第74話
「ボーニャ様・・・。なぁんて可愛くて素敵な猫様なんでしょう」
うっとりとしたまま、ソフィアさんはそっとボーニャの頭を撫でている。
ボーニャも嬉しそうにソフィアさんの手のひらに頭を擦り付けている。
「ソフィアさん。上級ポーションの作り方を教えて貰えたりしますか?」
撫で撫で撫で。
よっぽどボーニャのさわりごこちがよかったのか、ソフィアさんはボーニャをずっと撫で回している。
声をかけたことで、私たちの存在を思い出したようだ。
「あ、すみません。お待たせしました。それにしても、ボーニャ様素敵ですね」
どうやら、すっかりソフィアさんはボーニャの虜になったようだ。
「上級ポーションですが、ボーニャ様が採ってきたという薬草(上)と不老虫、山の湧水を錬金釜に入れて魔力を注げば出来上がりです。ただ、不老虫はダンジョンにいかないと手に入らないので作るのは難しいかもしれません」
あれ?
不老虫って確かクーニャがいっぱい捕ってきたやつじゃない。
「不老虫は、クーニャがいっぱい捕ってきてくれたので大丈夫です」
「まあ!クーニャ様も素晴らしいですっ」
ソフィアさんはまた目を輝かせた。その瞬間、バスケットの中からクーニャが飛び出して、ソフィアさんの前でくるりっと一回転した。
「あなたがクーニャ様ね。素敵ね。素敵。」
ソフィアさんは、今度はクーニャを抱き上げて、そのささやかな胸に抱き寄せる。
そうか、このささやかな胸も、マリアと同年代だと思った原因だわ。
「あとは、山の湧水だけね。それなら森で簡単に手に入るわ」
「じゃあ明日森に行ったら上級ポーションを作ることが出来るのね。あれ?化粧水は薬草と山の湧水で作るのよね?ボーニャが採ってきた薬草(上)と山の湧水で化粧水できないかしら?」
普通の薬草と薬草(上)の違いって薬草の質が違うだけだよね?そしたら薬草(上)と山の湧水で作成してもいいんじゃないだろうか。
「できますよ。出来ますがどちらも同じ品質の化粧水ができます。なので、薬草(上)を化粧水の材料に使用する美容調合師はいないでしょう」
おお。クーニャとボーニャと戯れていたソフィアさんだが、調合の話になると聞こえてるんだね。
でも、普通の薬草と薬草(上)で作っても化粧水の質が変わらないのか。なら簡単に入手できる薬草を使うのが普通だね。
「化粧水は美容調合師のスキルレベルと魔力の込め方で質が変わってきます。だから材料の質はそれほど重要じゃないんです」
「ありがとうございます。ソフィアさん」
「どういたしまして。錬金釜、重いので気を付けて持ってくださいね。また、ボーニャ様とクーニャ様を連れて来てくださいね」
ソフィアさんから錬金釜を受けとる。
うっ。やっぱり結構重い。
マーニャたちが3匹入っているバスケットより重い。
「マユ、錬金釜は私が持つわ」
「でも、重いよ?」
「大丈夫。私にはこの鞄があるから」
そう言ってマリアは自分が持っている鞄を指差した。
そう言えばそうだった。マリアの鞄は、魔道具だった。
見た目に反して沢山ものが入るし、重さも感じない鞄だった。
森に採取に行くなら、私もマリアみたいな魔道具欲しいなぁ。
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