第3話 転校生

 昨日のは、きっと夢。

 今朝も、ママは病院で、パパは心配を掻き消すように仕事へ行く。

 きっと・・・・・

 「ベニ!」

 そうだ。昨日のは夢ではなかった!

 「学校あるんじゃねぇの?」  

 「あー!」

 「深夜まで起きてっからだよ。」

 「起こしたのだれよ。ほら、着替えるから出てけ!」

 あたしはブラウスにネクタイを締め、制服のスカートを履いて、ハイソックスを履いて、髪の毛を編んで、セーターを着て、リビングに向かった。

 「今朝のニュースです。アジア各国の首相が一挙に集まる―――――」

 アナウンサーのキビキビした声が、テレビから響く。いつもは無機質に聞こえるこの声も、今はちょっと違うように聞こえる。希望が見える気がする。 

 「あ、そうだ。」

 「何?」

 「ベニも今日から何か変わるかもよ。」

 「何がさ。」

 「そりゃあ、色々。」

 色々って何だよ。あたしは時計を見た。

 あ、やっべ。

 「じゃ、行ってきまーす」

 私はリュックを引っつかんで、自転車で学校へ向かった。

 

 「おはよー。ねえ、ぎい“でよ“おーーーーー。」

 「どうしたの。」

 「推しが尊いのぉぉぉ!」

 「病み上がりに叫ぶことかいな。」

 親友は、いつものように朝から叫ぶ。久しぶりの叫び声だ。

 「あ!狐浦が、生きてる!」

 「死んでないから。」無邪気にそう言った男友達に、あたしは笑いながらそう言った。

 そう。死んでない。  

 死んでないんだ。

 「はいー席付いてねー。」

 担任の先生は、バレー部の朝練から直接来るから、タオルで汗を拭いている。ハキハキした、女の先生だ。

 「今日から転校生が来ます。じゃ、入って。」

 転校生?この学校って転校生受け入れてたっけ?市立じゃないから違うと思うんだけど・・・・・。

 「円間えんまほむらです。よろしくー。」

 は?

 これは、アニメですか?

 転校生が、実は凄いひとーって。

 昨日の

 閻魔じゃん。 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます