第57話

 


街には入ることができないから誰かが街道を通るのを待つことになった。


ところでもう30分ほどになるが、誰も街道を通らないのは何故だろう。


大きな町であれば、人の往来があるはずなのに。


でも、整備された道を見るかぎり過疎っているわけではなさそうだ。


不思議に思いながらも首を傾げる。


早くマーニャ達に会いたいという思いが焦りを生む。


 


「焦るな。焦りは禁物だ。」


 


『マーニャ様ぁ~。クーニャ様ぁ~。ボーニャ様ぁ~。』


 


ザックさんはそう言って宥めてくれるが、プーちゃんはさっきからダバダバと涙を流している。


 


「プーちゃんさんが飛んでいかないから大丈夫だ。いつもマーニャ様たちが危険を感じるとプーちゃんさんが呼び出されるのだろう?」


 


「ええ。」


 


「なら、プーちゃんさんがここにいるから安心するといい。マーニャ様たちは危険を感じていないはずだ。」


 


「あ、そっか・・・。」


 


そう言えばいつもマーニャが何かあるとプーちゃんを呼び寄せていた。


そのマーニャがプーちゃんを呼び寄せないのであれば、危険はないのだろう。


むしろ、楽しんで3匹で冒険しているような気がする。


それでも、心配は心配である。


なんたって、初代女王の力が届かない国なのだから、何かがあってマーニャたちがプーちゃんを呼んだとしてもプーちゃんが間に合わなかったら致命的である。


やはりプーちゃんが呼び出されていないから安心とも言っていられない。


なるべく早く見つけたいものだ。


 


焦る気持ちを抑えつつ、未だプーちゃんが呼び出されないのでマーニャたちは安全だと言い聞かせる。


 


・・・ん?


 


「プーちゃんマーニャたちの居場所わからないの?」


 


いつも呼び出されて飛んでくるのだから、マーニャたちの位置を把握しているのではないかと思うのだが・・・。


疑問に思ってプーちゃんに尋ねると、頭を地面に打ち付けて泣いていたプーちゃんの動きがピキッと止まった。


ザックさんも私の言葉にプーちゃんをじぃーっと見つめている。


プーちゃんは私たちの視線に耐えられなくなったのか、プルプルと震えている。


 


『マーニャ様たちの位置、探知できたんだった・・・。』


 


「おいっ!!」


 


「・・・はあ。」


 


思わず突っ込んでしまった。


ザックさんも額に手を当てて深いため息をついている。


もっと早く気づいていれば・・・。


すぐに、プーちゃんはマーニャたちの探知を始めたようだ。


前足を地面について、何やら大きく息を吸ったり吐いたりしている。


次第にプーちゃんの体が小刻みに震えだし、ダバーッと両目から涙を流した。


 


「ど、どうしたの??プーちゃん。」


 


なぜ、マーニャたちを探知して泣くのだろうか。


マーニャたちに何かあったのかと不安に思ってしまう。


 


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