第45話


見た目はただの水晶玉なんだけどなぁ。

ぐっと目を凝らして水晶玉を鑑定してみる。


【竜の宝玉

竜が命よりも大切にしている宝玉。竜が死んでしまうと消えてしまう。また、意図せぬ相手に宝玉が渡った場合は砕け散る。入手困難。持っていると好きなときに竜を呼べる。】


ああ・・・。


意識が飛びそうになる。

やっぱり普通の品じゃなかった。

そうだよね。マーニャだもんね。


白目になりつつ、なんとか意識を保つ。

隣では、あんぐりと目と口を開けたままのマリアがいた。


どうやら、マリアにとっても予想外な品物らしいです。


「マーニャ、この宝玉はマーニャが持っていて。それで、必要だと思う時に使うことにしてね。」


私は、マーニャに宝玉を返す。

これは私が持っていていい物ではないと感じたのだ。

私が持っていたら砕け散りそうだし。


マーニャは不思議そうに「にゃっ?」と鳴きながらも宝玉を器用に自分の袋にしまっている。

大事なものだとマーニャもわかっているようだ。

私は、マーニャの頭を撫で撫でしながら、

「その宝玉はね。竜がマーニャのためにくれたのよ。だから、他の人にあげるようなことをしてはダメだよ」

と諭す。

するとマーニャもわかったのか、「にゃぁん」と一声鳴いた。


「・・・竜と仲良くなったらくれたんだって。ふぅ。ダンジョン10階層の青竜はギルドに討伐不可って言っておかなきゃ。猫様の友達を討伐なんてできない」


マリアは深いため息をつきながらそう言った。


「お待たせしましたー。猫様たちのご飯とミルクになります」


鑑定をし終わると丁度、サラさんがマーニャたちのご飯とミルクを持ってきてくれた。

ちなみにちゃんとにマーニャたちが食べやすいように猫専用のテーブルまでセットしてくれる。

猫様様なお店である。


マーニャたちはご飯とミルクを見ると、目を爛々と輝かせて飛び付いた。

マーニャとボーニャはご飯に、クーニャはミルクに飛び付く。

どうやら、クーニャは喉が乾いていたらしい。

しばらく見ていると、クーニャがミルクをがぶ飲みしており、あっと言う間にミルクが空になっていた。次いでご飯を食べ出すのかと思いきや、マーニャのミルクのお皿をじぃーっと見ている。

気づいたマーニャが慌ててご飯を食べるのをやめて、ミルクをのみ始めたが、クーニャはマーニャの頭にぶつかるようにマーニャのミルクのお皿に顔をつっこみ、マーニャを追い出してしまった。


ああ、クーニャ。ミルク、大好きだったのね。


マーニャは仕方ないとばかりに諦めてご飯をパクついていた。

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