自分を肯定してくれるものは好き・反対の考えはキライ
●かえるのいる場所には必ず水があるが、水がある場所に必ずかえるがいるとは限らない。(ゲーテ格言集より)
成宮寛貴の名で俳優活動をしていた平宮広重さんが、「ワクチン反対派」だと誤解させるような動画の拡散のされ方をして、釈明をした。
問題の動画は、悪意ある切り取られ方をし、いかにも平宮氏が思想信条的に「ワクチン反対派」であると認識するように誘導する危険のあるものだった。
「いろいろな情報を自分で判断して、僕は打たないと決めただけなんで、別にワクチン反対派というわけではない。そんなもの、それぞれ自分でこれと思うものを自由に選べばいいんだと思います」
今の話で大事な部分は、「皆自分の責任において好きなものを選べばいいだけで、その結果に対して自分の選択と違うからといって、あるいは自分がそれを気に食わないからといって非難したり攻撃したりするべきではない」という点。
もうひとつは「自分がある思想信条を強くもっていて、好きな有名人がそれを補強するようなことを言っていたら、自分が正しいという自己肯定感を持ちたい誘惑にかられ、ついつい拡大解釈をしたくなる」。平宮さんが「僕、ワクチン打たないつもり」と言ったに過ぎないものを、いかにも彼が反ワクチンであると広めるような動画を拡散したのも、その具体例である。
筆者がやっているスピリチュアルな(最近はそうでもない?)情報発信も、自分が正しいので大勢に広めて誤解を正したい・正しい認識をもってほしいと思ってやっているのでは1ミリもない。いや、1ミクロンもない。
言いたいから言っている。賞賛したい人、この情報を喜んでくれる人はゼンゼンそれで構わないが、納得できない人や嫌悪する人にまで分かってもらおうとは思わない。むしろ嫌いで結構、あなたとワタシ一生会わずに住み分けできたらいいよね、ってなもん。一生その人と分かり合えなくて構わない。
宗教もスピリチュアルも、人生の教訓や美学も哲学も、すべて人の好き好き。尊重しこそすれ、決して悪く言ったり自分の理屈で言いくるめようとしなくていい。
そうは言っても、筆者は時々何某かのスピリチュアルやその指導者に批判的な文章を書いたりするので、言ってることとやってることが違う、という人もいるだろう。
これも何度も言ってきたことだが、私は「すべての思想信条は部活動」というスタンスなので、あなたが野球部だろうが落語研究会だろうがどうでもよい。ただ——
●その宗教やスピリチュアルが、言ってることどうのに関係なく「結果的に誰かに実害を与えた」場合。
たとえば旧統一教会などは、ちょっと前の記事で「潰れてよし」ということを言った。爆笑問題の太田氏あたりは怒ってくる意見だと思うが。
霊感商法問題や、正体を隠しての勧誘・信者化など明らかに社会的実害を招いている。これは、何を信じても自由(部活動)という問題をはみ出る話なので、駆除に乗り出して構わない。
筆者がここで展開した特定のスピリチュアル批判も、実際に読者が「こういうのを信じていた時期があって、結果傷ついた、あるいは疑問を感じた。賢者テラさんはどう思うか聞きたい」というコメントを寄せてきたので乗り出したのだ。それ以外のケースで、頼まれずに自分から他者を非難したことはない。
●悟りとは、一切の問いがやむことだと言われる。
転じて、なにかひとつが絶対の真実で、それ以外のものが間違いであり、その真実をすべての人が知る必要がある。そしてその真実を自分が知っている、という境地を完全に卒業する。実は、今言及した境地はスピリチュアルの旅路で言えば青春時代にあたる。まだルーキーでありひよっこなのだ。
つい先日も、何か特定のスピリチュアルを信じていると思われる人が、その好きな書物の一節を引用してきて何か言ってきた。
大昔、私もそうだった。これだ!と思う真理(当時はそう勘違いできる何か)に触れ、皆にこの素晴らしさを分かってもらいたい、分からん奴かわいそうみたいに考えた時期が。
考え方の違う人間に、どうしても何か一言言ってやらないと気が済まないような人は、探求はまだまだ深まっていないということを知るとよい。ましてや実行するなど、ケツの青い証拠である。
人というのはどうしても、自身の考えを後押ししてくれるものはもっと強めたくなり、自分の考え方と違うことによる嫌悪感をもよおすもの・あるいは脅威となりそうなものに対しては何かしら格好つけて攻撃したくなる性分らしい。
今回の平宮(成宮)氏の被った迷惑もそうだが、社会にこの「人間の悲しい
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