第50話

 


「ま、まままままままさか、また大精霊様だったりしましぇんよね!?」


ケララがプーちゃんの精霊が孵った発言に驚いて後ずさりしている。


途中噛んでいるあたり、焦りが伺える。


『うむ。土の大精霊なのだ。名前を決めたいと思うのだが・・・。』


そうか。


・・・やっぱり大精霊だったのね。


その発言を聞いて、ケララが白目をむいている。


『ブーちゃん!!』


「へ?」


いつの間にかやってきたマーニャが叫んだ。


ブーちゃん?


『・・・マーニャ様、その名はちょっと可哀想である。』


『茶色の卵から孵ったからブラウンのブーちゃんなの!』


そうか。


そう来たか・・・。


でも、ブーちゃんにプーちゃんややこしい名前なんだけどなぁ。


まあ、プーちゃんから産まれたからブーちゃんというのもありかもしれないけど・・・。


文字で書いたときに分かり辛いなぁ。


それに某コメディアンがどうしても思い浮かんでしまうし・・・。


「マーニャ、ちょっと思いなおそうか。その名前。」


『いやっ!ブーちゃんなの!!』


『マーニャ様・・・。』


「大精霊様・・・ブーちゃん・・・。」


どうやらマーニャの中では土の大精霊の名前はブーちゃんで決まってしまったようである。


微妙な名前だ。


ケララも微妙な顔をしているし。


プーちゃんにピーちゃんにブーちゃんにスーちゃん。


あれ?なんかお腹が痛くなってきたような・・・。気のせいかな。


『ブーちゃん賛成なの!』


『ブーちゃんなの!』


クーニャとボーニャが名づけに参戦してきた。


しかも、マーニャの意見に賛成のようである。


賛成3票。反対3票。多数決では同点である。


ここはブーちゃんに決めてもらおうかな。


「ブーちゃんはなんて名前がいいかな?」


って、ブーちゃんって呼んじゃったし。


『ブーちゃんなのだっ!!』


「・・・え?それでいいの?マーニャに遠慮することないんだよ?」


『ブーちゃんでいいのだ!ブーちゃんがいいのだ!』


ブーちゃんはプーちゃんの腕の中で元気良く返事をしている。


どうやらブーちゃんという名前が気に入ったようだ。


センスない名前なのになぁ。


それにしても、元気だなぁ。ブーちゃんは。


ピーちゃんは産まれたばかりの頃、瀕死の状態だったし、スーちゃんは寝てばかりだったようなのに。


「そうなの。じゃあ、今日から貴方はブーちゃんね。」


『ブーちゃんなのだっ!』


ブーちゃんはニコニコ笑っている。


しかしブーちゃんは女の子なのだろうか、それとも男の子なのだろうか。


ピーちゃんは見た目からすると男の子だし、スーちゃんは見た目からすると女の子である。


ブーちゃんは・・・見た目ちょっと中性的なんだよねぇ。


ぽちゃっとしているけど、クリリッとした目が女の子っぽく見えるし、茶色のショートヘアーは男の子のようにも見える。


「ブーちゃんは女の子?男の子?」


どっちなんだろうと思って尋ねるとプーちゃんが不思議そうな顔をする。


『精霊に性別はないのだが・・・。』


「「ないのっ!?」」


思わずケララと私の声がハモッた。


 


 


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