Q&Aのコーナー第五十七回「覚醒意識を保つ努力って要る?」
Q.
筆者さんは覚醒体験をされたということですが、その後も覚醒意識をずっと保たれてるままですか? (覚醒する前の)分離意識に戻ることはありましたか?
A.
戻るとか戻らないとか、努力しないと保てないとか、そういう次元のものじゃないんですけどね。
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この文章を理解するまでに、しばしかかった。(笑)
もちろん、日本語としてはおかしくない。ただ、生きる上での前提が筆者とはまったく違うようなので、異世界の言語に一瞬、次のような戸惑いを感じた。
●えっと、覚醒意識以外この世界にあるの?
で、覚醒意識って、保つものなの?
皆さん、それから外れ得るって考えているのか。
保とう、って意識的にキープしないといけないとか、油断したら覚醒意識じゃないって……なに、その窮屈な視点?
なるほど、よく考えればそういう風に聞きたくなる理由は分かる。
この記事少し前に、『悟後の修行』っていう内容を取り上げた時と、話は同じになる。人は「努力し続ける」のが大好き。皆さんにとって特に重要なのは「~し続ける」っていう部分。
それをしてれば、もう一種の免罪符のようなもので、「謙虚で」「地に足の着いた」ゴールドメンバーにとりあえず加入できる。それで世間様から低評価されることはない。
でも、そんな世の中でこんなこと言っちゃ恐縮ですが——
●もう、今後私に勉強の二文字はない。
本当の意味で学ぶべきことなどない。
もちろん、言葉上の不便さもある。
何をもって「勉強」というのか、の前提の問題もある。
例えば、世の法律が変わったり、税制や税率が変わったらその計算法や、書類への記入の仕方などは聞かないと分からない。
いちいち生活という幻想上必要な知識など、そういうものまで含めて勉強だとあなたが言うなら、なるほど私にも勉強は必要である。
ここで、「私には勉強が要らない」と言う時の勉強とは、何か?
思うに、こういうことではないだろうか。
●自分には、まだ人として不十分な部分がある。
経験し、知ることによって今より改良される余地がある。
不十分な自分の欠けを補うために、勉強がある。
ゆえに、学び続けなければならない。
一生、勉強である。
オレはもう十分。そう思った瞬間に、その人の成長は終わる。
傲慢、というものへの戒めとして、よく聞くでしょ? オレにはもう学ぶことなど何もない、って思ったら終わりって。成長が止まる、って。
でも私は、この常識をひっくり返したい。実はそんな意識だから、成長しないんだよ。そう言ってやりたい。
今という瞬間において自分に不十分なところがあって、それを頑張って埋めて、マシにしなきゃという発想は、絶対うまくいかない。
世間の人が「謙虚」という言葉を使う時、たいてい間違って使っている。多くの場合、単なる「自己卑下」である。
自分には欠けがある、今が十分でないということだけが学びや発展の原動力じゃない。今ですらOKと認められるからこそ、さらに「やればやったで良いことだけど、別に今必死にしなくてもいいこと」をしたくなる。
この世界は、「本来しなくてもいいこと」の数々で支えられている。そのしなくていいことの背景は「しなくてよくてもしたい!」という情熱に裏打ちされている。
だからこそ本物。しかし「するべきこと」に裏打ちされた行動は、実に波動の低いエネルギーである。
もちろん、この世的流儀に従えば、皆欠点があるのだろう。直すべきクセ、性格の類もあるのだろう。
でもそれは、すべての人に共通するある物差し(そんなものは幻想だが)の基準においてそうだというだけ。そもそもそんな定規、誰が決めたの? 何の根拠があって?
欠点があることが、完璧なのだ。また変化すること、その都度結果が違うことが、完全なのだ。
矛盾が、不完全が、失敗が 「完全」 なのだ。
完全とは何か、という定義に関して、筆者と世間の方とは認識が違う。
私は『不完全の完全』をこそ、強く提唱する。
皆さんがイメージする、失敗もしない欠けもないというのが 「完全」ではない。
そもそも、我々の正体である『神意識』の正体自体がそれ(完全)でしょ? それに嫌気がさして、別の体験をしたくなったからこっちに来たんじゃないか。
そんな 「完全」には、飽き飽きしてるの! だから、この世で起こる悲喜こもごものドラマが、いい悪いなくすべて「完璧」なのだ。
神意識からしたら、そういう風にしか見えない。
あるべき基準ってのがなくて。
だから、すべきことが何もなくて。
ただ、それでもあえてしたい、ってことがあるだけで。
それはもう、趣味の世界の事で。
ゆえに、覚醒意識を保つために何か努力や工夫をする、とかはない。ってか、何もすることがない。なぜなら、覚醒意識からは逃げられないからだ。
そうであることから外れることなど、あり得ない。それが、私の認識である。
例え怒ろうが泣こうが、嫌な気分になろうがそれすらも「完全」。何をしたって、宇宙のシナリオ。だから、質問者さんと私では、話がかみ合わない。
あちらは、覚醒を何か特別なことだと思い、その高い(?)基準を保つために(エゴにやられないために?) 何かきっと頑張られてるに違いない。コツがあるに違いない——。そう思っている。
かたや私ときたら、な~にも意識的に努力してない。言いたいことを言い、したいことをしている。それ以外に何かを気を付けてなどいない。
●てか、何かの努力や~するべきがないと保てない覚醒って、ナンデスカ?
そんな覚醒、ショボくない?
私は、他の覚者さんのことなんて知らない。
知らなくてもいいから別にいいけど、悟った後にその意識基準を維持するために何かが必要、ってのがよく分からない。
そういえば、ある方が言っていたな。「覚者だって、今ここからズレたらその時は覚者でなくなる」とか。
間違っちゃないけど、つまらない見方だね。何で、そんなネガティブに見なきゃいけないの? どう転んだって、宇宙の完全な流れから外れられないのに。
「分離意識」という言葉も曲者だ。
全体意識(ワンネス)が良くて、それの反対語みたいなもので分離意識、って言葉を使っていませんか? 分離意識が悪者になっていませんか?
そもそも、分離意識を体験することが本望で、神意識はこの世界を切り開いたんですよ。まさかそれをお忘れじゃないでしょうね?
だから、分離意識最高! でいいんですよ。
ここも、質問者さんと私の世界観が合わない点である。
覚醒意識と分離意識が違う、という認識。
禅問答のようだが、そういう認識こそ本当の『分離意識』 。
私は、ぜんぶひとつの意識だと思っている。だから、外れるも何もない。ひとつしかなく、それ以外ないから。
人は何でも、いいものと悪いもの(本来でないもの)とのペアで考えたがる。
そういう前提だから、悪いものを良いものにする動き(努力)がもてはやされる。
だから、理想としては覚醒意識であるべきで、分離意識なるものになったと認識したら「いかんいかん! 軌道がズレてしまった」って反省して、必死に修正するわけですよね?
そりゃ、窮屈だ。どんな状態だって、それこそが最善。
あとはそれを味わい、その上でそれを続けていきたいのか、それとも変えたいのかの選択をする。そして、どんどんドラマが紡がれていく。
そのサイクルの無限の連続が、人生。そして輪廻。
結論として。
●筆者さんは覚醒体験をされてから、その後も覚醒意識をずっと保たれてるままですか?
→あなたの言う覚醒意識と、私の認識する覚醒意識は違うようです。
言葉は同じでも、定義が違うようです。私の認識するそれは、努力しないと維持できない、保てないということがありません。
皆さんの目から見て私が「保ってない」と思うのは勝手ですが、そういう状態でさえ、私は悟っています。それは、皆さんもそうなのです。
だから、覚醒したしないなんて四の五の言ってないで、覚醒意識でいることを認めちゃいな、って勧めるのだ。究極の視点からは、それ以外になることの方が難しい。
だから、あなたの基準にしたがって答えるなら「覚醒意識を保ったままだ」となります。ただ注釈を付けると、「保つもなにも、それ以外選択肢ないんですけど?」 となる。
●分離意識に戻ることはありましたか?
……分離意識とは、何でしょうか?
覚醒意識じゃない、分離という幻想に囚われた意識(人間意識)ってことでしょうか? ならばそれが悪いという前提、それに気付いたら覚醒意識にもっていこうとしたほうがよい、という前提があるわけですよね? 皮肉な話ですが、そんな認識だからあなたの言う「分離意識」に囚われるのですよ。
私は、価値判断をしません。覚醒意識も、皆さんがあるとする「分離意識」も同価値です。だから、私の内部でケンカがありません。~するべき、がありません。
私の中では、覚醒意識も分離意識も同じこと。むしろ分離意識を味わいに来たのだから、それはそれでいいではありませんか。
これを無理矢理質問者さんの基準に合わせて答えると、どうなるでしょう?
「分離意識に戻ることはある」になるでしょうか。
でもそれは、覚醒者としてベストではない状態ではなく、それこそが生きるということ。分離意識をイヤだと思うんなら、この世界に生かされておいて、それほど不幸なことはありません。それをこそ、味わいに来たのです。
分離意識を覚醒意識でないと言うなら、生きるってことは何とつまらないものでしょう。
●覚醒意識 ← (反対語) → 分離意識
これは、違います。
●覚醒意識 ← (包含) ← 分離意識
この世には、覚醒意識ひとつしかなく、分離意識は覚醒意識の属性のひとつに過ぎない。バリエーションに過ぎない。
ただの存在形態のいちパターン、個性にすぎないので、そこに良し悪しはない。
もう一度言う。
覚醒意識は、分離意識さえ含んださらに全体を言うのである。
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