道の駅周辺 東谷 沢崎 武装集団

 東谷と沢崎は木の陰を巧みに移動しながら、状況を見た。分署の裏手まで行き様子を探る。


 5人が警戒している。あと5人は分署内に突入したのだろう。さっき逃げた2人が、警戒中の敵に駆け寄り道の駅の方を指さした。


 「お喋りしている暇はないぜ」


 沢崎が素早く飛び出し、敵に向けて自動小銃を撃ちまくる。東谷も続いた。慌てた敵は、蜂の子を散らすように乱れた。


 いける――。


 東谷がそう思った瞬間だった。激しいエンジン音を響かせて、さっきの黒いバンのうち一台が、分署と東谷達の間に乗り入れてきて停車した。その窓から、無造作に何かが投げられる。


 2人とも咄嗟に飛んだ。爆発が起こり、近くの木が激しく揺れる。手榴弾だ。


 バンから3人の男が降りた。そのうちの1人が、堂々とした態度でこちらを見る。


 「東谷勝昭、そして沢崎隆一だな? 戦えて光栄だ」


 聞き覚えのある声だった。あいつがKか――。


 東谷はどうにか顔を確認しようとしたが、沢崎はそんなことに頓着していなかった。すぐに攻撃態勢に戻り、Kに向けて撃つ。


 Kは車の後ろに隠れた。と同時に、分署内にいたと思われる敵の部下達も雪崩のように現れると、こちらに向かって乱射してくる。






 別々の木に隠れながら東谷と沢崎は顔を見合わせた。沢崎が笑っている。手にしているのは手榴弾だ。


 頷き合い、敵の間隙を突いて東谷はKの隠れた方へ、沢崎は分署に向かって投げた。


 敵の方から、僅かだが叫び声が聞こえた。しかしそれも、爆音で消える。


 見ると、敵は後退している。東谷は小銃を撃って敵の乱れを更に大きなものにした。


 沢崎は更に敵に近づいていく。的確な銃撃を、リズミカルな間隔をつけて続ける。


 今、明らかに、こちら2人が何倍も多い敵を圧倒していた。このまま勢いに乗っていきたいところだが、そんなに甘いものではないと2人ともわかっている。一旦止まり、様子を窺った。


 その時、道の駅の方で爆発音があった。あちらが手榴弾で攻撃されたのだ。


 「戻るぞ」東谷が言う。


 「連中の頭はこっちにいる。チャンスだ」


 沢崎が首を振った。一理ある。だが、敵は手強い。ここで時間をかけて戦っているうちに、道の駅の人々が全滅してしまっては元も子もない。


 「俺に従うんじゃなかったのか?」


 強く東谷が言う。沢崎は、舌打ちしたもののすぐに苦笑を浮かべ「しょうがないな」と肩を竦めた。

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