武装集団

 一際激しい爆音が響き、そしてその音が退くとともに、怖いくらいの静寂が来た。


 黒崎は、巨木の根元に伏せていたが、ゆっくりと身を起こし、辺りを見まわした。


 同じように用心深く起き上がる影が三つ――。


 あと3人。俺を含めて4人か……。呆然とする黒崎。


 ゆっくりと歩を進めると、そこには、宇野を含む部下達の残骸が散らばっていた。何の感慨も起きないが、何かが打ち砕かれた気がした。


 やはり、訓練を如何に積んだとしても、実戦でそれを活かすにはまだまだ足りないものがあった。暗殺等の経験が多少ある者達も、このような激しい戦いに身を置くと浮き足立つ。


 Mの出現も含めて、実際の戦闘では何が起こるかわからない。あんな、死を恐れずに向かってくる男もいる。そういうことに直面して、適切な行動をとれなくなる。修羅場を何度も踏まなければ身についてこないものがあるのだ。自分自身では、それがわかっているだけ田沼などより上だと考えていた。


 だが、今のこの様は何だ?


 一瞬嗤い、そして「くそっ」と木の幹に拳を叩きつける。


 残った3人の部下が、黙って見つめていた。


 黒崎はもはや任務のことなど忘れた。とにかく最後まで、やる――。それだけだ。


 「行くぞ」


 短く言って、歩き出す。3人は、最初こそ戸惑ったものの、黙って着いてきた。彼らも、もうどうすればいいのかわからなくなっている。だから、尚更、黒崎に従うしかなかった。


 何もかもが哀れに思えてきた。こんな部下達も、死んだ宇野も、田沼も、そして、自分自身も――。


 沢崎、東谷、そしてM――。


 勝手に膨らませた私怨だけが、黒崎を突き動かした。

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