批判者に祝福を!

 この世界に、完璧な組織、宗教、グループは存在しない。

 なぜそう言えるのか。

 この書を物好きにもご愛読くださっている方には、ここまで何度も触れてきたことなので、理由の見当がつくであろう。

 この世界は、二元性の世界である。

 すべての物事に極と極が存在する。その端と端の中で、すべての現象は揺れ動いている。陰陽、という「二面性」をもつという縛りから逃れられるものはない。

 逃れられるのは一元性の世界のみだが、でもそんなところへ帰るなら、この二元性の世界を開いた意味がない。



 この世界あのありようを、以下のようなたとえ話で表現してみよう。

 100人いるとして。

 Aという考え方の人と、Bという考え方の人がいるとする。

 普通は、例えば60対40とか。80対20とか。

 ここで絶対にあり得ないのは、100対0である。

 これは、絶対にない。

 本当に100人とも口を揃えて同じ意見だったとしても、見せかけである。だって、ホンネの部分までは透視できないではないか。

 だから、この世界で仮に究極まで偏っても、実現し得るのは理論的に99対1。そこからは、どんなに頑張っても上にはいかない。反比例のグラフがどんなにゼロに近づいても絶対ゼロにはならない、というのと一緒である。



 百歩譲って、仮に完璧に統一されてしまったらゲームにならない。

 面白くなくなった超意識側は、「もうやんぴ!」と言ってゲームをリセットしてしまうだろう。

 だから、どんなに素敵な教えだろうが、人格者がまとめる組織だろうが。

 絶対に、批判分子の存在から逃れられない。

 絶対に、誰かと誰かが対立するような事態をさけることはできない。

 もちろん、努力によって限りなく少なくできるが、ゼロになはならい。

 


 私が覚醒前に触れたスピリチュアルの教えとして、「奇跡のコース」 いうのがある。これまでの記事でもちょっと触れたことがあるが、ご存じない方で興味のある方は、調べてもらったらいい。もちろん、知らないからってあなたの神としての存在価値はまったく損なわれない。

 昔、私はこれこそ最高の教えだと思っていた。

 だから、この教えに納得できた人なんて、本当に悟った人や人格者であるはず。

 この教えに携わる組織やグループなんてのは、さぞかし平和で、居心地いいだろうな、と想像した。

 でも、本当にそれは想像上だけだった。錯覚だった。

 やはり、この世界の特徴である二元性の縛りから免れるものはなかった。



 私は、ミクシイで「奇跡のコース」の学習者が集うグループのサイトをのぞいてみた。まぁ、議論がすごい。

 一応、相手のためを思って……という仮面は付けているが、争っているというか。自分の正しさを証明するため、相手をやりこめようとしているのが見え見え。

 それを見た時、妙に悟ったものだ。



●これが悪いんじゃない。

 これで、いいのだ!



 パーフェクトになったら、二元性のゲームが続かない。

 この世界がゲームの場であり続けるために、宇宙はどんな手段を使ってでも、陰陽(二極)のバランスを取ろうとする。どんなに完全にしようとしても、穴は絶対にある。だから、この世界に身を置く以上、対立するふたつを受け入れるしかない。

 そしてそのふたつが存在することに、感謝するのだ。

 その上で、あえて自分はこちらが好みである、と宣言するのだ。

 この時に言っちゃいけないのは「こっちが正しい」という言葉である。



 だから、ある集団の中で、その輪を乱すような意見を言うやからが出てきても、驚くには当たらない。

 むしろ、自然なのだ。それこそが、バランスである。

 間違っても、トップが悪いんじゃない。(悪いこともたまにあるが)

 どんな素敵なことを目指す組織でも、絶対に矛盾や対立があるのだ。



 そう考えた時。

 私たちは、批判者が本当にありがたいな、と思えるのである。

 なぜか? だってその人は……



●この宇宙で、そういう役割をあえてになってくれている。



 そう考えると、本当にご苦労様、とならないだろうか?

 ホント、ありがと! 私だったら、それイヤなんだけど、進んで引き受けてくれる人がいてよかったぁ!



 ・°・(ノД`)・°・



 もう、感謝の極みである。

 だから私は、批判的な人物をある意味「神様」だと思っている。

 あなたがいるから、私の意見がただ鵜呑みにされないで済む。

 そういう批判も踏まえた上で、なおかつ私の意見に耳を傾けてくれる読者が生まれるのだから。

 批判者がいるからこそ、私独特の個性や、主張の特異性も際立つというものだ。



 例えばの話。

 磁石のS極とS極、N極とN極は反発しあうようになっている。

 それは、自然の摂理である。

 それをですよ。

 こら! 仲良くしなきゃダメでしょ! 反発し合うのはやめなさぁい!



 ヽ(`Д´)ノ



 ……なんて言ってしかっても、しょうがないじゃないですか。

 だって、そういうものなんですもん。

 この世界に生きていれば、自分とは反対意見の者は、絶対に消えてなくならない。

 なくならないが、相手を認めて受け入れ、問題としないことは可能である。



 そのために、私たちはいる。

 ゲームの勝利条件は、実はここにある。

 だから、勝利条件を満たしたら、尾崎ではないが「この支配からの卒業」なのである。そうなったら、あとは「双六で先にあがってしまった者」として、くつろいで他の者がプレーする様を見ていればよいのだ。



 結局、すべてのことに感謝なんですね。

 あらゆることに感謝!

 私にいい顔をしてくる人だけでなく、そうでない人にも感謝!

 だから、人の愛や親切や思いやりが身に沁みる。

 皆、それぞれこの世界で役割分担を負っている。

 職業に貴賎なし、と言うではないか。

 どんな立場を表明する人であっても、何らかの役割を果たし、この二元性の宇宙を支えている。陰陽のバランスを取っている。



 宇宙って、やっぱりすごいなぁ。

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