ウルトラ5つの誓い

『帰ってきたウルトラマン』の最終回に、「ウルトラ5つの誓い」というのが出てくる。故郷に帰っていくウルトラマンが、人間の姿でいた時の恋人の弟である少年に伝えたもの。


 

①腹ペコのまま学校へ行かぬこと


②天気のいい日に布団を干すこと


③道を歩く時には車に気をつけること


④他人の力を頼りにしないこと


⑤土の上で裸足で走り回って遊ぶこと



 ……何だか、分かるような分からないような。

 ①②⑤に関しては、時代的なものもあるのではないか。

 健康に対する過剰な情報や常識の変化などで、選択する生活スタイルによっては①もそう悪いことではない。②も、布団文化にも多少変化があり、天気のいい日に干す必要のない「羽毛ふとん」を使用の場合、まぁどうでもいい誓いである。

 ⑤も、二十年昔と違い、今土の上を無警戒で全力で走ったら、何が落ちていて足を怪我するか分かったものではない。土に含まれる細菌によってはやっかいなものもあり、今の時代には手放しでは推奨しにくい。



 とまぁ、遊び心でツッコミを入れてみたが、言いたい本質はそんなところにはないだろう。ここで、この5つの誓い筆者流にアレンジしてみよう。



①勝算のない戦いはしないこと。準備は怠らぬこと。


②したいと思ったことを、できるだけ思ったその時に実行すること。


③この世界で幸せをつかむには純粋な思いだけでなく、思考(戦略)も使って賢く進め。


④他人の力を頼ってもいいが、頼るべきこととそうでないことの区別ができること。


⑤時には一切のしがらみや気遣いを忘れて、思いっきり感じたいように感じること。



 ①に関して。ここで言う勝算とは、「絶対に勝てる」という見通しのこととは違う。この世界に絶対などない。

 ただ、様々な問題要因や障害要素を踏まえた上でもなお、内なる部分がゴーサインを出しており、恐れがないこと。(あっても、あえて行動に踏み切れる範囲に微弱であること)

 そして何より、たとえ負けたとしてもそれはそれ、という覚悟ができている状態。



 ④に関して。本家のウルトラの誓いのほうの「他人を頼るな」というのは、文字通りにだけ解釈するとある視点での真理でしかない。そのメッセージが一番伝えたいツボを汲み取らないと、何でもかんでも自分で背負い、他人を本当に頼りにしないという笑えない状況を生む。

 ある視点では、「この世界では自分一人では生きていけない。言い換えるとある部分では他人に頼らないと生きてはいけない」。

 だからこそ、「頼っていいこととそうでないこと」の区別ができる能力が重要になってくるのだ。



 ⑤に関して。社会生を円滑に進めるために、ある程度の「気遣い」は必要。

(相手の状態や場の状況に合わせて、自分の気持ちを粉飾して言葉にすること)

 でも、あなただけの時。または、胸の内を明かしても支障がない友人といる場では「王様の耳はロバの耳!」的なことを言って、鬱憤を晴らす。(笑)

 日常をホンネ100%で生きると今の時代はまだ支障が出る時代であるから、何事もホンネそのままがいいんだ! ウソはいけないんだ! ということを教える純喫茶スピリチュアルがあるなら、無責任である。

 知恵を使い、気配りをし、巧みに浮世荒波を生き抜け。



 でも、最終的にはこんな誓いすらどうでもいい。魂の成熟段階によっては、よく聞かれる 「ノーメソッド」という領域に突入する。

 しかし、いきなりにそこはない。汗もかかずにノーメソッドって、確率的にゼロとは言わないが、ほとんど行ける道ではない。幼少期から天才児で、中学・高校を飛び越えて大学入学資格を得る、なんてマンガの世界のような話もあるが、絶対数で言うと少ない。

 そこに自分がなるなんてムシのいいことを、最初からは考えないほうがいい。

 多くの場合、メソッドを十分にやった者がノーメソッドに行けると心得よ。

 もうこれお腹いっぱい! になって、ようやく次のステージが見えるのだ。

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