領内のダンジョン

第282話 新たなダンジョンは貴重らしい

「私が知る限り、ラクシュアノス王国で最後に新発見のダンジョンの登録は、20年以上前になります。その時の発見報酬は、白金貨10枚だったとか・・・・」



うわ、まじすげえ!もう普通の人なら一生遊んで暮らせるじゃないか。


「え?そんなになのですか?」


イベッテの話に驚くビクトル君。



驚くよな?俺もだけど。


「因みにそこを管理している領主にも、白金貨10枚の管理報酬が父より渡されると思いますよ?」


何だ管理報酬って?


「それに・・・・新たなダンジョンには、冒険者が集まりやすいですし、ますます発展するんじゃないかな?」


おお!良い事尽くしじゃないか!


だけど、そんなに金払うって事は、国に何かメリットがある?


「何でそんなに金出せるんだ?」


「えっと・・・・たぶんダンジョンのドロップアイテム、国に10%、領主に10%の報酬が入ります。あ、これはギルドが買い上げた場合、双方の取り分ですね。ギルドも10%、アイテムを持ち帰った冒険者は50%ですね。」


「20%は何処へ消えるんだ?」


「必要経費です・・・・ギルドの、買い上げたアイテムの引き取り先への販売手続き、ダンジョンの周辺の管理費と、報酬の上乗せの原資ですね。」


ダンジョンっておいしいんだな?じゃああれか、俺が渡した魔石やらドロップアイテムは、かなりの金額だったが、半分はどっかへ持ってかれてたって事か・・・・


しかし、そんなうまい話には裏があるだろう?


「あ、命を懸けるのは冒険者ですからね・・・・私達はただ、右から左へ金が転がってくるので・・・・」


ある意味酷い話だが・・・・この世界では常識なのか?


「ビクトル君、君は、発見者だ。何もしなくても金が入る。このまま裕福に暮らせるが・・・・どうする?個人的には金があるんだから、好きに暮らせばいいと思うけど。」


俺は聞いてみた。


だが彼は・・・・


「お話は理解していますが、私は、自分の可能性を信じたいのです。なので・・・・無理を承知で、一緒にダンジョンに行かせてください・・・・」


彼は常に成長したいのだな。


現状を良しとしない。素晴らしい・・・が、いいのかそれで?


「いいんです・・・・金を手に入れたからと、そのまま遊んで暮らす、素晴らしく贅沢ですが・・・・人間としてそこで終ってしまいます。そんな終わり方は嫌なのです、私は!」


興奮してるな。気持ちは分かるけど。


「わかった・・・・出来る限りの事はしようじゃないか。暫定だが、ビクトル君をクランメンバーに加入させよう。なおかつ、急遽ダンジョンを調査する事になるから、俺のパーティに一時在籍してもらおう。」


こうしてビクトル君は希望パーティの臨時メンバーとなった。


そして、今回は世津と三津枝、シビルが同行する。


それに、黒い奴も参加。


どんなダンジョンが待ち受けているのだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る