第47話 ノーコメントでお願いします
9時にログインしたレストは高速でマッドネスタートルさんを2回倒した後、オオテ鉱山の方へ向かい。
10時前にログインしたアリスと合流した後、夜になる前に二人は、マッドネスモンキーと2度戦った。
そして現在、倒した後のボス部屋で、一撃でマッドネスモンキーのHPを半分削ったことや初級マナポーションの登場の理由も兼ねて、昨日あったことをレストは話している。
さすがのレストでも生命水のことやレジェンドスキルに関することは濁したが、話を聞いたアリスは。
「…色々あり過ぎ」
「ごもっともで」
オオテ鉱山のセオリー“夜の行動するな”を無視し、大樹爆破で月光という光源を作り出して進むわ。
その結果、永久的能力上昇アイテムが成る黄金の木を見つけたのに、他の素材を見つけて入手し逃すわ。
偶然新しいユニークスキルを得て、その力でマナフラワーの入手に成功したわ。
さざなみの湖で水産資源を爆破して入手や、大斧と大槌を持ったプレイヤーとフレンドになったわ。
予想通りマッドネスタートルを倒して、そこで弱い爆裂玉から使っていたことが発覚するわ。
ジト目のアリスの一言には、レストも納得せざる得ない。
「…レスト」
「なに??」
「…城塞や勇者は知ってる??」
「えっーと…なにそれ??」
「……そう」
掲示板を見ないレストは当然聞かれたことが分からず。
質問に答えた後のアリスが無表情なのに嬉しそうだったかも分からなかった。
「…次、朝のこと」
「了解」
「…恥ずかしかった」
「誠に申し訳ありませんでした」
アリスが言っているのは、マッドネスモンキーのキャンプを張っている場所で待っていた時に、レストが泥だらけで到着したことだ。
ただでさえ周囲はアリスの存在で目立っていたのに、レストが登場したことで余計に目立ち、注目度が上がった。
待っていた相手が泥まみれという点が、アリスを羞恥心で悶えさせた。
すぐにパーティ組んでマッドネスモンキーへ挑んだぐらいに。
ちなみに、ボス部屋に転移した段階でレストはいつも通りの姿に戻っている。
「えっーとマップ見て素材集めしていた時に、何処を探しても見つからなかったから」
「…地面掘ってみたと」
「いや爆発させた」
本日2度目のジト目を貰うレスト。
アリスには今日も素材集めをするだろうから、ユニークスキルのマップ機能のことは教えてある。
【採集の叡知】は拾うアイテムも知識関係無くマップに載っており、何処を探しても見つからず。
レストは地面かなと思い、地面に爆裂玉を埋めて、遠くから石を当てて爆発させていた。
「…見つかった?」
「見つかったけど…今は使えないアイテムだった」
「…使えない?」
「ちょっと待ってね…これ」
マップ見て、地面へ爆裂玉を埋めようとした時に見つけたアイテムを見せる。
レストが【宝物庫】からオブジェクト化させたアイテムは、壊れたランタンだった。
「壊れた魔除けのランタンっていうアイテム」
「…爆発で壊れた??」
「多分違うと思うよ。耐久値が無くなったアイテムって消えるから」
「…それもそっか」
「【錬金】で直せるみたいだけど、素材が足りないから、今は無理」
「…直ったら見せて」
「オッケー、その時は連絡する。で、次だけど」
「……まだあるの」
アリスは本日3度目のジト目になった。
それに視線を合わせないようにランタンをしまったレストが、次に取り出したのは装飾の無い木の指輪。
「…それは」
「これはアリスが連絡がした時あったでしょ??」
「…した」
「連絡の後、急いでたから足下を疎かにしてね」
「…あー」
「そのまま転げ落ちたら、何故か祠見つけて…これは偶然だから!!」
アリスから本日4度目のジト目を貰い、自分は悪くないと言いたげにレストは叫ぶ。
「それで偶然祠を見つけた後、マッドネスウルフに勝てますようにって色々お供えして祈ったら、気がついたらお供えしたものが消えて指輪になってた」
偶然の部分をレストは強調して言ったが、アリスは信じてくれない。
アリスには言ってないが、転げ落ちた先に小さな祠があり、小さな祠にぶつかってレストは止まった。
その際に、祠の中身が倒れてしまいヤバいかもと思ったレストが中身を戻し、大量のお供え物をして謝っていたら指輪に変わったというのが真実である。
「…どんな指輪??」
「そういえばどんな効果だろう…せっかくだから一緒に見ようか」
「…確認ぐらいしないと」
「急いでたからしょうがない」
あからさまに別の方向を向くレストで、アリスは何か隠していることに気づくが、見なかったことにした。
隠せたことに安心したレストはメニューを操作し、アイテムの情報を共有すると。
名称:古き緣の指輪
種類:装備 品質:5
耐久値:500/500 重量:1
効果:???への通行が許可される。テイム・コネクトの成功率上昇補正。特殊NPC・従魔・使い魔の好感度上昇補正。不壊。譲渡不可。
参考:支給品。廃棄することは可能。
レストはそっと視線を外す。
アリスはすーと視線を向ける。
「…ねぇレスト」
「ノーコメントでお願いします」
「…まだ何かあるでしょ。見せて、怒らないから」
いつも以上の無表情と叱られた時以上の絶対零度の声音。
レストはマッドネスベアに追いかけられた時より恐怖し、肩を掴まれて逃げられない状況に絶望し、カチカチ歯を鳴らしながら生命水を取り出して土下座した。
この光景も後に度々目撃される
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☆今回はネタバレ含みます。見たい人だけ見てね。
あれです。
最後もこんな予定では…でも書いてて楽しかったです。ごめんレスト(笑)。
まぁ、アリスは元々暴走したレストを止めるストッパー役だったのでいいですけど(それで治るとは言ってない)。
アリスの叱りは、やらかすレストに普通や常識を説き、調子に乗らないようにする意味があります。
無い場合は、ドンドン枷が外れ、最終的に短期間でゲームの終末を迎えさせたプレイヤーとなるので、アリスは非常に重要な人物。
というか最後のあれで、“親しみを持てるけど度々やらかすボス的立ち位置のプレイヤー”という立場をレストは獲得できるようにします。
前回のは正座で、今回のは土下座という違いなので間違い無きよう。
これからも楽しんでいってください。
支給品付け忘れてた。
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