第154話

 


『ほ、ほんとーに・・・本当に・・・行くのであるか?』


「うん。もちろん、行くわよ。だって、ミルトレアちゃんを探さないといけないもの。」


次の日、駄々をこねるプーちゃんを説得することになった。


朝、起きてから皆で朝食をとった。


そのあと全員で呪われた大地に行くことになったんだけれども、ここでプーちゃんが幽霊・・・もといミルトレアちゃんが怖いから行きたくないと言い出したのだ。


プーちゃんが一緒に行ってくれれば呪われた大地まで一瞬で行けるんだけどね。歩いていくと結構時間がかかるから。


なのでしょうがないからプーちゃんにはお留守番していてもらうことにしたんだけれども・・・。


マーニャ曰くこの家にも幽霊がいるということなので、プーちゃんが一人で残るのを怖がっているような状態だ。


呪われた大地に行きたくもないし、家にいたくもない。


なんとも難儀なことだ。


『・・・頼むから、我をおいていかないでくれ。』


「う~ん。じゃあ、プーちゃんも一緒に来る?」


『・・・いやなのだ。無理なのだ。怖いのだ。』


うん。埒が明かない。


どうしたものかと空を仰ぐ。


すると、何かと目が合ったような気がした。


慌てて目をこする。


何かと視線がバッチリと合ったような気はするのだが、そこには何もない。


ただ、家の天井があるだけだった。


いったい、今のはなんだったんだろう。


「困りましたね。ミルトレアちゃんを探しに行かなければならないのに。あ、そうだ。皇后様のところに行ってますか?」


ポムッと手を打って、マコトさんが助け舟を出してくれた。


ああ、プーちゃんを別の人に預けるっていうことね。


うん。その考えいいかもしれない。


『・・・うむ。まあ、妥協してやろうではないか。』


プーちゃんもなんとか納得してくれた。


というか、人間の側にいたいんだね。プーちゃんってば可愛いところがあるなぁ。


ああ、そっか。寂しくて精霊を作ってしまうくらいだものね。


一人は寂しいんだろうなぁ。


『?皇后さまのところにも幽霊いっぱいいたよー。』


『なっ!!?』


『プーちゃんのいたダンジョンの中にもいっぱいいたよねー。』


『うん。いたねー。』


おぉう。


マーニャたちからいらない援護射撃が来た。


どうやら幽霊というものはどこにでもいるようです。


ってか、ダンジョンにもいたってなんでプーちゃん気づかなかったんだろう。


案の定、プーちゃんはマーニャたちの言葉にその場でカチンッと固まった。


 


・・・で、結局どうなったかというと、プーちゃんも一緒に呪われた大地に行くことになりました。


どこにいても幽霊がいるのであればマーニャの側がいいという選択方法だったことは言うまでもない。


 


「やっぱりプーちゃんの転移だとあっという間につくね。」


「そうね。プーちゃんってばすごいわ。」


「ほんとうに、とても素晴らしい研究材料ですよ。ふふふふふっ。」


『そうだろう。そうだろう。我はすごいのだ。もっと褒めるがいい。』


プーちゃんの転移魔法のお陰で歩いたら数時間かかる呪われた大地にもあっという間につきました。


さっそくミルトレアちゃんの捜索開始です。


「マコトさん。ミルトレアちゃんらしき生命反応はありますか?」


魔道具を片手に持っているマコトさんに尋ねる。


この魔道具は呪われた大地から集落を探すときに使用した例の使えない魔道具だ。


「いやぁ。しっかり成長しましたねぇ。ここの作物たちは。すごいなぁ。すごいなぁ。」


ああ・・・。マコトさんってば話を思いっきりそらした。


この分だと作物の生命反応が多すぎて判別できないんだな。きっと。


というか、シロもクロもミルトレアちゃんには気配がなかったというから、マコトさんの魔道具に反応するかどうかも微妙なんだけどね。


さて、どうしたものかと思案していると、プーちゃんの背中に乗っていたマーニャがあさっての方をじぃーっと見つめていた。


ちなみにマーニャには寒くないようにマコトさん特性のホカホカ君という魔道具を持たせている。


この魔道具のすごいところは周囲の魔力を使用して回りの空気を温めることができるということだ。


なんとも画期的な魔道具だと思ったのだが私たちは使用していない。


なぜならば、魔力があると魔道具が使えないからだ。


この魔道具はマコトさんが魔力がない人がいつでも暖かくすごせるようにと作成したらしい。


んで、肝心なところはここからだ。


この世界、猫様以外は多かれ少なかれ魔力を持っているのだ。


そのため、このホカホカ君を使用できるのは猫様だけという限定された魔道具だった。


そんな魔道具を使用しているからかこの太陽がでない寒い大地でもマーニャものびのびと動くことができる。


そのマーニャが上空の一点をじぃーっと見つめているのだ。


気にならないはずがない。


「マーニャどうしたの?」


『・・・ミルトレアなの。』


「・・・へ?」


『ミルトレアここにいるの。』


「「「ええっ!!」」」


『なっ!!!?』


どうやらマーニャはさっそくミルトレアちゃんを見つけたようです。


 


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