第199話 結衣の作戦

「た、確か……に……やれる、かも……しれない……けど……」

「それが上手くいく保証はないわよね?」

「だけど、やるしかないですよ……!」

「そうですにゃ! ガーネットを助けることが出来るならなんだってやりますにゃ!」

「まあ、そうだね。ここでグズグズしてたって仕方ないし」

「一発ドッカーンとどデカいのかましてやりまひょう!」

「少しでも可能性がアルなら、やってみる価値アリデスヨ!」


 結衣の作戦を聞き、みんなそれぞれ自分の思いを口にする。

 そして、意見がまとまったらしいみんなは、一斉にガーネットを見据えた。


「そろそろいいですかぁ? ちょっと疲れてきたので次で最後にしましょう」


 ガーネットが面倒くさそうに言い、地を覆うように翼を大きく広げた。

 それと呼応するように、みんなはそれぞれの武器を携えて身構える。

 結衣と魔央もいつでも行けるように槍を構える。


 ガーネットが翼を打って、結衣たちに襲いかかった。

 それを合図に、みんなが一斉にガーネットに武器を放つ。

 さっきと似たような光景。だが――


「これぐらい避けれます」


 そう言って、目の前に迫り来る無数の攻撃を難なく避けた。

 さっきのあれで既に慣れてしまっているようで、ものともせず、普通に空を飛んでいる。

 その様子を見て、魔央はイラッとしたようだ。


「なんなんだアイツ。カッコつけちゃって」


 顔に怒筋を奔らせた魔央を、結衣は必死で宥める。


「き、気持ちはわかるけど落ち着いて。私たちがしなきゃいけないことをやるよ?」

「……チッ。後で覚えておけよ」


 一応は怒りをおさめてくれた魔央だったが、後で何をしでかすかわからない。

 ……ガーネットに勝って、それを忘れてくれればいいのだが。


「よし、行くよっ!」

「おうっ!」


 結衣は四つ羽を羽ばたかせ、魔央は蝙蝠のようなマントを広げた。

 そして、ガーネットの元へと加速する。

 前方から迫る脅威に、ガーネットは楽しそうに笑う。


「――増幅ブースト!」


 ガーネットも、結衣たちと同じように加速する。

 ……とてつもない力同士が、激しくぶつかり合おうとしていた。

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