第16話 復興
翌朝。
タルトの安眠は突如、破られた。
突然扉が勢いよく開けられリリスとカルンが飛び込んできた。
「オイッ、タルト早く遊ぼうゼ!」
「タルト姉、寝てないでご飯食べヨウ!」
「……リリスちゃん、カルンちゃんおはよう……起きるの早いね……」
「ナニか分からないけど、朝起きたらカラダの調子が良いんダ。
魔力量も増えた気がスルネ!」
「悪魔ってそんなこともあるんだね。
死にそうになると強くなる戦闘民族とか?」
「ソンナ種族がいるノカ?スゲェナァ!」
「いる訳ないデショウ、ソンナ都合よくいきまセンワ」
「あっ、シトリーさん、おはよう!」
「おはようございマス、タルト様。
おそらくこの変化はタルト様の眷属になった事が原因だと思われマスワ」
「私の影響?眷属になると強くなれるの?」
「他の眷属になるなんて、先例はないので推測にナリマス。
タルト様の膨大な魔力に影響を受けてるカト。
他にも精神面で、光の眷属である人間に対して殺したい衝動が失くなりマシタワ」
「確かにムカムカしてたのがスッキリした気分ミタイダッ!」
「ご飯を美味しく感じるノモカ?」
「私はそんなに食いしん坊じゃないよっ!
確かに食べるのは好きだけど……」
「闇の加護からタルト様の加護に変わったことによる変化は他にもあるかもしれませんが、詳細は不明デスワ」
「でも、私の加護で憎み合わなくなるなら希望の光になるよ!
これからは布教活動でも行おうかな?
…あっ、リーシャちゃん、おはよー!」
「…おはようございます…タルトさま」
「リーシャちゃんは体の調子が良かったり、魔力量が上がったりしてる?」
「えぇっと…いつもとかわらないとおもいます」
「おそらく絶対量が少ないと変化に気づきにくいのかもしれまセンワ。
ワタクシ達のように魔力が元々多いと感じやすいと思われマス」
「そっかぁ、みんな強くなれたら襲われても安心なんだけどなー」
「ワタクシ達が守りますのでご安心クダサイ」
「心強い味方が増えて嬉しいよ!
とりあえずご飯を食べに行こう!
カルンちゃんが死にそうな顔してるしねっ」
「タルト姉、腹ヘッテ死ヌ……」
朝御飯を食べたあとは村の復興を手伝うことにした。
半分はタルトの最後の一撃で壊したので、後ろめたさもあったのだ。
とりあえず広場に出たら村長に声を掛けられた。
「聖女さま、おはようございます。
私は村長のプリュディックと申します。
昨日は村を救って頂きありがとうございました」
「えぇ…と、プリュ?」
「プリュディックです」
「プリュド、イタッ…舌噛んだ…。
ジョンとか分かりやすい名前が良かった…」
「おおぉー、聖女様から名前を賜るとはっ!
今から私はジョンと名乗ります。
とても良い響きですね!」
「いや…あの…そんなつもりで言ったわけでは…」
「アタイ達はナニをすればイインダ?
暇ダゾー」
「そんな聖女様に手伝って貰うなんてっ、
滅相もございません!」
「村長さん、気にしないで下さい。
皆さんのお力になりたいんです!」
自分で壊した分と変な名前をつけた後ろめたさがあるとは、とても言えなかった。
リリスとカルンの組み合わせは嫌な予感がしたため、シトリーとカルンに重いものの運搬を指示した。
タルトとリリスは森に木材の伐採に向かった。
「エアエッジッ!」
スパッスパッ
「さすが聖女様!これならすぐに終わりそうだ!」
タルトが魔法で伐採をしていると村人から歓声が上がった。
「それくらいワタシにもっ」
スパッスパッ ……ジュワァ
「リリスちゃん…毒で腐ってるんだけど……」
「爪で切るとどうしても毒が放出されるんダヨ。
ナニか剣とかないノカ?」
「うぅ…ん、ちょっと待ってね。
この鉈を地面に刺して…金属を集めて…再合成…完成!」
「凄い魔法ダナッ!?
一瞬で質の良い剣が出来上がったゾッ!
しかもスゲェ切れ味ダ」
伐採と加工もあっさりと終わり、村に戻った。
村に戻ると2階建てまでしかなかった村の中心に10階くらいの石造りの棟が建っていた。
「なに……あれ……?」
「タルト様、お帰りナサイマセ、
あちらはタルト様の神殿にございマス。
時間がありませんでしたので小さくなっていまい申し訳ございマセン」
「いや十分大きいよっ!いや大き過ぎくらいだよっ!
勝手にあんなの建てちゃ駄目じゃないっ!
あそこにあった教会はどうしたのっ!?」
「勿論、村長の許可は頂いてマスワ。
光の神を奉った教会なんて資材として流用シマシタワ。
あの神殿はタルト様を奉る為のものでゴザイマス」
「あっそう……もう…好きにして……」
もう悪魔達だけに何かを任せるのはやめようと決心したタルトであった。
しかし、村人達も立派な神殿に大喜びであった。
「一応、中も覗いてみようかな…」
神殿の大きな門を潜り中に入ると3階くらいまで吹き抜けになっておりステンドグラスや彫刻で豪華な作りとなっていた。
奥の中央付近に大きな少女の像が建っていた。
もちろんモデルはタルトである。
「何これっ!?
すごい恥ずかしいんですけど!」
「わあぁ、タルトさま、そっくりー」
「スゲエ格好いいナ」
「聖女様の神々しさが良く表現されていますな」
「タルト様の凛々しさを表現するのに苦労シマシタワ。
像の前に人が来ると後光が射す仕掛けとなってイマスワ」
「何その凝った作りはっ!?」
タルト以外は大喜びであった。
尚、後にこの像をモデルにした木彫りの小さなタルト様像はこの村の特産となるのは別の話である。
たった1日にして村の復興はだいぶ進んでいた。
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