たったひとり
『シンドラーのリスト』という映画をご存知の方は多いと思う。
かなりの名作だし、ご覧になった方がほとんどだろうと思う。
この映画の宣伝キャッチコピーは、
●一つの生命を救う者が世界を救える——。
……というものだった。
当時の私の価値観には、少し合わなかった。
なぜなら、私は新興宗教に凝り固まって、信者獲得に必死になっていたからだ。
何人目指せ、なんていうノルマもあった。そんな中、一人よりは二人、三人……多ければ多いほど良い、という価値観になっても仕方がない。
私がこの映画を見たのは、人生の中のそんな時だった。
もちろん、感動はした。でも、たったひとりを救う者が世界を救う、という文句が腑に落ちなかった。
イエス・キリストは一体どれだけ多くの人に影響を与えた? 少しでもより沢山の人生を変えられる者こそが、世界を一番救えるはずでは?
そんな思考ばかりが、頭に渦巻いていた。
しかし、今なら違うとらえ方ができる。
私が後にスピリチュアルに目覚め、あらためてこの映画を見つめなおした時、次のようなインスピレーションを得た。
●たったひとりを救えることが、世界を救うことになる。
なぜなら、究極には数ではないからだ。
たったひとり、という数字的見方もできるが、そのたったひとりは言い換えれば「その人の宇宙の主人公」である。
言い換えれば、一人の人間は宇宙全体の象徴でもある。
その象徴を救うということは、すべてを象徴的に救うという意味合いになる。
もちろん、厳密には『救う』という言葉自体、本当はおかしい。
なぜなら、この宇宙に存在するすべてのものは、あるがままで完全なのだ。
よって、救われるべき命、など本来は存在しない。しかし、(この世界から見れば)完全なる存在『神意識』が、不完全や変化(つまりは冒険)を味わいたくて、あえてこの陰陽からなる二元性の世界をつくった。
だから、救う、救われるということがあるように見える架空のゲームをしているのだ。その前提で、今日のここからの記事は読んでいただきたい。
筆者は、執筆だけでなくメッセージを動画配信したりたりする。
現実に生き、また生身の人間である以上、そりゃ少しでもたくさんアクセスや反響があればうれしい。個人セッションも、お申し込みがたくさんあるとうれしい。
でも、だからと言って参加者が思ったほどでなかったり、スケジュールがヒマだったりすると、がっかりしたり嫌な気分になるのかといえば、それはない。
だって、先ほど述べた言葉が、私の胸の中で生きているからである。
●たったひとりを救える者が、世界を救える。
だから、私の文章を読んだり動画を見てくれた人の中で、たったひとりでもいい。
私の言葉を通して気付きを得たり、「読んでよかった」「見てよかった」と思ってもらえたりするなら、それだけでもやってよかったと思う。
だって、それが世界を、ひいては宇宙を救うことにつながるのだから。
そのたったひとりも、ひとつの宇宙を開いている大いなる意識。ワンネスとして、結局は皆意識においてつながっているのだから、ひとりが変化することは世界が変わることと同じ重みがあるのだ。その意識で活動しているから、現実的実績(結果)に気分を振り回されることはない。
よくある例えだが、人間一人ひとりは井戸のようなものだ。
地表にある沢山の井戸は、場所も違うしそれぞれ別物に見える。しかし、それらの井戸はどれも、ある共通する大きな水脈から水を汲み上げているとする。ならば、井戸として見た場合は違うが、水脈から見た場合そこに差などない。
この三次元に生きているから、大きい小さい、多い少ないという概念がある。
あれとこれ、それとこれがある。そのどれもが、個別のものである。
でも、それは人間の視覚上のイリュージョンであって、究極にはひとつ。だから、この世界でひとつが変われば、連動してあらゆるものがその影響を受ける。
もちろん、現実問題として私たちは数に影響を受ける世界に生きているので、それを無視はできない。
そりゃ、何でも少ないよりは多いのがよいに決まっている。お金に関することもそうだし、ひとりよりもっと大勢に喜んでもらえるに越したことはない。
しかし、少ないことは多いことより価値がない、というところまでの価値判断は行き過ぎである。もちろん、そう判断することに善悪はなく、間違いなどと言うことはない。しかし、あなたがこの世ゲームを快適にプレイしたいと望むのなら、ちょっとオススメできない。
きれい事でも慰め文句でもなく、ホントのホントにひとりを救う者は、世界を救うのである。
今まで、ヒーロは大勢の中の選ばれた優秀なひとり、というイメージがあった。なぜなら、大勢を救わねばならないから。だから必然的に、誰もかれもなれるものではない、という意識があった。
でも、これからの時代は違う。たったひとりを救う者が宇宙を救うのだから——
●あらゆる人が救世主だ、ということである。
たったひとり救うことでいい。
または、あなたひとりが変わることでいい。
それが、宇宙を救うことになるのだ。
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