第100話 本屋に行こう!

「……ねぇ、結衣。このあと……暇……?」

「……へ?」


 急に真菜から電話が入った。

 結衣は突然何事かと思ったが、どうやら遊びの用事らしい。

 今日は特にやることもなかったので、快く承諾する。


「でね……結衣と、一緒……に、行きたい……ところが、あって……」


 そのあとの一言で、結衣は全てが消し飛んだ。


 ☆ ☆ ☆


 結衣の目の前には、楽園が広がっている。

 正確に言うと、赤色で『本』と、でかでかと書かれた建物がドンッと構えている。


 そう、学校の近くに新しい本屋ができたらしいのだ。


「も、もう我慢できない……! はぁ……はぁ……」

「……なんか……結衣、いかがわしい……こと、してる……みたい……」


 結衣が住んでいるところは、あまり都会とは言えない街。

 そういうところには、こういう大きい本屋は近くにないので、結衣は興奮している。


 それを、若干引き気味に真菜が見ている。

 そして、ガーネットも――


「ぶふっ。結衣様は本当に面白い御方ですねぇ〜。見ていて飽きないですよぉ」


 まだ人目の少ない時間帯だからか、盛大に笑っている。


 いつも通りの、なんて言うか。ぶっ飛んだ会話をし、結衣たちは店内に入る。

 もちろんガーネットには一発お見舞いしてやった。


 今頃はカバンの中で伸びているだろう。

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