第42話

「スコップも鉢も用意できたね。」


『にゃ♪』


「あとはひまわりを植え替えるだけだね。」


『にゃぁ~ん♪』


クーニャとのんびりお話をしながら、帰宅する。今度はクーニャは私の横をチョロチョロと歩いている。

クーニャはマーニャと違って寄り道はしなかった。偉い子なのである。


「さて、いざ!ひまわりの移植です。」


誰に言うでもなく独り言だけど。

ちなみに、クーニャはひまわりの移植にはたいして興味がないらしく、さっさとどこかに行ってしまった。

うん。

ちょっと寂しい。

でも、気をとりなおしてスコップをひまわりが植わっている地面に突き立てる。

右足に力をいれ、スコップを地面深くに差し込………めない。

あれ?

おかしいな。

3㎝くらいしかスコップが刺さらないんだけど………。

あれれ?

ちなみに、何も植えていない場所にスコップを突き立てて右足で体重をかけたら、ぐさっとスコップのシャベル部分の根元までささった。

ひまわりのところの土だけ固い?

そんなバカな………。

どうしてだ………。

訳がわからなくてその場に固まる。


アホー。アホー。


頭上を黒い鳥が鳴きながら飛んでいった。

今の鳴き声は偶然だよね?今まで聞いたことがない鳴き声だったんだけど。


「う~ん。どうしてぇ~。」


ちまちまとスコップで地面を掘る。掘るが深く掘れても3cmほどしか掘れない。ひまわりの周りだけだ。それ以外は普通に掘れるのに。

原因がわからないので、ひまわりの根元をじっと見つめてみる。

すると鑑定結果が表示された。


【地面にはひまわりの根が張り巡っている。このひまわりの根は切ることができない。】


「ぶっ!!」


そういうことかっ!!

ひまわりは切ることができない。根も切れないってこと!?

つまり………スコップは無意味だったわけね。

でも、ひまわりの根を切らずに掘り出すってかなり無理ゲーなんじゃあ………。

背丈以上もあるひまわりだよ?

つまり、そのひまわりが倒れないように支えている根は………どこまで伸びてるっていうの!?

これは、ひまわりを植え替えるのは諦めるしかないのかなぁ。

スコップで少しずつ掘り進めるにしたって時間ばかりがかかる。

………どうしたらいいのだろうか。

う~ん。

う~ん。。。

う~ん。。。。。。


『マユー!!ご飯なの!』


『お腹空いたの!!』


『ごはんー。』


「はっ!!」


どうやら、考え込んでいたらいつの間にか寝てしまっていたようだ。気がついたら辺りが暗くなりはじめてきていた。

いかんいかん。

もう、ひまわりの件は明日に持ち越し!持ち越すんだからね。

って!!

そろそろ乳液も出来てるよね。

マーニャたちにご飯をあげてから、早く確認しなきゃね。

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