第121話
「プーちゃんっ!?」
「あ、ちょうどいいところに来てくれましたね。」
突然私たちの目の前に現れたのは、レコンティーニ王国から初代女王様の魔力で弾き飛ばされてしまったプーちゃんでした。
って、今考えるとプーちゃんを弾き飛ばすほどの魔力って初代女王様なにものっ!?って感じだよね。うん。
しかし、なんてちょうどいいタイミングでプーちゃんが来てくれたんだろうか。
プーちゃんがいれば、空からどこに集落があるのか探すことができる。
『マユ殿ぉ~。会いたかったのだぁ~~~!!!』
プーちゃんが目にいっぱいの涙を浮かべてこちらに向かって飛んでくる。
「プーちゃん!私も会いたかったよ。」
手を広げてプーちゃんが飛び込んでくるのを待つ。
プーちゃんは私の手を目掛けて勢いよく飛んできた。
『マユ殿ぉ~~~!!』
「ぎゃっ!!」
あまりにも勢いよく飛び込んでくるものだから、私はプーちゃんを受け止めきれずに後ろに倒れこんだ。
もちろん、プーちゃんも勢い余って一緒に倒れこんでいる。
プーちゃんの長い尻尾が左右にフリフリと動いているのが薄っすらと見えた。
『会いたかったのだぁ~。・・・ってそうだっ!ここにいたら危険なのだっ!すぐに逃げるのだっ!!』
会いたかった。会いたかったとプーちゃんは私の肩口に頭を擦り付けてくる。
力が強いので若干痛いんだけど。
それでもって、今度は急に「逃げろ」などと言ってくる。
いったい何があったのだろうか。
この場所にいったい何があるというのだろうか。
『転移するのだっ。マユ殿掴まっておるのだ。』
「あ、待って。マコトさんも。」
『マコト、早くするのだっ。』
「え、あ。はい。」
マコトさんと私はプーちゃんにピタッと身体を寄せる。
プーちゃんが逃げなければいけないという相手がどんなものなのかが少しだけ気になる。
だって、最強の青竜なんだよ。
プーちゃんはレベル100の冒険者が束にならないと勝てないような相手なんだよ。
そんなに強いプーちゃんが何から逃げているのだろうか。
非常に気になるではないか。
「プーちゃん。ちょっと待って私たちはここに調査に来たの。皇太子殿下をこの辺で見なかった?」
興味本位でプーちゃんに掛け合ってみる。
危なくなったらプーちゃんの転移でさっさと逃げれば大丈夫だよね。
『皇太子殿下とやらかどうかは知らぬ。だが、人間は数人いたぞ。』
「お願いっ!そこに案内してくれない?」
どうやらプーちゃんはここに来てから人にあったらしい。
と、なると、そこに皇太子殿下がいる可能性が非常に高い。
『あやつらは危険なのだっ!我はあやつらから逃げたいのだっ!!』
え?
皇太子殿下って危険なの?
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