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そんな私の決意を嘲笑うかのような出来事が起こった。


いつも通り仕事をする、その処方箋を見たときに、私は卒倒しそうになったのだ。


名前の欄に、“胡桃あずさ”と書かれている。

数日前、クリニックの前で見かけた胡桃さんと親しげに話す女性。

胡桃さんは“あずささん”と呼んでいた。

しかも名字は“胡桃”だ。

胡桃なんて珍しい名字、早々あるもんじゃない。


これはもしかして、いや、もしかしなくてもアレでしょ?


胡桃さんは結婚していて、あずささんが奥さんってことでしょ?


だって、それ以外考えられない。

それ以外の選択肢なんてあってないようなものじゃないか。


姉弟?

兄妹?

いやいや、身長の差がありすぎる。

それに姉弟であの呼び方はないわ。

ていうかそもそも似てないし。

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