普通科の話でしょ」

俺は最初、こいつが何が言いたいのかわからなかった。

「普通科の話以外、なんの話があるんだよ。ばか」

「ふふっ」

どこか薄気味悪く、何百年も生きてきたような歪んだ笑顔を見せた。


「魔法科が、あるじゃないか」

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