第49話
「・・・大精霊?ピーちゃんが?」
大精霊と言われてもピンとはこないが、土の精霊のケケラが驚いているくらいだから、ケケラよりは強い存在なのだろうか。
プーちゃんとトマトを巡って争っている姿を見るととても大精霊とは思えないけれど。
『おう!一応大精霊だ。存分に敬え。』
「知らなかった。」
「ママママ、マユさん!大精霊様とも一緒に過ごしていたんですか!あり得ないです。ありえなさ過ぎです!」
あらら。ケララもピーちゃんを見てブルブルと震えてしまっている。
大精霊もプーちゃんに負けず劣らずの偉大な精霊らしい。
「あー、もしかしてスーちゃんも大精霊だったりする?」
『おう!』
ほぼ同じ時期に孵った精霊の卵。もしかしてもしかすると、スーちゃんも大精霊なのかなと思ってピーちゃんに確認すると頷かれた。そうか、スーちゃんも大精霊なのか。
「ひっ!もう一体大精霊がいるんですかっ!」
『・・・ふぁっ。』
ケララは驚いて腰を抜かしてしまっているし、ケケラにいたっては失神してしまった。
「あー、大精霊ってそんなにすごいの?」
ちょっと間抜けな質問かもしれないが、大精霊の定義を知らないのだから仕方ない。
目の前のケララに確認すると、「知らないんですかっ!!」とこれまた驚かれた。
うん。知らないんだってば。
元々異世界から来たばかりで、この世界のことについてはまだまだ勉強中なんだし。
「大精霊はこの世界に僅か4体しか現れない貴重な精霊なんです。大精霊の上に立つのが精霊王と言いまして精霊の中でも一番偉大で、一番強いとされております。大精霊は精霊王の次に偉大で強い存在なんです。大精霊に勝てる人間なんて誰もいません。それに恐れ多くて跪くことしかできません。」
「へー。ピーちゃんは、あんまり威厳が感じられないけど・・・。」
ピーちゃんはどうやらとても偉大な存在だったらしい。
未だに信じられないけど。
ケララが話す内容をピーちゃんは満足気な表情で「うんうん。」と頷いている。
「大精霊の下には上級精霊が位置づけられているんですけど、上級精霊と大精霊の力の差は大人と赤子ほど違うと言われてます。というか、ここ数百年は大精霊が出現したなんて話聞いたことありませんよ!」
『人間って大精霊に気付かないんだよなぁ~。見た目は普通の精霊だからな。』
「ふぅ~ん。人間には区別がつかないんだ。どうしてケララ分かったの?」
「私だって見た目じゃわからないけど、ケケラは精霊だから相手の精霊が大精霊かどうかというのがすぐにわかるのよ。」
「そうなんだ。ケケラすごいね。」
「っていうかね!4体しかいない大精霊が2体もマユさんのところに集まっているなんて信じられない!!」
そうだよね。
今のケララの話具合からすると、どうやら大精霊は伝説と言ってもいいようだ。
そんな大精霊が2体もいるんだもんなぁ~。
っていうかまだ孵ってない卵が3つもあるんだけど。
あれらもやっぱり大精霊なのかな・・・。
そうすると4体の大精霊が揃ってしまうことになるんだけど!!
『マユ殿~~!!』
「ひっ!青竜様っ!!」
うん。
なにもケララがいるタイミングでプーちゃん飛んでこなくてもいいよね。
しかも、手になんか持ってるし。
すごく嫌な予感しかしないけど・・・。
このタイミングだしね。
うん。
『卵が孵ったのだ。』
・・・やっぱり。
プーちゃんの姿が見えなかったのは精霊の卵に親認定されていたからか。
となると、プーちゃんが産んだ卵が孵ったのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます