第81話
マーニャたちと意思疏通ができているというか、マーニャたちの言っていることがわかる。
もしかして、スキルが本当に生えてきたのだろうか。
ニマニマとしながら、ステータスを確認する。
すると、そこには確かに新しいスキルが追加されていた。
って・・・。
「猫様の下僕スキルって何っ!?」
スキル名称が【猫様の下僕】でした。
説明を確認すると、次のように記載されていた。
【猫様の下僕
猫様の伝えたいことがわかるスキル。レベルはないが、猫様の要求を却下してばかりいると、このスキルは消滅するかもしれない】
「・・・マジか。」
どうやらマーニャたちの言うことを聞かないと折角生えたスキルが消えてしまうようだ。
でも、やはりお風呂と錬金釜は譲れない。
「マーニャ、クーニャ、ボーニャ。お願い。ザックさんのお勧めの宿に泊まることを了承してくれないかな?」
『お風呂・・・。』
『溺れない?』
『一緒に入っていい?』
「ぐふっ・・・。」
最後のボーニャの一緒に入っていい?は私の心にクリティカルヒットした。
「もちろん!もちろん!一緒に入ろう!」
思わず声に力が入ってしまい。人が往来する王都の中心で煩悩を叫んでしまった。
故に、まわりを歩いていた人々がこちらをギョッとした目で見てきた。
ザックさんは他人のフリを決め込んだようで、こちらを見ようともせず遥か遠くを見つめているようだった。
そんなこんなのやり取りはあったが、無事に私たちはザックさんがお勧めしてくれた宿に泊まることが確定した。
ザックさんに案内されて王都の町並みを見ながら宿に向かってあるいている。
宿は、王都の中心街にあった。
中心街だけあって、人でとても賑わっている。道には、人々が歩いており、すれ違うのも慣れないと大変なくらい人で混雑している。
まわりの景色を見るのもやっとのことだ。
なんだか、迷子になりそうなところだなぁ。
宿の場所を覚えようにも、周りが人だらけでよく町並みがわからない。
道の端を歩くようにしてみたが、似たようなお店も多く、人づてに聞いていかないと宿にたどり着けないかもしれない。
人が多いからマーニャたちと離れないようにしなきゃ。
って、まあ移動するときは大抵バスケットの中にマーニャたちをいれているんだけどね。
って、マーニャたちおとなしいなぁ。
初めてきた王都だから、はしゃいでいるかと思ったのだけれども。
「マーニャ、クーニャ、ボーニャどうしたの?元気ない?」
『人が多いの・・・。』
『うるさいの・・・。』
『いろんな臭いが混ざってて気持ち悪いの・・・。』
どうやらマーニャたちは王都が苦手なようだった。
これは、早く用事を終えないと・・・。
「あの、マーニャたちが疲れてしまったみたいで、宿はまだですか?」
「ここだ。」
ザックさんに訪ねてみると、王都の中心でも一際大きな建物を指出した。
宿は5階建ての建物だった。
建物としては低いと感じるかもしれないが、面積が広かった。
さっきから10分ほど同じ壁を横にずっと歩いていたのだ。
その壁が切れたところが宿の入り口だった。
とっても大きな宿で、入り口から中を除きこむと、獣人の街で泊まった宿よりも豪華絢爛に見えた。
なんだか、破産しそうな予感がする。
一抹の不安を抱えながら私たちは宿に足を踏み入れた。
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