第120話
「・・・あれ?」
マコトさんが、魔道具を見て首を傾げる。どうしたのかと、マコトさんの手のなかの魔道具を盗み見ると・・・。
「えっ?私たちが来た方角で反応があるじゃないですかっ!!」
マコトさんの手の中にある生命反応を感知するレーダーには、今まさに歩いてきた方向に多数の反応が出ていた。
ちなみに、レーダーの真ん中で反応している二つの生命反応はたぶん私たちのことだろう。
「・・・あははははっ。マユさん、戻りましょうか。」
「・・・そうですね。」
かくして私たちは元来た道を戻り始めた。まあ、道っていうか道も何もないだだっぴろい大地が広がっているだけだど。
魔道具の反応を見ながら慎重に足を進める。今度は別方向に向かっていただなんて洒落にならないからね。
徐々に近づいてくる生命反応地点。
でも、目の前には集落もなにもないだだっぴろい広野が広がるばかりだ。
そして、ついには最初に見つけた畑と思わしき場所まで戻ってきてしまった。
だが、辺りには集落など見当たらない。
「おかしいですねぇ。生命反応が一番強いのはこの辺りなんですが・・・。」
そう言ってマコトさんと一緒に辺りを見回すが、何もない。
あるのは畑と芽吹いたばかりの何かの芽があるだけ。
・・・ん?
芽吹いたばかりのいくつもの芽?
・・・植物。
そういえば、この魔道具って植物にも反応するって行ってなかったっけ?だから、使える場所がないとかなんとか。
思わず、ジトーッとマコトさんの顔を睨んでしまったのは仕方のないことだと思う。
すっかり忘れてたよ。
この魔道具の欠点を。
「あ、あははははははっ。他に反応がありませんねぇ。おかしいですねぇ。」
マコトさんは、ポリポリと頬を掻きながら私の視線から逃れるように、あさっての方向を向いた。
「・・・他に使える魔道具はないんですか?」
「んー。えーとぉ。」
ガサガサと持っていた袋を漁るマコトさん。
いいものが見つからないのか、なかなか袋から手を出さない。
「ないんですか?」
「んー。人を探せそうな魔道具は他にありません。」
どうやら、他に今使えそうな魔道具はないようだ。
さて、行き詰まってしまった。
どうしようか。
『!!・・・マユ殿っ!!マユ殿ぉ~~~!!!』
困ってしまった私たちがその場で考えこんでいると、どこかで聞いたような懐かしい声が聞こえてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます