Q&Aのコーナー第七十九回「覚醒できるならどんな手段でもいい?」

Q.


 ヘミシンクをやってこれが覚醒意識かも、っていう状態が得れたのですが、これってテラさん的にはありですか? そういう補助的なもの(薬もある)で得る覚醒というものをどう評価しますか?



A.


 ベストだとは言いませんが、ありではないでしょうか。

 各人がそれぞれ異なる事情や環境に生きていて、その人の一番の願いがその手段を取ることであるなら、私はその決断にとやかく言いません。



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 ちなみに筆者は、ヘミシンクとは何かよく知らないし、知る気もない。

 洋画「ヴァン・ヘルシング」を思い出したくらいだ。西洋版の妖怪退治の映画だったように記憶しているが、筆者の認識などその程度のものだ。

 まぁ、あなたがいいと思うのならいいんじゃないですか。特に他者に迷惑がかからないのであれば。あればちょっと考え物だ。

 ま、常識の範囲で考えてね。迷惑をかけなければいいと言ってしまえば、真面目に考えるとほとんどの趣味がダメになるので! ごはんの時間になったのに「今やめられないんだ。もうちょっと!」と子どもがTVゲームをやめないとお母さんは怒るでしょう。早く食べてほしいし洗い物があとあとまで片付かないし! そう考えたら人に迷惑をかけない趣味など存在しないのであるが、程度問題として考えたらいい。



「悟り」や「覚醒」とは実に高度でかつ厳粛な概念である。

 簡単に、しかもミーハーチックに軽々しく語ることをゆるされない内容のひとつである。仏教で厳しい修行をしたり、悟りのマスターのもとで寝ても覚めても悟りを追うような人からしたら、遊び片手間に悟りを語られたり得れたなどと言われたら腹も立つのが人情だろう。

 筆者も、一時期それに近い価値観だった。賢者テラになって最初、周囲の皆さんがあまりにも悟りを勘違いされており、私の得た悟りに比べ、世間から入ってくる悟りに関する情報があまりにも「ゆるゆる」かつ「甘ちゃん」なので、ちと憤慨に近い感情を抱いたことは正直なところあった。

 でも、私も年月を経て丸くなった。

 近頃では、もう皆がその時ハッピーならなんでもええわ、という心境である。



 南米ペルーで、「アヤワスカ」という植物が強い幻覚作用をもたらすことを利用して、それで得られる意識状態を「悟り(覚醒体験)」の代替物とするようなことがはやっていると聞く。

 昔の筆者なら「アホか!」と鼻で笑って相手にもしなかった話だと思う。でも、みんなそれぞれ異なる人生なんだから、出会うものも持つ人生観も違うんだから、その人がそれを心から欲するんであれば、それを認めてもいいやと今なら思う。

 それを悟りである、覚醒体験であると認めてもいい。

 私が自分の得たものを基準として周囲を裁くなど、どんなに自分が苦労していたとしても人一倍それを探求してきた実績があったのだとしても、結果人を裁くならサイテーなのだ。



 NetFlixに、そのアワヤスカを扱ったドキュメンタリー番組があった。

(現在、見れなくなっているようだ。筆者は必死に探したが)

 アメリカで、親の顔色を始終うかがい、親に喜ばれるよういいこちゃんで生きてきた男性がいた。大学生頃にムリが来て心が壊れた。西洋医療や心理学に頼ってもまったくよくならない。

 都会にいても治らない、と感じたその青年は南米ペルーにおける「神秘体験をすることでよくなった話」を聞きつけ、両親の反対を押し切って旅立つ。

 で、アワヤスカを利用して回復していくという話である。

 ニュースのように「だれがいつどこで何をした」という事実だけ聞けばいい話には聞こえないが、この番組のように、心折れた男性が必死に生きようとして、手を伸ばして得られた情報を懸命に生かしていく様を一視聴者として追うことで、彼の人生を肯定できるようになるのだ。批判の気持ちはやむのだ。なぜなら自分も彼の立場だったらそうするだろうと思えるからだ。

 事実だけ聞いても、彼の人生の追体験ができるわけじゃないから単純に「薬物なんぞけしからん」になるだけなのだ。


 

 筆者が心から願っているのは、正しい悟りが世に広まることではない。勘違いさんが「オレは悟りを甘く考えていた!」と反省するのを見て溜飲を下げることではない。私の悟りなぞ、私だけが分かっておればよいのだ。皆には皆の悟り・覚醒があり、本人がいいというならそれでよいのだ。私は相談に乗ってと言われたりアドバイスを求められた時だけ、自身の悟りに照らし合わせて答えるのみだ。

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