Q&Aのコーナー第八回「悟りを得たら、この世界に飽きちゃいますか?」


 Q.


 先日の記事で、筆者さんが悟った人が陥りやすい状態について、こう書いていた箇所がありました。


 ●世界が幻想だと見切るので、この世界ですることに情熱が湧かない。


 私もちょうど今このような状態で、質問しようと思っていたところでした。

 自分は観客席で、スクリーンの映画を見ていることは理解できました。

 今は映画の内容がどうこうよりも、映画を見ること自体に飽きてしまったような感じです。ならば私は、「このような映画」を見たいということでしょうか?



 A.あなたにはどうもまだ、この世界でするべきことがあるようです。 



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 前回のQ&Aで、対外離脱を通して肉体の自分がかりそめの自分だと本当に分かってしまった人(悟った人)の落とし穴を三点紹介した。覚えているだろうか。

 今回の質問者は、そのうちの一番目に該当する自覚がある、という。



 ここで、ひとつの最もな疑問が出てくる。



●悟った人って、完璧じゃないの?



 もう悩みも苦しみも、一切のマイナス要素から解放されたんじゃないの?

 なのに、悟ったあとも何らかの問題を抱えるものなの?

 ここでひとつ、言っておこう。



●悟った人間は完全ではない。



 そんなこと、とんでもない!

 なぜなら。

 ここは、二元性の世界ですよね?

 必ず、すべての物事は二元性、つまり陰と陽という性質を必ず持っている。

 反比例のグラフを覚えているだろうか? 小学生の時に習ったと思う。

 あれ、グラフ上の曲線が、限りなくゼロに近づきますよね? でも、ゼロには絶対にならない。

 確か、そういうのを『漸近線』と言ったような。懐かしい。

 この二元性の世界に存在するものは・・・



●陰陽のバランスから逃れられない。

 たとえ片方がどんなに微小でも、必ず陰陽両方の要素を含み持つしかない。



 ということだ。だから、9割がたは愛に目覚め、悟りを得て人格的にも飛躍的に向上したとしても、完全はあり得ないのである。漸近線のように、0.000数%であっても、不完全さは残る。

 完璧な存在は、この世界に存在することができない。

 もし仮にそんなもんがあったら、問答無用で一元性の世界行き。

 そもそも、完全が飽きてこの世界に冒険に来たわけですから。

 完全性を取り戻しちゃったりしたら、この世界にいる資格を失うのだ。

 住民登録を抹消され、国外追放ものである。



 だから、覚醒した人が悩みをもったり、問題を抱えたりしても何ら不思議ではない。別に、雲の上の人でもなんでもないですよ、悟った人って。

 何か完璧なイメージを覚醒者に抱くのは、偏見である。

 悟った自覚のない方と、50歩100歩である、と申し上げておく。



 さて、じゃあ次に論ずるべきは……

 この世界が幻想だと悟ってしまったので、何だか醒めてしまって、やる気が起こらない、という問題に対する解決である。

 この質問者は、質問の最後にご自分でこうおっしゃっている。

『現実に飽きる、というような映画をあえて見ている、ということでしょうか?』

 


 はい、そういうことですよね。

 先ほど申し上げたように、覚醒したからって完全ではない。

 完全だったら、あなたもうどっか別次元にヒューッと飛ばされてますよ。

 だから、その不完全な部分で、そういうお悩みを抱えておられる。

 もう輪廻せず、あちらの世界に行って戻ってこない、ための条件として必要なのは……



●この世界ですべてを味わいつくし、もう未練がないこと。



 あるゲームソフトを遊び尽くしたら、もう別のがやりたくなりますよね。

 もう、古いソフトに未練なんかないですよね。友達に譲ったり、中古ソフト屋に売り払ったり。

 つまり、大満足してからしか終わりはあり得ないのです。

 この質問者にとって、悟ったその時が人生の終着点で、あとはこの世界を見切っちゃった悲しさで、余生を退屈して過ごさなきゃいけない、ということはありえないのです。

 だから、この質問者が悟ってなおかつ最高の喜びをもってこの物理世界を卒業するまでは、何かまだやるべきことがこの世界に残っている。そういうことだ。

 さからこれから先、あなたのライフ・レッスンのラストスパートのために様々なことが起こると思う。この世界で何だかやる気が湧かない、というのもそのひとつの現われであろうと思う。

 悟って、この世界が楽しめない、という状況は、どう考えても数億回の輪廻の最終局面を飾るのに、ふさわしくない。

 だから、あなたに残された今生での課題は、悟った上でなおかつこの世界を楽しめること、なのだ。



 ここで、ひとつ言っておきたい。

 人は映画やマンガ、小説にしても、作り物だと分かった上で楽しんでいるじゃありませんか。

 人間は、架空の世界だろうがつくり物だろうが、それを楽しむ能力が備わっているのである。とすれば……



●悟ったからこの世界が面白くない、というのは甘えであり、言い訳である。



 悟っても、楽しめます。

 この質問者の場合、私は悟ったと明確に書いていらっしゃらないので、もしかしたら悟りというよりは宇宙の仕組みに関するスピリチュアルの説明に納得した、腑に落ちたという感じかもしれません。

 どちらの場合にしても、どうかこの世で何かに情熱を傾けて楽しむ、ということに真面目に取り組んでみてください。

 絶対に、大丈夫ですから。

 あなたの悩みとはうらはらに、あなたの正体である超意識は、喜んでいます。



『うわ~、この世界のからくりが分かっちゃったよ! プレイヤーくんは何だか興ざめしているようだねぇ。さぁ、どうするどうする? 続きが楽しみだなぁ~』



 ……なんて、ワクワクしているのかもしれませんね。

 あなたもう少し、この三次元のゲームに付き合ってあげてください。

 あと同じやるなら、楽しくやったほうがいいに決まっていますから!



  賢者テラ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る