第60話

 少し大きくなったセイランとレニ、それからシキミが、袴と着物ドレス姿で、こちらに向かって楽しそうに、手を振ってくれている。



 私は笑顔で彼らに、手を振り返した。



「あの子達も来てくれてる!」



 青い髪の海流と、金髪の空蓮。彼らは友人席に座る凌太に何やら、ちょっかいを出している。




 歌が上手な和音はりっちゃんに声をかけ、談笑している。




 結月と紺野君は小さな子供達につかまって、ちょっと恥ずかしそうに一緒に絵を描いたり、本を読んだりしている。




「みんなこっちの世界と、行き来出来る様になったんだね」




「ああ。だいぶ前からな」




 久遠様、弥生さん、梅の姿もあった。彼らは私の両親と、楽しそうに話をしている。



 大地の教え子達は、りっちゃんの伴奏で『祝福の歌』を披露してくれた。





「…この曲、懐かしい!」





 すごくすごく、懐かしくて

 嬉し過ぎて。




 思わず涙が、溢れて来る。









『新郎からの言葉』








 大地は立ち上がり、みんなに笑いかけた。





「俺とさくらから、ここにいるみんなへ」





 大地は両手を、高く掲げた。








「この気持ちはきっと言葉には、ならないから」








 きらきら輝く美しい光が、

 『ノスタルジア』を桜の花びらで一杯にした。








 その花びらは動き出し、









 清らかな花の形に姿を変えた。









 歓声と拍手が同時に、沸き起こった。






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ドラゴン・ノスタルジア とさまじふ @mcat4832

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