働かざる者、食べてちょーだい! シリーズ

働かざる者、食べてちょーだい! PART1

 いきなりだが、新時代の常識。



 ●愛を与えるのに、一切の条件をつけない。



 これ、ひねくれて言うと「一切の条件を付けない、という条件を付ける」。

 具体的に、どういうことか?



 参考のために、ひとつのたとえ話をしよう。

 聖書にあるイエスのたとえ話で、マタイ福音書20章1節~14節にある。別にクリスチャンでなくても、信仰をもっていなくても意味が分かる話になっている。

 だいたい、以下のような話である。



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 ある家の主人が、ぶどう園で働く労働者を雇うために、夜明けに出かけて行った。

 主人は、一日につき1デナリオンの約束で、労働者をぶどう園に送った。

 また、九時ごろ行ってみると、何もしないで広場に立っている人々がいたので——

『あなたたちもぶどう園に行きなさい。ふさわしい賃金を払ってやろう』と言った。

 それで、その人たちは出かけて行った。主人は、十二時ごろと三時ごろにまた出て行き、同じようにした。



 五時ごろにも行ってみると、ほかの人々が立っていたので、『なぜ、何もしないで一日中ここに立っているのか』と尋ねると、彼らは『だれも雇ってくれないのです』 と言った。主人は彼らに、『あなたたちもぶどう園に行きなさい』と言った。



 夕方になって、ぶどう園の主人は監督に、『労働者たちを呼んで、最後に来た者から始めて、最初に来た者まで順に賃金を払ってやりなさい』 と言った。

 そこで、五時ごろに雇われた人たちが来て、1デナリオンずつ受け取った。

 最初に雇われた人たちが来て、もっと多くもらえるだろうと思っていた。

 しかし、彼らも1デナリオンずつであった。

 それで、受け取ると、主人に不平を言った。

「最後に来たこの連中は、一時間しか働きませんでした。まる一日、暑い中を辛抱して働いたわたしたちと、この連中とを同じ扱いにするとは!」



 主人はその一人に答えた。

「友よ、あなたに不当なことはしていない。あなたはわたしと一デナリオンの約束をしたではないか。

 自分の分を受け取って帰りなさい。わたしはこの最後の者にも、あなたと同じように支払ってやりたいのだ。

 自分のものを自分のしたいようにしては、いけないか。

 それとも、わたしの気前のよさをねたむのか?



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 一応補足しておくと、1デナリとは昔の通貨単位で、およそ1万円。

 日雇い労働者として、朝から晩まで働いた場合の賃金の相場である。

 この話において、ぶどう園の主人に相当するのが、新時代の価値観で生きる人。

 夜明けから働いていて、ぶどう園の主人に文句を言った者が、現代までの古い価値観で生きる人。



 この話を読んだ皆さんは、どうだろう?

 ぶどう園の主人の言い分と、夜明けから働いた人の言い分のどちらに共感しただろうか?

 夜明けから働いた者と、最後に一時間だけ働いた人の賃金が同じなんて、おかしい! それだったら夜明けから働いた人には、色をつけてもっと増額してあげる。または夕方5時から働いた人の賃金を減額する。

 そのどちらかでないと、納得できません! そんな感じではないか?



 資本主義社会で、実力主義・成果主義の考え方に慣らされてきた私たちは——

 迷わずこっちの考え方を採用する。

 決して、自分が間違っているなどとは夢にも思っていない。

 でも、これこそ『条件付の愛』と呼ばれるものなのである。

 皮肉な話であるが、聖書は読者を明らかにぶどう園の主人のほうの考え方にリードしているのに、クリスチャンの中でさえ、ぶどう園の主人のやり方に納得できないでいる人がいるほどだ。

『甘い!』 とか言って。 



『いい子にしてたら~をあげましょうね』

『お前がテストで100点取ったら、~を買ってやろう』

『必死に勉強しないと、いい学校に入っていい会社に入れませんよ』

『~の努力をした者が、一人前だ。それができないやつは怠け者だ。クズだ』



 そんな言葉が飛び交うのが、この世界である。

 ~したら~、つまりある条件を満たして初めて、それに見合う代価を得られる、ということ。

 一種の、交換条件ですな。

 これを、『等価交換』と言ったりする。

 この考え方の背後には、あるものの考え方がひそんでいる。

 それは……



●Aという条件を満たさない者に、Bというものをもらう資格などない

 


 ……ということである。

 例えば、1000円を持っていたら、1000円分の商品しか買えない。

 まぁ、当たり前である。

 ゆえに、お金を持っていない者は、何も買えない。1000円のものを買うには、1000円を支払わなければならない、という条件を満たせないから。

 でも、他人が困っているのを見かねて、「はい!」と1000円を差し出す時——

 それは、他者が働いてもおらず、1000円を得るに値することを何もしていないのにもかかわらず、条件付けを放棄・無視して、与える行為である。

 それが、ぶどう園の主人の立場に当たり、それは『無条件の愛』と呼ばれる。



 ぶどう園の主人は、無条件の愛でしかものを考えていなかった。

 そこに、比較や条件付けの入り込む余地はなかった。

 だから、ぶどう園の主人を理解するのは、条件付の愛の次元に生きている人には不可能だ。

 変人だ、と思うかもしれない。そんな人間、この現実の世の中では食い物にされて、大成しないと思われるかもしれない。



 でも、これからの地球は逆である。

 無条件の愛こそが、新時代のスタンダードになる。

 条件付の愛は、人間を幸せにはしないものとして広く認識されるようになり——

 それを選択する者の数が減っていくであろう。



 一切の条件なんか、いらない。

 人は、その存在自体ですでに価値が完璧なのだ。

 何をしたか、あるいはしなかったかなど、関係ない。

 私たち人間が、勝手に愛というものにさえ経済的な論理を持ち込んでしまった。

 テストでいい点を取り、いい成績を取らないと子どもを愛せない親。

 恋人や配偶者にその役割にふさわしい振る舞いを求め、自分の納得する基準に満たないと不満をもち、文句を言う人。

 それがエスカレートすれば、DVに走る。

 なんでもかんでも条件、条件、また条件。

 ~すれば、~できたら。できない人には、『あ~げない』



 世に巣食っている常識。



●~をした者は偉い。~を達成した者は賞賛に値する

●~をしなかった者は怠け者。~ができなかった者はこの資格はない



 そんなだから、この世界にはこういうことわざがある。



●『働かざる者、食うべからず』



 これは、今までは正論として成立したかもしれないが、新時代においては、過去の遺物として放棄される価値観である。

 じゃあ、さっきのことわざを新時代に合うように言い換えてみよう。



『働かざる者、食べてちょーだい!』

 


 もう、大盤振る舞いである。

 固いことは言わない、言わない。

 人は、その存在だけですでに完璧である。

 その上で、この二元性の世界で何をするかなんて、ハッキリ言って趣味の領域である。好きにしたらよろしい。それで自分が楽しければ、もう何も言うことはない。



 ちょっと誤解を生みそうなので、補足を。

 まったく働かなくていい、と言っているわけではない。

 新時代においては、仕事をイヤイヤするという行為が減っていく。

 皆さんもそうだが、好きでもないことをやらされている時って、あまり力を発揮できないと思う。

 でも、自分の大好きなことだったら、どうです?

 時間も忘れて疲れもあまり感じないで、集中して続けることができるんじゃありませんか?



 だから、新時代では皆が 『自分の興味や得意を生かす』 働き方になるだろう。

 つまり、苦労してヒイヒイ汗水たらして、大好きでもないことをして銭を稼ぐのではなく、楽しみながら働く。もっと言えば 「働くことが、事実上の遊びになっている」というレベル。

 てか、お金という概念自体、消滅するかもしれない。

 愛だけで、すべてが豊かに分配できるのだから。



 すべての物事の価値は同じなので、どうでもいいと言えばいいのだが——

 あえて、新時代を生き抜きたいならば、次のことをすすめる。



 ハートで生きてください。

 無条件の愛は、そこから生まれます。



 頭脳における思考は、ほとんど要りません。

 それをメインに生きると、余計なことしかしません。

 思考は計算高く、一時的な利益にあなたを導くことはあるかもしれませんが——

 長期的に見れば、あなたは大きな損失をこうむるでしょう。

 ハートに従い、無条件の愛を与えるなら、一時的な不利益や損害はあるかもしれませんが——

 長期的に見れば、あなたには想像もできないような、途方もない恩恵が帰って来ることでしょう。



※この記事は、別著「クリスチャンがひっくりかえる聖書物語 ~イエスが本当に言いたかったこと~」にも掲載しています。

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