第2話 始業式は「生徒会からのお知らせ」で盛り上がる
二学期の始業式のために、わざわざ全校生が体育館に集められるのはいかがなものだろうか。
校歌を歌う、校長の挨拶、生徒代表の挨拶、それくらいなら放送で済ませてしまえばいいではないか。
ただし、我が校における二学期のこの始業式においては、それなりに全校生徒が体育館に集まる意味がある。なぜなら――生徒会からの大事なお知らせが異様に盛り上がるからである。
「これで始業式を終了します。続いて、生徒会からのお知らせです。」
壇上には、凛々しい顔つきの生徒会長――我が姉貴である青葉吹雪が壇上に上がった。
「生徒会長の青葉吹雪だ。二学期が今日からスタートした。まだ夏休み気分が抜けておらん者たちもいるようだな。時はみな平等――のんびり生きるも自由だし、努力して生きるも自由だ。日々部活に勉強、また習い事、趣味や交友などに力を注ぐものもいるだろう。しかし、二学期には君たちが努力を注ぐに足るものがもう一つある。」
姉貴はそこで一度言葉を区切り、体育館に響き渡る声で言った。
「それは――――学校行事だっ!」
「「おぉぉおぉぉ!!!!」」
なぜそこで歓声があがるのだ……。どうも姉貴は多くの生徒からカルト的人気を誇っているらしい。
「体育祭に、文化祭はもちろん、一年は遠足に、二年は修学旅行がある。そして三年も、今年から勉強合宿のイベントが決定した。」
「「おぉぉおぉぉ!!!!」」
「これらを盛り上げ、青春のよき思い出にするか否かは、無論何より君たち自身の力にかかっている。生徒会長として、私は君たちの声を聞き、出来る限りの要望に応えてやりたいと思っている!」
「おぉぉおぉぉ!!!!」
「これより一週間の間、生徒会は全校生徒から各行事に対する要望をとる! 全員、自分の熱い想いを届けてくれ! 無論、私も全ての意見に目を通す――以上だっ!」
「「おぉぉおぉぉおぉぉぉぉ!!!!!!!」」
体育館の窓がびりびりと割れんばかりに揺れた。これから戦場にでも行くかの如く、生徒たちのパトスが渦巻いている。
「ったく、相変らずの圧倒的支持率だなぁ。わざわざ焚きつけなくてもいいだろうに……」
全校生徒からの各行事への要望が集まる二学期は、つまり生徒会の仕事が激増する時期であり、ようするに俺が馬車馬の如くこき使われる時期でもある。
「当分の昼ごはんは、生徒会室で食べる事になりそうだ……。」
予想通り、翌日から全校生徒からの要望は殺到し、恐ろしい数の意見が書かれた紙が生徒会へと集まった。
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