四節 姫ごと秘め事(参)
「いつ見ても無色透明だな。どれどれ、匂いは、どうだ――」
リュウが手元の杯へ鼻先を寄せた。
「ああ、リュウ、それはやめ――」
ツクシが慌てて止めたが遅かった。
「――うっわあっ」
目と目の間を指でつまんだリュウが手の杯から顔を背けている。
「リュウ、嗅ぐな。これは薬の原液みたいなもんだからよ――」
ツクシが神妙な顔で手元の杯を満たした透明な液体を見つめた。
「す、少し怖くなってきたが――ええい、ままよ!」
元々凛々しい美貌をさらに引き締めて気合を入れ直したリュウが、じゃがいも酒の杯をぐっと一息に呷った。
そして、動きを止めた。
「くはあぁあぁ――さっき飲んだ酒の余韻がすべてじゃがいも酒に破壊されたぞ」
リュウはかなりの無表情でじゃがいも酒の感想を述べた。
「――ああ、そうだな。俺もそれは異存がねえ」
ツクシは声を上げずじゃがいも酒に耐え切って同意した。
「うーん、もう一杯」
眉間に右の拳を置いて呼吸を整えていたリュウが空にした杯をツクシへ突き出した。
「青汁かよ。リュウ、ほとほどにしとけよな。アル中御用達だぜ、じゃがいも酒は――」
そういいながらも、ツクシがリュウの杯をじゃがいも酒で満たした。
「くはぁん! それで、ツクシ?」
受けた杯をぐいっと呷ったリュウが一声鳴いて、横に座るツクシへ色のついた美貌を向けた。
「――あぁん?」
ツクシはうつむいてじゃやがいも酒に耐え切って不機嫌な返事をした。
「お前は本当に小さい女の子が専門――ぶっ!」
同じ質問をまた繰り返そうとしたリュウの唇を先ほどと同じ要領でツクシの手が塞いだ。
「だっ、黙れ、リュウ、黙れ――おう?」
必死だったツクシが怪訝な顔になった。
口元をツクシの手で隠したリュウの瞳が揺らいでいる。
その唇を封じたツクシの手に、リュウの手がかかっていたが、そこから伝わる力は弱々しいものだった。
「どうした、リュウ、大丈夫なのか?」
これはやばい、急性アルコール中毒かも知れん――。
そう考えたツクシは緊張した声だ。
同時に手を引こうとしたが、リュウの手がそれを止めた。
今度は力強い。
リュウは引き止めたツクシの手へ唇をそろそろと寄せて、
「ツ、ツクシが小さい女の子専門ではないことをだ」
「だからな、俺はその小さい女の子専門じゃないっていってるだろ。あれは事故なんだ。あくまで事故だ――」
その事故を二度も繰り返したツクシが顔を歪めて反論した。
「だから! 今からそれを、お、お、俺が確かめてやろうか?」
横向いて頬を赤くしながら視線を流したリュウのお誘いである。ツクシは馬鹿な中年男であるが、こういうときだけは察しが良い。
しかし、「小さい女の子が専門」だと散々なじられ続けたツクシは素直に尻尾を振るのが気に食わない気分であったから、
「ああ。小さい小さいってな。お前のだって十分に小さいだろ」
相手に聞こえるように呟いて、リュウの胸元へ視線を突き刺した。
実際、成人女性としてはかなり頼りない感じだ。
「――もっ、もういい。俺は自分の部屋へ帰って寝る!」
リュウは顔を真っ赤にして立ち上がった。
同時に立ち上がったツクシの手がリュウの腕を掴んでいる。
ツクシを強く睨んだリュウはその手を振りほどこうとした。
男の力だ。
ビクともしない。
リュウは背けた赤い美貌を固くした。
「――まあ、待てよ、リュウ。その逆だ。俺がお前の小さいものをあるのかどうか、今から確かめてやる」
ツクシがベッドの上へリュウを突き飛ばした。
乱暴である。
よいしょ、と自分の
「あっ、ツクシ。やっぱり、やめ、やめ!」
リュウが固めた拳の柔らかい部分で、ぽかぽかと殴って撃退しようとした。
あまり痛そうではない。
「へえ、自分から挑発しておいて、今さら恥ずかしがるのかよ――」
げっへっへっ、そんな感じで口角を歪めたツクシは悪代官そのままの形相だ。リュウは武術の心得がある。日本にいた頃は官憲ヤクザをやっていたツクシも武術の心得がある。健全な小市民を守るためにあった筈のその技術は、今、女性を半分力づくで
「た、頼む、ツクシ。灯りは消して――」
リュウは部屋の片隅に置かれた立脚付き導式ランプを指差した。
その瞳が濡れている。
「笑わせるぜ――」
口角を歪めたままのツクシは、リュウの背にあるドレスのファスナーを手癖の悪い手でまさぐった。どうもこの様子だと、リュウは男にあまり慣れていないようだ。
それなら、できるだけ明るい場所で大いに泣かせながら、じっくり辱めてやるとするかよ――。
ぬめぬめめらめら殺気立つツクシはゲスな方針だ。
「――ああっ!」
リュウはドレスがはだけて肩口を見せると表情を固めた。
「ククッ! 生娘みてえな悲鳴を上げているんじゃねェよ。おっと――さすがは武人ってところになるのか?」
悪い笑顔だったツクシがその表情を完全に消した。
「――酷いだろう。これを見せたくなかった」
リュウは横向けた顔の目元を手の甲で隠している。
「肩口から斜めに一閃か。これでよく命が助かったな――」
ツクシが呟いた。リュウの白い肩口から胸に掛けて大きな古傷がある。それは傷跡が膨れ上がって変色しケロイド状になったものだ。
白い肌に赤紫の一閃が
「だ、だから、先に灯りを消してと俺は――」
リュウが泣き声を上げた。
それを無視して行為を続けるツクシに、
「――あっ! やっあっ!」
リュウは小さな悲鳴を上げながら暴れて抵抗を試みた。
だが、古傷を持つ白い
§
ベッドの上から紫煙が細く立ち上る。
これは苦いタバコの味である。
裸で仰向けになったツクシと、その横で同じく裸のリュウは、お互いが無言でひとつの長煙管から煙を回し呑みしていた。
長煙管も煙草の葉もチョコラからのプレゼントだ
ほんの少しだけ、時間が巻き戻る――。
――夕方、酒場宿ヤマサンを訪ねたチョコラは、裏の簡易宿泊施設で不貞寝をしていたツクシと会えなかった。
「あなたは、ツクシさまと同じ冒険者団の方ですか?」
チョコラはちょうど酒場の一席で夕飯を食べていたリュウに訊いた。
「ふぅふ、ふおふお(ああ、そうだが)?」
黒い丸パンで頬を膨らませたリュウが頷くと、
「ツクシさまへ、これを渡していただけますか?」
頬を染めずに瞳を伏せたチョコラからその包み紙を渡されたという。リュウは裏の簡易宿泊施設で寝ていたツクシへ届け物をしにきたらしい。
手にぶら下げてきた二本の酒瓶は、その用事のついで――。
そんな経緯で二人の事後が発生した。
ツクシは強張った顔と震える手で、チョコラが届けてくれた包み紙を開けた。ツクシが強引に剥ぎとったリュウのドレスの懐にあった、その可愛い猫ちゃんがプリントされた包装紙のなかには、長煙管、煙草葉が入った紙袋、メルロースの会員証、それと花の香りがついた白い便箋が入っていた。
「以前、長煙管と煙草がどこで手に入るか、俺はサラに尋ねたよな――」
顔を歪めたツクシは思い出した。
チョコラにはいっていない。
薬に酔っている最中、口走ったのかも知れないが――。
裸の身を寄せたリュウからカミソリのような視線で促されたツクシが、嫌々の態度で白い便箋の封を切ると、そのなかから、つたなく丸い文字がびっしり並んだピンク色の手紙が出てきた。花柄でめいいっぱい飾られた枠がついたお姫様趣味の手紙だ。簡易な表現だったので、この世界の文字に暗いツクシもその手紙が読めた。
以下がその内容である。
『だいすきなツクシさまへ。
さいきんのちょこらは、きょういくがかりのおばさまから、もじをならいました。だから、ちょこらは、いちばんさいしょに、いちばんだいすきなツクシさまへ、おてがみをかきました。
ツクシさまに、わたしは、あいたいです。
あいたい、
あいたい、
あいたい、
(同じ単語が続くので中略――)
あいたい、
あいたい、
あいたい、
いますぐ、いますぐ、あいたいです。
ツクシさまとちょこらのやくそく、わすれないでね。
わたし、いつも、いつも、いつも、ツクシさまをまっています。
また、おみせで、ちょこらをツクシさまのせっくすどれいにして、いっぱい、なかせてください。
ちょこらはツクシさまにされてなくのがだいすきです。
ちょこらはくびをきりんさんのようにしてまっています。
かしこ。
ツクシ様だけのチョコラより』
最後だけは難しい飾り文字で格好良く書かれていた。全体的には計算してつたない文字を演出しているのかも知れなかった。チョコラならやりかねない。顔を引きつらせたツクシの横へ、事後の美貌を寄せたリュウも、チョコラの手紙を読んでいた。
もとい、非常に厳しい顔でその手紙を睨んでいる。
無言で半身を起こし、ベッド脇にあった背嚢のなかへ、メルロースの会員証とチョコラのあざとい手紙を突っ込んだツクシを見やって、
「ツクシ、それを捨てないのか?」
リュウの凍えた声だ。ツクシの背へ冷えた視線も送っていた。背嚢の横にクズ入れが置いてある。これもツクシの手が届く範囲にある。
「お、おう。チョコラは、この煙管と煙草を俺にくれたわけだろ。手紙と会員証だけを捨てるのは不義理だよな。商売女からの贈り物なんて滅多にないことだぜ。あいつらは客からひたすらムシリ取るのがお仕事だ。だから、これは奇跡みたいなものだよな。何かもらったことなんて、俺はこれまで記憶にないし。ああ、一度だけ病気はもらったかな。痛痒くなるやつ――ああ、いやいや、それはどうでもいい! き、記念にこれはとっておこうかなとかな。記念だぜ。これは、あくまで記念品だよな――」
長煙管を片手にぶつくさいったツクシは、ベッドの上のリュウへ遠慮がちに身を寄せた。
「ほぉう、不義理ときたか――」
リュウが寄ってきたツクシを冷ややかに眺めている。
「ああ、そうだ。ふ、不義理は良くないよな?」
ツクシは長煙管を咥えて表情も硬く頷いた。
「――ふぅん」
鼻を鳴らしたリュウがツクシから長煙管を奪いとった。そして、けほけほと咳込んだ。日本にいた頃、日に十本ほどの煙草を嗜んでいたツクシは不健康な煙に肺が慣れている。リュウは慣れていないようだ。天幕の貸し部屋には灰皿がない。
石床へ長煙管の先にあった吸い殻を落とし、手にとったアーミー・ブーツの靴底でバンバンとそれを叩いて消火したツクシが、
「そっ、それでだな。話を戻そうぜ。リュウの肩口にある古傷は、マジでシャオシンがやったのか?」
この話題の最中に、チョコラから頼まれた用事をリュウが思い出した。
その結果、事後の甘い時間が凍てついたのである。
仰向けのツクシにリュウの裸がドスンと乗っかってきた。
「ぐっえっ――」
ツクシがリュウを見上げた。スラリと長い手足が、きゅっと引き締まった白い裸体だ。胸元は直で見てもやっぱり頼りない。あるといえばある、そんな感じだった。
「――そうだ。あれは武芸の稽古の最中だった」
リュウが不貞腐れた態度でいった。
「信じられんな――」
ツクシが呟いた。
「手応えがいつまでもなかったので、苛立った俺はその日、シャオシンへいつもより手厳しくした」
リュウはツクシの上で裸を横たえた。
「それで、シャオシンが逆上したってわけか?」
ツクシの顎下をリュウの白い長髪がくすぐっている。
「――逆上ではないな。シャオシンはあのとき我を失った」
ツクシの胸に頬をつけてリュウがいった。
「それを逆上っていうんじゃないのか?」
ツクシが首を捻った。
「――いや、あれは怒りや憎しみとは違う。違う筈だ」
一瞬沈黙したあとに、リュウがいった。
「そうなのか?」
ツクシが呟いた。
「そうなのだ。事実、あれ以来、シャオシンは他人を傷つける陣を一切使わなくなった――」
リュウの爪がツクシの胸にかかった。
「――いや、使えなくなったのだ」
女の爪の先に力が入る。
「お、俺が馬鹿だった所為で――」
ツクシの胸元で顔を隠したリュウの声が震えていた。
「――なるほど。シャオシンは腰から武器をぶら下げていても、それを使っているところを見たことがねェな。俺もそれは引っかかってたぜ。
ツクシは恰好をつけた台詞と一緒に顔を歪めていた。
女の爪先が刺さった胸がかなり痛い。
「ああ見えてもシャオシンは黄龍王の娘だ」
リュウが今度は指の先でツクシの胸板をなぞりだした。
「そうらしいな――」
ツクシは口角をごにょごにょ歪めていた。
くすぐったい。
「
リュウがツクシの胸元から視線を送った。
「へえ、シャオシンはそんなに凄いのかよ。ならシャオシンがリュウの故郷の――
ツクシは顔を歪めた。灯台下暗しなのだろうか。今のところ、ツクシが使う地下の定宿をフロゥラは知らないようだ。ツクシは酒場宿ヤマサンでフロゥラの襲撃を一度も受けていなかった。
「――実はな。家臣の間でシャオシンを次代の黄龍王へ推す声もあったのだ。女が王に推されたのは、黄龍で前代未聞の話だよ」
リュウがツクシの上でころんと転がった。
「それなら、素直にシャオシンが王様をやればいいんじゃねェのか?」
ツクシは顔の横にきたリュウの美貌へ視線を送った。
「――シャオシンに、それは酷だ」
リュウが弱く笑った。
「ああ、まあ、そうなんだろうな――」
ツクシは天幕の天井を見やった。
「シャオシンは指導者に向いていない」
リュウはツクシの肩口へ頬をつけた。
「あいつ、小心者だしな――」
ツクシが小さく頷いた。
「――いや、シャオシンは優しいのだ」
一呼吸置いて、リュウが否定した。
「――優しいか。まあ、それはいいことだろ」
ツクシが口角を歪めた。
「そうかな――」
ツクシの肩口へ額をぴったりと寄せたリュウが、
「優しいものは
少しの間、お互いが沈黙した。
仕切りの向こう側から、他の宿泊客の囁く声が聞こえた。
それは色めいた声ではなかった。
「優しいのは難しいか。でも、俺の世界では、『優しくなければ、そいつは生きている価値が無い』って、いいきった男がいたぜ。だから、シャオシンの親父さんは大事な姫様を国の外へ脱出させたんだろ。優しさを守るためにだよな――」
先に口を開いたのはツクシだった。そして、ツクシはリュウやフィージャやシャオシンは、母国でどんな生活をしていたのだろうと考えた。
「ツクシ、そうなのだ。例え国が滅びても女さえ残っていれば、いずれ黄龍の血が国を再興させる――」
リュウの声はふっと浮いたように聞こえた。
「へえ、リュウ、お前もそのつもりなのか?」
ツクシが横に視線を送ると、そこにリュウはいない。
消えたリュウは、ツクシの上へまた女の重さを乗せている。
「うん、ツクシ。そのつもりなのだ――」
ツクシの上から迫るリュウの美貌がいった。
その表情と声が恐ろしく甘ったるい。
「――おう?」
不穏な空気を察したツクシが眉根を強く寄せた。
こういう部分のカンは異常に鋭いのも、この中年男の特徴だ。
「いずれ、私の故郷をツクシに見せる必要がある――」
硬くなったツクシの顔を見つめて、眉尻と目尻を下げたリュウである。
「わ、私だと? リュ、リュウ、お前は何をいっていやがる?」
ツクシはなめらかな白い手に頬をなでなでされて目を泳がせた。
「ツクシはもういい
ツクシの硬い質問にリュウは甘い質問で返した。
「そ、それは、まあ、否定をできねェが――」
ツクシは今になって失敗を自覚した。商売女を相手に鍛えてきたいやらしい技を駆使する中年男のツクシは若くて経験の浅いリュウを散々鳴かしたつもりだ。そのつもりだった。しかし、
ツクシは身体を動かすのもかったるい。
若いリュウは情熱に浮いてまだまだ暴走中――。
「――ツクシは誰かと一緒になるべきだ」
リュウがツクシの頬へ唇を寄せた。
「だ、だ、誰かって、誰のことかな?」
ツクシは眼前にあるリュウの美貌からぴよぴよ視線を逃がしている。
「お前に首輪をつける必要があるだろう?」
リュウの手がツクシの喉元をすりすりした。
「おい、リュウ、首輪ってな。俺は犬じゃあねェんだぜ――」
ツクシは睨んでみたが、
「本当にどうしようもない
その頬を両手で挟んだリュウは、彼女の美貌を甘くするばかりだった。
「リュウ、俺は首輪とかは、その、そういうのは、い、いらねェからよ。大体な、俺は日本へ帰るんだ。お前も知っているだろう。俺は異世界から来ただな――」
抱いた女への責任から抱いたその場で逃亡しようとしたツクシの卑怯な口を、
「ツクシ。この先、私とずっと――」
囁いた艶やかな唇が捉えようとしたのだが、
「――あっ!」
その途中でリュウが声を上げた。
「――な、何だ、どうした、リュウ」
どうにかあと一戦して、リュウを完全に沈黙させる必要がある。
この際だ、メルロースでチョロまかしてきた例のヤバイ薬酒で復活するかよ。
中年男を舐めるな、この小娘めが、返り討ちにしてやるぜ――。
禁止薬物の使用を決意していたツクシが、リュウの視線の先を目で追うと、貸し部屋の出入口にあった垂れ幕が揺れている。
「あっ! ああ、いや、そろそろ、俺は戻って寝る――」
さっと離れたリュウが、ベッドの脇に脱ぎ捨ててあった黒いブラジャーと瑠璃色のドレスを手にとると、それで手早く自分の裸を隠した。そのあとで、床に落ちていた自分の黒いパンティに気づいたリュウがそれを身につけた。スカートは便利である。
ツクシはとりあえず掛け布団を使って自分の局部を隠し、
「ちょっと待てよ、リュウ。じゃがいも酒を忘れて――」
「――おやすみ、ツクシ」
リュウは垂れ幕を割りながら、わずかな笑みを浮かべた。
女の声、
女の顔、
女の態度――。
「――あっ、ああ。また、明日な」
リュウが見せた女性に気をとられてツクシの返答は遅れた。
その時点で天幕の貸し部屋にリュウの姿はもう無くなっていた。
「――おい、リュウ。
ツクシは取り残されたような気分で呻いた。
床にあった銘柄の無い酒の瓶は、まだ半分近くその中身が残っている。
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