第33話 フェスティバル

この日、タルトは自分の神殿にシトリー、リリス、カルン、リーシャ、ノルン、桜華、モニカという女性陣を集めていた。

全員が揃うのを確認してタルトが口を開いた。


「皆さん、集まって貰ってありがとうございます!

今日はぜひ見ていただいて意見をお聞きしたい物があるんです」

「あのー…ちょっといいですか?」


端っこに座っていたモニカが申し訳なさそうに手を挙げた。


「どうしました、モニカさん?」

「タルトちゃん、何か私だけ場違いなんですけど…」

「あっ、気にしないでください!

新しい特産品を作ったのでモニカさんのような一般の意見も聞きたかったんです」

「そういうことかー、何か緊張しちゃったよ。

そんなんで良ければ精一杯、頑張るからね!」

「では、早速初めましょう!」


タルトの合図と共に商人のマイルズが小さな小瓶を皆の前に置き始めた。


「なんだこれ?酒瓶か?

こんなちっちゃいんじゃ一口だぜ!」

「違いますよー、桜華さん。

蓋を開けてみてください!」


言われた通り目の前の小瓶を開けてみた。


「あっ、なんかいいにおいがします」

「うん、これは花の匂いか。

一瞬で部屋中に広がったな」

「ノルンさん、流石ですね。

これは花から抽出した精油から作った香水です」

「瓶ごとに違う香りがシマスワ。

これは高貴な感じがシマスワネ」

「香水って、何に使うンダ?」

「良い質問ですねー!

これは体に付けてオシャレにしたり、熱して香りを楽しんだり、お風呂にいれて癒されたりと使い道は色々あるんです!」

「ワタシは食べれるモノが良かったナー」

「あはは…リリスちゃんは食欲に正直だね…」

「いいじゃねえか!

この香りををツマミに一杯飲むのも風流だねえ」

「桜華さんはお酒から離れてくださいね…」

「私は良いと思うなー。

好きな人の前では付けておきたいな」

「やっぱりモニカさんを呼んで正解でした!

それが期待していた反応ですよー!」

「確かにお風呂に入れると癒されそうな気がするな。

タルト殿、早速試してみようじゃないか」

「今日のお風呂は楽しみにしててくださいね!

ちなみに肌に塗ると若返ったようにスベスベになりますよ」


ここでタルトはあることに気付いた。

まだ肌の心配がいらないリーシャ。

長命で老化の心配がなさそうな天使と悪魔。

酒と戦いで出来ている鬼。

そもそも不老の魔法少女。


(人選ミスだーーーーーーっ!!!)


本当にモニカだけが頼りだった。

ここでマイルズから助け船が入った。


「聖女様に許可を頂き、一般浴場には既に試しておりますが、女性に大人気だそうですぞ。

お土産で少しだけ売ってみましたが、飛ぶように売れて購入希望が後を断ちませんな。

貴族の方では数倍の価格設定でも買い取るとのことです」

「私も気に入ったぞ。

タルト殿が良ければ貰いたいと思う」

「ワタクシも頂きマスワ。

タルト様の前に出る時には付けたいと思いマスワ!」

「ノルンさん、シトリーさん…。

ぜひ持って帰って使ってください!」

「タルトさま、リーシャももらっていいですか?」

「勿論だよ!

でも、リーシャちゃんは何もなくても良い匂いだからなー…。

リーシャ臭も捨てがたい…いっそ、その匂いの香水をっ!」

「ヤメロ、タルト。

気持ち悪いゾ!」

「ごめんなさい…。

でも、これで生活に癒しが増えればなあっと思いまして」

「うちはもっと酒を増やして欲しいぞ!

飲めば全部忘れてスッキリだ」

「ほんとに好きなんですね!

美味しいお酒も検討しますので」

「期待してるぜっ!いつでも試飲してやるからな」

「お酒か…。

男性向けの癒し…。

うん、やってみよう!今日はここまでにします」


こういうと急いでタルトは外に飛び出して行った。

この後の数日間、町長やエグバートの店、服屋、広場の準備などタルトは走り回っていた。

広場には多数の机と椅子が並び、周囲を装飾がされている。

一見すると祭りの準備のようだ。

町中にもイベントのポスターがあちこちに貼ってある。


そして、イベント当日…


またも女性陣が広場に集められていた。


「タルト殿、本当にやるのか…?」

「すこし、はずかしいです…」

「タルト様のご命令は見事にこなしてみせマスワ!」

「ワタシは客側が良いんだがナー」

「アタシは面白そうだから、付き合うゼ」

「うちは飲めれば何でもいいぜっ!」

「タルトちゃん、スカート短いし胸が強調しすぎな服じゃない…?」

「色々言いたいこともあると思いますが、今日は頑張りましょう!」


既に広場には大勢の人が集まり、椅子に座って待っていた。

そのほとんどが男性である。

そこにタルトが現れて小さな台の上に立った。


「皆さん、お待たせしましたー!

では、これからメイド・フェスティバル イン アルマールを開催します!」


「「「「「「オオオオオオオオオオッ!!」」」」」」


そういわゆるメイド居酒屋である。

女性陣はメイド服を着て接客をする居酒屋でお酒があるので喫茶ではなかった。

お客は推しの似顔絵が描いてある旗を机に立てておくと、希望のメイドが来てくれ接客をするシステムだった。

タルトを始め、シトリー達やノルンは美形で人気があったのだ。

それを利用し彼女等がメイドとして接客をすると宣伝し、集客したのであった。

しかも、いつもの仕返しとばかりにミニスカートと露出多めのメイド服を用意し、すごい盛り上がりをみせていた。


「お帰りなさいませ、ご主人様達♪

ご注文はお決まりですか?」


言い出しっぺのタルトもノリノリである。


「ご主人、注文は決まったか?

恥ずかしいからあまりジロジロ見ないでくれ」


ノルンはメイド服がパツパツになるくらいの巨乳であり、その恥じらう姿が人気であった。


「注文はお決まりカシラ?

下衆どもがワタクシを待たせないでクダサル?」


シトリーはサディスティックな対応で人気を博している。


「ワタシに一口くれるノカ?

アーン…モグモグ」


リリスは客から逆にアーンをしてもらっていた。

その姿が可愛らしく人気があるようだ。


「アタシが愛情を込めてヤルゼ。

えぇっと…萌え萌えキュンキュン!」


カルンはタルトに吹き込まれた愛情を込めていた。

ロリ巨乳のメイド姿も人気の一因であった。


「よしっ乾杯だ!

くううううっ、うめえ!」


桜華は一緒に飲んでいた。

大和撫子のような見た目でメイド服を着くずして露出が更に増えて大人気であった。


「指名してくれても全然嬉しくないんだからね!」


モニカはタルトにツンデレを仕込まれていた。

その一所懸命演じてる姿が可愛かったのである。


「みんな、ちゃんと頑張ってるなー。

これでお客には癒しを、町には収入を。

これなら定期的に開催しないと!」


料理や飲み物の注文も順調でエグバートが厨房で必死に駆け回っている。

その中で異様に人が集まってる一角がある。

その日一番の人気を博していたのは…


「おかえりなさい、おにいちゃん…」


「「「「「「オオオオオオオオ!!!」」」」」」


リーシャであった。

妹キャラが最強であったようだ。

そこに兵を引き連れた一団が現れた。


「聖女様っ!このオスワルド、只今参上致しましたっ!」

「あっ、ご主人様お帰りなさい。

今日は楽しんでいってくださいね!」

「ぐはっ!

…館にいるメイドとは違い何たる神々しさ…。

しかも、聖女様にご主人様…」

「わわわっ、オスワルドさん、大丈夫ですかっ?

すごい鼻血が!?」

「…そのメイド服が刺激的過ぎて…がくっ」


メイド・フェスティバルは大人気のイベントとなった。

遠くからこのイベント目的でくる旅人も増えた。

握手券をく販売すると瞬く間に売り切れるほどであった。

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