矢切の脅し
ある時ヒマつぶしに、他のスピリチュアルブログとか、ツイッターのスピリチュアル系ツィートとかを読んでみた。それで、改めて思ったことがある。
『脅し系』のメッセージが結構幅を利かせてるな、ということ。
たとえば、ある発信者の情報によると——
今肉食をしている人間は、もうアウトだそうだ。アウトというのは高次元にもういけなくなるとか、地球に転生できないとか……何せ思いっきり大変なことになる、ということだ。
その他にも『生き方』においていくつかの条件があり、それが出来ていないとその人は『低レベル』なのだそうだ。この先もそこから抜けられない、と言う。
それやったら筆者は思いっきりアウトやん! というのが、そのスピリチュアルメッセージを読んだ後の思考である。
でも、それでいいですよーだ。
発信者や、それに同調・実行できる人はいわゆる『ちゃんとやっている人』。そういう人は、幸せになれ、良い所へ行ける。一方彼らの基準で「そうできない者」は、それなりの運命をたどることになる。
要するに、『働かざる者食うべからず』の論理で、自分の選択した行動に応じてそれ相応の報いを受けるぞ、ということ。
徹底した、因果応報論である。もちろん、観察される現象レベルでは、因果応報論は正しく見える。
確かに人は、そのしたこと、目に見える何かによって評価が決められる部分があるのは確かだ。でも、そもそもそれらがすべて『決まっている』としたら?
演劇のように配役が決められ、分担が決められ、地球という劇場舞台で皆がただそれに忠実に演じているだけだとしたら?
ちなみに、ある脅し系の発信者は「覚醒者よ、団結せよ!」というスローガンを掲げていた。まるで、幻魔大戦に出てくる能力者たちみたい。圧倒的多数のバカばかりの中で目覚めた者が、先頭に立って羊飼いのように人々を導いていく感じかな。
まったくもって、団結する気がなくなる。まぁ、この人たちにしたら逆に筆者の方が「覚醒してない」って言われそうだけど。
まず、こういうスピリチュアル情報を発信し始めたらかかる罠がこれ。
●覚醒者=目覚めた者
つまり、目覚めていない大勢の中に目覚めた。
だから、目覚めていない者に対して、必要な情報を与え手助けできる。
=今、目覚めていない人は状態において十分ではなく、不足している。
=あるべき姿にない。だから、的外れなことばかりしでかす。
=こいつら、どげんかせんといかん!
こういう論理になると思う。
世界が間違っている、人々が分かっていないという理解無くして「このままでは大変なことになりますよ」という脅しメッセージは生まれてこない。
私は疑問に思う。覚醒者って、そういうもんかなぁ? って。自分の体験に基づいて言うと——
●覚醒=すべては夢だとわかること。
いちなる意識がただ在る、という以外は現実ではない。
要するに、ただあらゆる可能性を演じて楽しんでいるだけだと分かる。だから、この幻想世界において「問題がある」ことも含めて「問題がない」と分かる。
何かの努力をする必要もない。
~ができていない、アンタのこれがアカン、と責める必要もない。
ただ、すべては起こるままで完全である。
私が、「世直し系覚醒者」と話が合わないのが、この点である。
あちらは、問題を問題として捉えている。私は、問題があること自体を問題ではないと考えている。
解決するシナリオなら、する。しないシナリオなら、どんなに気張ってもしないものはしない。
もちろん無理と分かっていても最後まで頑張るのも、ひとつの味わいである。できると思ってなかったのに、ちょっとしたことで大きなことができてしまうのも、ひとつの味わい。そんなことも時としてこの宇宙では起きる。
私は、宇宙のシナリオを信じている。すべての人々の配役が、完全であることを信じている。
もちろん、筆者がここで使う「完全」の意味は、人間側の使う意味ではない。戦争や、様々な問題も含めて宇宙のすべてが完全という、エゴには絶対理解不能な「完全」。
私はこれ、別に分からんでもいいと思う。分かる配役の人もいるし、分からない配役の人もいる。ただそれだけなのに、それを優劣という別次元の物差しで測ろうとする人がいる。
覚醒者がそれをしていたら、果たしてその覚醒に価値はあるのか?
本書を読んでくれる人たちだけでも、これが伝わればいいかな。
●脅しに負けるな。
相手にするな。
今この瞬間もこれから先も、一切問題はない。
安心していい。
「問題だ」と焦るその思いや判断も含めてすべて問題なし。
この世界には、伝わってくるニュースだけを見ても、問題がある世界と考えやすい。ってか、そっちの方が普通の感覚で、私のようなのは逆に問題あり、とされるのではないか。問題意識なさすぎ、とか現実を見てない、とかそういう「問題ない」系のメッセージは麻薬のようなもので、人を易きに流れさせ骨抜きにしてしまうと。
ケンチャナヨ(韓国語で、大丈夫、問題ないの意)主義は、人を甘やかすと。
でも筆者はシナリオの力を、一人一人の生きようとする魂の底力を信じたいのだ。
進んだ優秀な人間がケツを叩かないとまともにすら生きられない、なんて命はないと信じたい。私はこう言うことで大損をこうむってもいいから、負けてもいいから、これに全部賭けたいのだ。ルーレットで有り金のチップ全部、このひとつの数字に張りたいのだ。
~べきという基準を設けて、世界を監視し、いちいちダメなところを警察のように突っ込んで回ることはしたくない。皆さんの中には、すでに種が植わっている。
●あなた自身の命の力で、この世界を渡り切っていけるだけの種が。
他者から教わるなら、それもひとつである。
たとえ教わっても、あなたの力でなきゃ触れることもない。教えられる機会にすら巡り会わない。
何にせよ、脅しをまともに聞いて、窮屈な思いをして生きるより、同じ生きるなら伸び伸びと生きようよ、ということ。これからは、スピ的脅しのことを——
●矢切の脅し
そう呼んで、そんな渡し船には乗らない、と決めてしまおう。
潔癖系覚醒者が高次元に行って、こちらをザマーミロって言っても(お行儀がいいので言わなくても心で思うだけだろうが)、こちらはこちらで、楽しんでやりましょう。たとえ天国だろうが、人が少なければ寂しいだけです。
ましてや、そんな高次元に行く人はストイックな偏屈人でしょうから、うらやましがる必要はありませんね。ああゆうのは放っておいて、日々を楽に生きましょう。
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