31話 たまにはのんびりと
のんびり過ごす休日は久しぶりだ。先週は土曜日に父さんが来てたし、日曜もなんだかんだ忙しかったのだ。買い出しとかをしていなかった自分に非があるが。
しかしこの土日は何の予定も無い。ついでに言うなら昨日コンビニで色々買い込んでおいたのだ。
普段なら料理はするのだが今日明日に関してはやる気が出ないためパスタなどを買っておいた。これならレンジに入れて温めるだけで食べれるからなぁ……マジ便利。
(この2連休はだらだらするぞ!)
そう決めた瞬間にスマホが鳴る。……嫌な予感がしてきたんだが。
震える手で恐る恐るスマホを手に取ると思わず「あれ?」という声が出てしまった。意外な人物から電話が来たからだ。
『葵。久しぶりね』
「ん、久しぶりだな。どうしたんだ?」
『んー、特に大した用ではないわ。単純に元気しているかどうかを知りたかっただけ』
「まぁ…元気かな。特に病気とかは無いし、学園も楽しく通えてるよ」
母親である皐月朋恵(こうげつともえ)は過保護と言うか心配性と言うか…とにかくこうして元気かどうかなどはよく聞いてくる。最近は忙しかったのか、あまり電話もメッセージも来なかったが。
『ん。なら良し。そう言えば蓮さんがそっちに行ったそうね。迷惑じゃなかったかしら?』
どちらかと言うと迷惑だがそれを言うわけにもいかないよなぁ。
「そんな事無いよ。……まぁ意味も無しに来るのはご遠慮だけどな」
『あなたらしいわね。私も行ってみたいわね。なんだかんだ言って行ったことはないと思うし。行っていいかしら?』
「今週じゃなけりゃ良いよ。この土日はだらけてたい」
この1週間は父さんが来たり球技大会だったり買い物だったりでめちゃくちゃ疲れてるのだ。いくら親だと言っても来られるのは困る。
「なら……そうね。来週は私も忙しいから……3週間後くらいに伺うわ。そろそろおふくろの味が恋しくなってきたでしょう?』
「マジ!?母さん料理作ってくれんの!?」
母さんの料理は絶品だ。忙しいにも関わらず手間をかけて作ってくれた幼少期を思い出す。
この学園に入学してからは母さんの手料理を食べる機会はほぼ皆無だったが久しぶりに食べれるらしい。
『喜んでもらえて嬉しいわ。じゃあ電話切るわね。あまりだらけ過ぎないこと!』
「ん。善処するよ。じゃ」
とだけ言って電話を切る。……楽しみだな。なんだろうな。父さんの時にはこんなにワクワクしなかったんだけどな……。
まぁいいや別に。ゲームしよ。
☆☆☆
しばらくすると飽きてきてスマホを見つめていた。そもそもあまり上手くないから練習しようとかの気持ちにはならないし、飽きてしまうのも仕方ないだろう。
誰か呼ぼっかなぁ……いやでも来たら来たで面倒だなぁ。呼ぶったって誰を呼ぶ?ってなるし。
外出……は論外だな。うん、めんどくさい。だらけようとは思うのだがだらけるのも面倒という状態に陥ってる。もう何だろうな……今この世の全てがめんどくさい。
昼飯食うか。コンビニ飯とか久々だな。
ちなみに買ったものはあんかけ焼きそば。その他諸々。昨日コンビニで商品を眺めていた時に気になって買ってしまったのだ。美味しいといいなこれ。
「えーっと……1500Wで1分か。あれ、この電子レンジ何Wまであんだっけか」
ピッピと色々弄って設定を見てみる。どうやらこの電子レンジは500Wまでしかないらしい。3分も温めんの……?俺かなりの猫舌なんだが。
とは言えおすすめの時間を記載してくれたのにそれを無視するのも気が引けるので、後で後悔するだろうな……と思いつつ3分で設定する。
(なんか絶望的に料理出来ない奴みたい)
料理はするが電子レンジをそんなに使わないので設定とかたまに忘れてしまうのだ。作ったものを残しておいて後日に温め直して食べるとかやらないし。
この際に色んな電化製品のことちゃんと覚えとくか……とごく自然に午後の予定が決まってしまった。明日はどうするかな。
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