魔力計測とチームメイトと潜む影Ⅷ

 家に入ると憩依はすごい勢いで階段を駆け上がり自分の部屋に戻った。オレは幸さんと軽い雑談をし、部屋に戻った。部屋に戻った後は端末を取り出し、マザーにこの日の出来事を伝えた。学校で初めてできたチームメイトのことや、初めての授業ことなどを伝えた。マザーは穏やかな調子で相づちを打ってくれた。そしてもちろん、魔力計測の結果や、憩依の周りに何かが付きまとっていることを報告した。マザーはしばらく間を置き、応答した。


「珍しい現象ね。実際に見たことはないけど、どこかに資料があるかもしれない。宮内憩依については引き続き彼女の護衛をお願い」


「わかってる」


 こうした会話をしていると、部屋の扉がノックされた。扉の向こうから憩依の声が聞こえた。だからオレはマザーにおやすみ、と言って通話を終了し、扉を開けた。扉の向こうではパーカーを着た憩依がハードカバーの書籍を抱えていた。憩依はオレの許可も求めず、部屋の敷居をまたぎ、オレの机の上に抱えていた本をドサリと積み上げた。本のタイトルには「魔術」「魔力」のどちらかのワードが必ず記されている。


「私が入学した頃に使ってた学術書。今日からこれを使って勉強するから」


 そう言って憩依はオレに机に座るように促した。今からやるのか、と尋ねると、憩依はニコニコと笑みを浮かべた。しょうがない、やってやるか。と割り切り、椅子に腰を降ろすと、憩依が一緒に学術書の内容を確認しようと顔を寄せてきた。サラサラした髪からはトリートメントの香りがする。目を尖らせることは多いけれど、やはり女の子だと思った。また、彼女の胸元からは微かに機械音が聞こえていた。

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