第5話 夜ご飯。
「今日の夜ご飯は何が食べたい?」
ママがよく聞いてくるセリフなんだけど、僕はこれをワナだと思ってる。
だって「ハンバーグかマグロ」って答えても
「またー?」とか言って、僕の言った通りの夜ご飯には、ならないからだ。
だったら、わざわざ聞かなきゃいいのに。
僕は毎日、ハンバーグとマグロの繰り返しでもいいと思ってるんだから!
……たまーにホイコーローでもいいけどさ。
ママは他の事でも「どっちがいい?」って、僕に聞いてくることがあるんだけど、それも大体僕が言う方は選ばない。せっかく考えて答えたのにひどいよね?
それなのに、昨日また「夜ご飯何がいい?」って聞いてくるから、僕はやっぱり「ハンバーグ!」って答えたんだ。
そしたら「えー?またー?」って言われた。
いつものパターンのやつだ……。
そして、僕は納得がいかないまま習い事に出かけた。
前までは習い事もママがついてきてくれたけれど、今では全部自分で行けるようになった。僕はちょっとだけ大人に近づいた気がする。
大きいお月様を見ながら帰ってくるのも何だか楽しい。
でも、1番喜んでいるのはママだと思う。なんかいつも疲れたーって言ってるから。
僕から見たら、ママはいつも家にいて楽そうで羨ましいのにさ。
そんな事を思いながら、習い事から帰ってドアを開けると、その瞬間にいい匂いがした。
これはひょっとして!?
ハンバーグ!!
「えー」とか言いつつ、作ってくれてるじゃんか。さっきの「ママは楽そうで羨ましい」って言葉は無しにしなきゃ。明日は僕がご飯炊いてあげようかな。これ、ママが結構喜ぶことだから。笑
そしたら、明日はマグロにしてくれるかも!!
ママが喜ぶこと、多分パパより僕の方が知ってるんだよね。
あ、この話は内緒だからね。
約束だよ。
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