第46話
「てってれてれてれ、てってって~♪」
黄色いひよこを見ていると不意に口ずさんでしまう曲がある。
某有名なRPGで黄色い鳥に乗っている時の音楽だ。
目の前ではピーちゃんとスーちゃんがヒヨコに乗る練習をしていた。
プーちゃんはだいぶ慣れてきたようだが、スーちゃんはヒヨコから落ちまくっている。
今も目の前でドテッとヒヨコから転がり落ちた。
どうも、スーちゃんヒヨコに乗りながら寝てるみたいなんだよねぇ~。そして、ヒヨコから落ちた衝撃で目覚める。
というのを繰り返しているようだ。
スーちゃんがヒヨコを上手に乗りこなすためには寝ないようにすることが一番の課題のようだ。
『………痛い。………ぐぅ~。』
って、落ちて目が覚めたと思ったらまた寝てるし!
スーちゃんはなんでそんなに眠ってしまうのだろうか。
「クーニャ。スーちゃんなんであんなに寝てばかりなの?」
ダメ元でスーちゃんの親代わりのクーニャに聞いてみる。
ちなみにクーニャは、私と一緒にスーちゃんがヒヨコに練習するのをずっと眺めていた。
『まだ産まれたばかりだから覚醒しきれていないみたいなの。』
「ああ、そっか。人間の赤ちゃんだって産まれてからしばらくは寝てばかりだったね。」
そうか、その辺は精霊も一緒なんだね。思えばピーちゃんも産まれてからしばらくは思うように動けなかったし。むしろ死んじゃうんじゃないかって心配したくらいだしね。
『寝る子は育つの。』
「そうだね。って、じゃあまだヒヨコに乗る練習はしない方かいいのかな。」
まだまだ産まれたばかりのスーちゃんにヒヨコの騎乗は早かったみたいだ。
ちょっと焦りすぎたかな。
『やだ………乗る。』
スーちゃんがふらふらと立ち上がり、ヒヨコに跨がる。
「でも、スーちゃん無理はしないで。もう少し立ってから乗る練習をしようよ。」
『………乗る。』
スーちゃんは、眠いけれどもヒヨコには乗りたいようだ。なにをそんなに焦っているのだろうか。
ヒヨコから落ちるとき痛いだろうに。
「焦らなくていいんだよ、スーちゃん。」
『………焦ってない。乗りたいだけ………。』
「でも、怪我をしたら………。」
『………怪我しない。』
スーちゃんはどうあってもヒヨコに乗りたいようです。でも、また乗ってすぐに寝ちゃって落ちるんだけどね。
怪我もほんとにしていないようだったから、まあ好きにさせておくか。
「さて、そろそろ乳液の時間だよ!」
乳液を仕掛けてからちょうど5時間。やっと乳液が出来あがる時間になった。
今度はどんな乳液が出来たのかなぁ。
うきうきとしながら、練金釜に手をかける。
今度も悲しいことに誰もやってこない。化粧水だけなのかな?
寂しく思いながらも蓋を開けると、乳液が10本出来上がっていた。
その一つを取り出す。
見た目は前回作った乳液と全く変わらない。
効果は………と思い鑑定してみる。
「………………。もう、乳液作るのやめよう。」
鑑定結果も前回と変わらなかった。全く使い道のない効果である。
これであれば、化粧水を作った方がいいだろう。
私は乳液を保管庫にしまうと、化粧水を作るべく薬草と森の湧き水を練金釜の中に入れた。
「美味しくなぁ~れ。」
さて、化粧水が出来るまであと3時間。今度はどんな化粧水が出来るかな。
それまでにひまわりの植え替え方法を検討しないとね。
誰かに聞いてみようかな。
誰が一番詳しいかなぁ~。
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