血の祈り

作者 おくやまきよ

24

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★★★ Excellent!!!

 歯切れよく展開し判りやすい文体なので、ダークファンタジーにありがちな重苦しさをそれほど感じませんでした。
 それに、ワクワクが読んだ後まで止まりません。なぜなら読者の想像力を膨らませる形で気持ちよく終焉するからです。
 主人公が記憶喪失からスタートするので、主人公と一緒にこの作品のファンタジー世界を学びながら冒険に入っていきます。序盤で特に目を引いたのは二人称で進行するという、先鋭的な実験です。『あなた』と呼ばれる主人公が何者なのか、気になって気になって先を読み進めていくのですが、この実験が成功した証拠に、最も効果的なタイミングで名前と素性が明かされます。

 そして重要な伏線は全て各話のタイトルを見ればすぐに振り返れるという読者への配慮。何から何まで、ニクい程ツボでした。

 想像をさせておいて、良い意味で裏切る展開が多く、目が離せません。記憶のない主人公が何の気なしに使った偽名の『セルガ』。この人物は最初漠然と良いイメージを持っていましたが、実際の所、何とも業深いことが判ってきます。この作品の、目を引く意外性、その最たる例が永久首相ゴナノーグという人物です。最初は悪の権化のような印象でしたが、段々と事情が分かるにつれ、本人の苦悩や諦め、主人公との交流など、重要なファクターを担う人物であることがわかります。

 世界観として特筆したいのは、多民族がそれぞれ事情を抱えながら緊密に交流していること。お尋ね者となった主人公を追うバルハマ、サデナサという警察官は、部族の慣習で場所の目印に紐を括りつけます。その結び目から、様々な情報を後から来た者に伝えるのです。
 
 翼竜ルドックという絶望的な生き物にも救いがあり、その点についてはぜひ本編をお読みください。

こんなハイファンタジーが読みたかったんです!楽しい時間をありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

人間を捕食する翼竜「ルドック」の脅威にさらされている世界が舞台となります。

そして、読み手は記憶喪失の主人公となって物語が進んで行くという類に見ない作風に、どんどん惹き込まれてしまいました(*´ω`*)不思議な魅力を感じる作品です。

ぜひ、一度お読みください!

★★★ Excellent!!!

異世界ファンタジーものというのは世界観の表現が大切だと思いますが、こちらの作品は端的なのにしっかりとイメージできます。
文章が確かだからだと思います。
また、テンポよく物語は進みますが、しっとりもしているんです。今までにない感じの読後感です。
みなさんも、ぜひ読んでください。