第390話 洗脳の怖さ

パールメース帝国の嫡男、アウグスティン・ゴットフリッド・グランルンド・パールメース24歳。


普通に考えて、大国の嫡男が、こんなにあっさり捕まるとか、考えられない。


パールメース帝国に何かあったのじゃないか?


そう思い、本人に確認しようとするが、目覚めた後、怯えたような様子で、しゃべらない。


うーん・・・一応治療終っていて、治ってる筈なんだけどな。


ボースマ王国を解放し、1週間が経つ。


今はもう1人のパールメース帝国の皇族、ヴィヴィも目覚めた。


だが、こちらも様子がおかしい。


帝国の様子を昔から知っているダミアンに確認すると、どうやら元々2人とは面識があったようだ。


なので、実際に会ってみると、まるで別人らしい・・・・


ヴィヴィはもっと自信にあふれ、見目麗しく・・・・正直性格は少しきつめだったとか。

今はそんなきついとか、全く感じられず、完全に怯え切って小さくなっている。


そして嫡男アウグスティンだが・・・どうやら学友だったようで、かなり親しかったようだ。


聡明で、軍事的な事にはあまり関心が無く、いかに帝国が潤う事が出来るか、その為にはまず民の貧困を無くさねば!と、貧困対策を率先して行い、スラムへ自ら出向き、少しでも良くしようと頑張ってるいい奴、だそうだ。


それが会ってみれば、信じられない言葉使い、そして、回復した後は怯えて話もできない。


まるで別人。

一体2人に何があったのか・・・・


今は帝国領との境に兵を展開し、帝国からの反撃に備えている。


元々は帝国とは良好な関係を築いていたので、ここまで大事に兵を展開していなかったそうだが、今回は、事情が違うとの事で、殆ど全兵力を国境の警備に当てている。


しかしな・・・・このままでは先に進めないし、放っておいて帝国と全力でぶつかるのは避けたいし、それに色々様子が変なのが気になる。



何より帝国のやり方が変過ぎる。


突如2年前?に侵略を開始し、侵略先の民を奴隷にし、俺と対峙するまでは順調に侵略していたはず。


しかも今は帝国に全く動きが無い。


いくらなんでもおかしい。


帝国の指揮はどうなってるのだ?


いくらなんでも、もうボースマ王国を解放してから1週間たつ。


どう考えても、何か今まで占領地とのやり取りがあったはずだし、何より嫡男がいるのだから、もっと密に連絡を取っているはず。


それが連絡がつかないのだ、何かしら動きがあってしかるべき。だがそれが無い。


あまりにも不自然すぎる。



俺は仕方ないので、もう一度シビルに2人を解析してもらう事にした。

何か見落としが無いか?状況が変わって変化が出てないか?

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