第9話:錬金術師
「ヤマミチの膂力でもダメとなっては、これはお手上げなのじゃ。まあ、疑いが晴れれば、ここから出してもらえると思うのじゃが……」
「それは虫の良すぎる話じゃないかニャー? だいたい、どこの誰が、あちきたちの無罪を証明してくれるんだニャン? あちきは一人前・
「おぬし……。
ルナ=マフィーエがあからさまに肩を落とし、深いため息をつく。それを見た
(こういう時って、ご都合主義展開が発動するはずです。僕のジャケットのポケットや、ズボンのポケットに何かこう、牢屋の鉄格子をどうにかできるものがきっとあるはずです。って、そんなわけありますかっ!)
するとだ。
「ええ……。何かあるかと思って、ポケットを探っていたんですけど……。なにやら錆びた鉄の鍵が……。もしかして、これで牢屋の鍵が開くってことはない……ですよね??」
そして、左右にカチャカチャと回し……。
ガチャンッ! と、牢屋の鍵が開いてしまうのであった。
「えっと……。牢屋の鍵を僕が持っていたようです」
「ど、ど、どういうことなのじゃ!? なんで、ヤマミチが牢屋の鍵を持っているのじゃ!?」
「あちき、何だか怖いニャン……。ヤマドーは手を出してはいけない禁忌の領域に触れたんじゃないかって、思ってしまうニャン」
「いやいや、僕だって、うすら寒すぎて、さぶいぼが身体に浮き出てくるくらいなんです。決して、僕が怪しいわけじゃないんですぅ!」
「じゃあ、どう説明するニャン!? ヤマドーは
アズキ=ユメルが心底、気持ち悪いといった感じで両手で二の腕を抱え込んでいる。まるで、悪魔を見るかのような目つきだ。しかし、
「そうそう! 僕の隠された二つ名は『
「う、ううん? ヤマドーは見た目、屈強な戦士のような体つきなのに、『
「まあ、細かいことはこの際、いいんじゃないかニャン?
「そうです、そうです。ここから脱出できるこのほうが重要なんです。過程なんてどうだっていいんです。結果が全てっ! それこそ
「ま、まあ、そういうことにしておくのがよさそうというのは察したのじゃ」
「あちきもそういうことで納得しておくニャー。ヤマドーが禁忌の力に手を出して、神罰を喰らう時は、あちきはヤマドーから物理的に距離を空けるんだニャー」
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