第41話 メイド喫茶の日常です。

 バレンタインイベントも終わり、メイド喫茶セルヴァントには日常が戻って来た。

店の開店は正午であるが、店舗の鍵を持っている、御影か杏、クラリスが開けに来る。

そして、開店準備に入る。

店を軽く掃除したり、メイドさんたちがお着替えしたりしていると、だいたい開店時間となる。


「じゃあ、開けてくるね」


御影はcloseからopenへと変えた。

 基本はお客さんが来るまでは暇な状況が続く。

特に平日の昼間は客の入りも悪くなる。

休日ならまだいいのだが。


「この時間は暇ねぇ」

「まぁ、そんなもんだろ。元々趣味で始めた店何だから、赤字にならない程度でいいんだよ」

「へぇ、流石は最強賢者様は言うことがちかうねぇ」


杏が皮肉を込めた視線を向けて来た。


「ほら、お客さん来たよ」


扉が開く音がしたので、御影はそっと奥に入った。


「おかえりなさいませ! ご主人さま! こちらのお席にどうぞ」


杏が接客している。

今日は杏一人の出勤のため、少し不安であったが、この調子なら大丈夫そうだ。


「このお店は初めてですか?」

「あ、はい。初めてです」

「分かりました。じゃあ、簡単にご説明しますね。ここは一時間につき、銅貨三枚のチャージ料とワンドリンク又はフードのご注文が必要になります。メイドさんにはお触り厳禁ですので、ご注意下さい」


杏は新規のお客さんに簡単な説明をした。


「分かりました」

「ご注文がお決まりになりましたら、お呼び下さいね」


杏は水とお通しを置いて少し離れた所に待機して居た。


「すみません」

「はい、お伺いします」

「アイスティー下さい」

「アイスティーですね。ミルク、レモン、ストレート、どうします?」

「ストレートで」

「かしこまりました」


注文を取った杏はトコトコとキッチンの方にはやって来た。


「御影さん、アイスティーお願いします」

「あいよー」


御影はアイスティーを作る。


「ほいさ」

「ありがとうございます」


そのアイスティーを持って杏は戻ってゆく。


「はい、お待たせしました。アイスティーになります」

「ありがとう。ここ、メイドさんは一人なの?」

「いえ、今日はたまたま一人なんですよ。あと少ししたら、もう一人来ると思いますよ」

「そうなんだ。店長さんなんだ。凄いね」

「雇われですけどね」


その時、またしても扉が開く音がした。


「お疲れ様です。すみません遅くなって」

「あ、クラリスちゃん。いいよ、まだ時間あるし、着替えておいでよ」

「うん、ありがとう」


クラリスは二階にある更衣室へ向かう。


「お待たせしましたー」


メイド服に着替えたクラリスが降りて来た。

以前から思っていたのだが、クラリスはメイド服が似合い過ぎている。

エルフとメイドは相性がいいのかもな。


 そんな事を考えながら御影も自分の仕事を進めていた。


「やっぱ、夜は混むなぁ。店舗拡大も検討するか」


お客さんもボチボチ入り始め、閉店の時間も近づいていた。

セルヴァントは23時で閉店である。

閉店間際になるとお客さんも居なくなる。


「俺たちも帰るか」


こうして今日もメイド喫茶の1日が終わろうとしていた。

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