第385話 まさか、エラに救われる事になるとは……
女の年頃は二十歳ぐらい。頭には猫耳がニョキっと出ていることからナーモ族なのだろう。戦闘モードになったミールの分身体の様なビキニアーマー姿だが、その身体は筋肉質でアマゾネスを思わせる風体だ。
整った顔立ちであるが、その顔は猟奇的な笑みを浮かべていた。
女はビシッと僕を指さして言う。
「やっと、見つけたぞ」
え? 見つけたって? 僕の事か?
「私の可愛い妹、ミールを寝取った憎い男め」
え? え? え? ミールが妹? あ! という事はミールの姉弟子のサラとかいう人……
デジカメで見ると、サラの身体は出現消滅を繰り返している。これは分身体のようだ。
「覚悟せい!」
サラの分身体は、巨大な戦斧を構えた。
やばいな。足の修復が終わるまで後十秒。避ける事ができない以上受け止めるしかないが、あれって九九式の装甲で防げるかな?
「よせ! サラ! 停戦命令が出ているぞ」
そんな事を言ったのは、意外な事にエラだった。
サラは一度立ち止まり、エラの方をふり向く。
「黙れ、エラ。ナンモ解放戦線の正式メンバーでもないくせに口を挟むな」
まだ正式メンバーになっていないのか。
「それにこれは私闘だ。私から可愛い妹を奪った男への復讐だ」
「では仕方がない」
エラの『では仕方がない』を黙認するという意味と取ったのか、サラは戦斧を構えなおして僕に向かってきた。
だが、エラは黙認するつもりで言ったのではなかった。『では仕方がないから始末しよう』という意味だったのだ。
エラが放った数発のプラズマボールを浴びて、サラの分身体は消え去った。
まさか、エラに救われる事になるとは……
「気をつけろ。今、私が消し去ったのは分身体だ。本体が生きている限りいくらでも沸いてくる」
いや、説明されなくても知っているよ。エラ……
そんな事より……
「いったいどういう事なんだ? なぜ僕があの女から憎まれる?」
相模原月菜が僕の前に進み出た。
「今の女はナーモ族の分身魔法使い、ラ・バン・サラよ。心強い味方なのだけど、妹弟子ミールちゃんにラブの
「同性愛? いや……そういう人を差別しちゃいけないとは思うが……ミールはノーマルだぞ」
「サラはミールちゃんとは相思相愛だと思っていたみたい。ただし、それはサラの思いこみによる勘違いだったようね」
ということは、ミールが僕と恋人になったという噂を真に受けて……
「エラ……なぜ邪魔をする?」
もう次の分身体が出てきた?
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