第5話
どうやら屋台のおじさんとおばさんが紹介してくれたエルフの可愛い店員さんがいる食事処件宿屋は普通の人間には見ることもできなかったようであります。
っていうか、なんで私もマリアもそんなところに入店できてしまっているのだろうか。
「おお!驚いてるな。その反応好きだぜ。」
「はあ。まあ、どうも・・・。」
「失礼ですが、貴方もエルフなんですか?」
ガハハッと豪快に笑うおじさんに確認する。
「ん?俺はエルフじゃないぞ。この王都にあるダンジョンマスターのガーランドだ。私のことはガー様と呼べ。」
「へ?ダンジョンマスター?なんですかそれ?」
思わず聞き返してしまった。ダンジョンマスターってあまり聞いたことがない。
それに、ガー様って・・・。ガー様と呼べってそんな・・・。
自分で様つけて呼べって言っちゃうだなんて、なんというか・・・。
いろいろ突っ込みたいけど我慢をして、ダンジョンマスターってところだけ聞いてみる。
その仕事?は人間だとできないのだろうか。
「ダンジョンを管理運営する者のことよ。こうしてダンジョンマスターに会ったのは初めてだわ。人前には姿を現すことは滅多にないと聞いているのに。」
ダンジョンマスターの件についてはマリアが教えてくれました。
この世界では一般的な名称だとか。
ただ、誰も会ったことがないので実際にいるのか、それともただの空想なのかはわからないということだった。それでも、目の前にいるのだから実際にいるのだろうね。各ダンジョンにダンジョンマスターが。
「そういうことだ。嬢ちゃん詳しいな。」
「知識として知っているだけで、実際に会ったのはガー様が初めてよ。」
ああ。
マリア、本当にガー様って言っちゃうんだ。
「どころで、ガ、ガー様。どうしてここにいるんですか?」
「ん?俺がいたらまずいのか?いろいろあるんだよ、いろいろとな。俺だってお腹が空くの。美味しいものが食べたいの。でも、俺って人間には見えない存在だからさ。エルフがやってる食堂に来てるってわけ。わかった?俺も大変なのよ。」
「は、はあ。って!人間に見えないってどういうことですか?私もマリアもガー様のことははっきりと見えるのですが・・・。」
なにやらガー様も突っ込みどころの多い人だ。
それにしても、ガー様の姿が人間には見れないとはどういうことだろうか。
私もマリアも確かにガー様の姿を見れているのに。
「そうなんだよなー。なんでお嬢ちゃんたちに俺の姿が見えるのか不思議なんだよなぁー。お嬢ちゃんたちは人間だよな?」
さも不思議そうにガー様が聞いてくる。
私はもしかすると異世界からの迷い人だからガー様が見れるのかもしれない。
けれども、マリアは普通の人間のはずだ。
いったいこれはどういうことだろうか。
「そうね。私は人間よ。マユも人間だわ。でも、マユは異世界からの迷い人なの。それが関係しているのかしら?」
どうやらマリアも私と同じ結論らしい。
だが、ガー様は首を横に振った。
「いや、異世界からの迷い人だから俺の姿が認識できるということはないはずだ。今までも何回か異世界からの迷い人の前に姿を見せてみたが、まったく反応しなかったからな。」
どうやら異世界からの迷い人ってことが関係しているわけではないようだ。
では、いったいどういうことなんだろう。
「他には・・・変わったことはないはずよ。」
マリアも私と同じ認識のようだ。
そうだよね。
考えてみても、私が異世界からの迷い人ってことだけで、その他は普通の人間と変わらないはずだ。
「・・・ふむ。お嬢ちゃんたち・・・まさかとは思うが、ダンジョン内の最下層のボスの血や肉を食べたりしていないか?」
「えっ?というか、ダンジョンに入ったことがありません。」
「私もダンジョンに入ったとしても2階層までよ。とても最下層なんて無理だわ。」
「そうか・・・。最下層のボスの血肉を食した者がで俺の姿を見れる奴が過去にいたからそうかと思った。それ以外だったら俺に心当たりはねぇなぁ。」
そう言ってガーさんは考えこんでしまった。
そうだよね。
ダンジョンの最下層っていったらキャティーニャ村のダンジョンだったらレベルが100はないと最下層に潜れないとか聞いたことがある。
私はダンジョンというか戦闘とは無縁の生活を送っていたから、ダンジョンの最下層に潜るなんてことはできないし、ごく普通の村娘であるマリアも最下層までは潜ったことがないようだ。
「・・・最下層のボスの血肉がどこかで売られていた・・・とか?もしくは食事に混ざってた・・・?」
マリアはそんなことを呟いた。
だが、ガーちゃんがその考えを一掃する。
「最下層のボスの血肉が売られてたって話は聞いたことがあるが、ただとても高価だから一般人には買うことはできないだろう。それに、そんな高価なものを食事にこっそり混ぜるだなんてもっとあり得ないだろう。」
「・・・確かに、そうね。」
そうだよね。ダンジョン最下層のボスの血肉だもの高いよね。きっと。
・・・ん?
・・・あれ?
キャティーニャ村のダンジョン最下層の・・・ボス?
「あああああああああ!!!!心当たりありますっ!!!!」
心当たりが一つだけ思い浮かんでしまって、思わず叫んでしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます