第43話


『ごっはんー♪』


『ごっはんー♪』


『ミッルクー♪』


マーニャたちが猫様用のテーブルの前にちょこんと座ってご飯を要求している。ご飯よりもミルクを要求しているのは、ミルク大好きクーニャだ。


「はいはい。今、用意するから待っててね。」


三匹の猫に急かされてご飯とミルクを用意する。台に置くと同時にマーニャたちはご飯にかぶりついた。

どうやら、お腹がとても空いていたようである。ちなみにクーニャはミルクからガツガツ飲んでいる。クーニャってミルクばっかり飲んでいるけど、ミルクで出来てたりしないよね?


『我も………。』


『俺はトマトでいーぜ。』


プーちゃんもピーちゃんもやってきた。ってピーちゃんトマトでいいって………。なら、もいで食べてくれてもいいんだけどなぁ。


「ピーちゃん好きなだけトマト食べてくるといいよ。プーちゃんはなんでもいい?」


『うむ。』


『!?マユ!横着しないでトマトを切ってくれよ。』


「へっ!?」


プーちゃんはまだいいとしても、ピーちゃん何を言っているの??

トマトそのまま食べても切っても味に変わりはないと思うんだけど………。


『なんつーか、マユがトマト切ると違うんだよなぁ。なんつーか、力が湧く感じがするんだよ。』


『ああ………確かに。』


「ふえ!?初耳なんだけどっ!!」


『切るだけでいいから作ってくれよ。』


『我も!』


プーちゃんもピーちゃんもトマトを切れと煩いので仕方なくトマトを切ることにした。

トマトを切ったくらいで何かが変わるとは思えないんだけどなぁ。

念のため切る前のトマトを鑑定してみる。

魔力が増えるだけのごくごく普通のトマトだった。前回鑑定したときと結果は一緒だった。

続いて包丁を手にもってトマトを切り分ける。

そして、鑑定してみる。


「はあっ!?」


鑑定結果にビックリして、もう一度鑑定してみる。しかし、やはり鑑定結果は変わらなかった。

ただ、トマトを、包丁で切っただけなのに。それなのに…………効果が追加されているだなんて。


そう、切り分けたトマトにはなぜか効果が追加されていた。

魔力ほどは上がらないが、力が少しだけあがるのだ。また、スキルポイントも上がるため、新しいスキルが湧いてくる可能性が高まるらしい。


切っただけなのになんで!?


『私も………欲しい。』


「ん?」


聞き慣れない声が後ろから聞こえてきた。振り向くとそこにいたのは、水の精霊のスーちゃんだった。

いつもご飯を食べにこないのに珍しい。


「トマトでいいの?他にもなにか作るよ?」


『いい………トマト………食べる。』


スーちゃんトマトでいいんだね。お魚とか好きそうなんだけどなぁ。

まあ、スーちゃんが食べたいと言うのだから用意する。

切るだけだしね。

スーちゃんの前に切ったトマトを出すとスーちゃんはお皿にガバッと覆い被さった。

そのままガツガツと手を使わずにトマトを食べ始める。


「…………ご、豪快な食べ方だね、スーちゃん。」


『………おかわり。』


『我も!』


『俺も!』


『クーニャもミルク!!』


「トマトはいいけど、クーニャはミルクだけじゃなくてご飯も食べて!!」


精霊はどうやら、トマトが大好きなようです。

クーニャに、ご飯を差し出すと気にくわなかったのか、長い尻尾をテシテシと地面に叩きつけている。

でも、クーニャってば、またマーニャの分のミルクも飲んでたんだもの。これ以上ミルクを飲ませるわけにはいかないと心を鬼にしてご飯を差し出す。

するとクーニャは諦めたのかモソモソと、ご飯を食べ始めた。

それからは精霊二体と青竜にトマトを切りつづけることになった。

私もご飯を食べたいし、乳液の確認もしたいんだけどなぁ。いつになるのかなぁ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る