第51話
精霊には性別というものがないらしい。
どうりで、ピーちゃんもスーちゃんもブーちゃんもケケラも中性的な見た目でパッと見女性なのか男性なのかわからないはずだ。
まあ、それはいいとして。
「ブーちゃん、孵ったばかりで申し訳ないのだけど、ひまわりを鉢に植え替えたいの?お願いできるかしら?」
「お安い御用なのだっ!」
ブーちゃんはプーちゃんの肩からひょいっと飛び降りると、ひまわりの周りをくるくると走り始めた。
何をしているのだろうと見ていると、徐々にひまわりの根が宙に浮き始めてくるではないか。
それに伴って、ひまわりも空中に浮遊してくる。
「うわぁ~。ブーちゃんすごいっ!」
「当然なのだっ!!」
ひまわりが一つプッカリと宙に浮いた。
そうして、鉢に根が収まったかと思うと、土が根に覆いかぶさる。
スコップでも抜くことができなかったひまわりがあっという間に鉢に植え替えることができた。
あれ程苦戦していたのが嘘のようだ。
「すごいっ!すごいよ!ブーちゃん!!」
「褒められて嬉しいのだ。もっと頑張るのだ!」
「えっ?」
ブーちゃんは私に褒められて嬉しいと飛び跳ねている。
そして、植えてあったひまわりが根こそぎ宙に浮いた。
「へっ?」
何本ものひまわりが宙に浮いているのである。
しかも根がついていて、わさわさと動いている。
ちょっとシュールだ。
どうやら褒めたことによって調子に乗ってしまったようだ。
どうしようか。
鉢は後1つしか購入していないのだけれども。
どうしようと思ってブーちゃんを見ていると、宙に浮いていたひまわりのうちの1本が鉢に収まった。
そして、土が鉢に入れられる。
その瞬間、宙に浮いていたひまわりがいきなり地面に叩きつけられた。
「えっ!?どうしたのっ!?」
なんで急にひまわりが地面に叩きつけられたのだろうかとブーちゃんの方に目を向けるとブーちゃんが地面に突っ伏していた。
「ブーちゃん!?」
『ふむ。力を使い果たして昏倒したようだな。』
「って!プーちゃん!冷静に観察していないで、どうしたらいいの!!」
どうやらブーちゃんはひまわりを植え替えるのに力を使い果たして倒れてしまったようだ。
『ほうっておけばじきに治るであろう。』
プーちゃんは呆れたように言うと、ブーちゃんを回収してそそくさと家の中に消えて行った。
残されたのは掘り返されたひまわりの山、目を回しているケララ、衝撃で意識を飛ばしているケケラと私だけであった。
ちなみにマーニャたちはいつの間にか姿を消していた。
ブーちゃんに名前をつけたことに満足してどこかに遊びに行ったらしい。
・・・・・・・・・。
で、この地面に転がっているひまわりはどうしたらいいわけ・・・?
畑に植え直す?
何本あるの、コレ・・・。
途方に暮れながらも一本一本ひまわりを自力で畑に植え直す羽目になってしまった。
地味に大変だったよ、植え直すの。
穴が小さければひまわりの根が全て入りきらないし大きすぎる穴を掘ると根を埋めるのが大変だし。
ちゃんとに土を固めないと花の重さでひまわりが倒れてくるし。
結局正気に戻ったケララとケケラと一緒に3人でひまわりを植え直したのだが、夜までかかってしまった。
ケララにケケラ巻き込んでごめんなさい。
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