第45話「大ピンチ!?」

『た、弾切れ?! この機関銃どうなってんだよ?!』


スロット2「7.7mm車載機関銃九七式車載重機関銃

        ↑

      「ヘルプ」


 ヘルプ、ぽちー



 副武装

 7.7mm車載機関銃九七式車載重機関銃


 口径 7.7mm

 使用弾薬 九二式普通実包

 装弾数 20発(箱型弾倉)

 全長 1,145mm

 重量 12.5Kg

 銃口初速 735/s

 最大射程 約3,500m

 有効射程 約500m


 九七式車載重機関銃。

 帝国陸軍で使用された装甲車両用の車載機関銃───。

 照準眼鏡と銃身保護カバーを標準装備。

 

 九一式車載軽機関銃の後継として開発。

 使い勝手の良さと、安定した弾道により終戦まで使用された日本軍の標準的な車載重機関銃。


 って───。

 おいおいおいおいおい……。


 そ、装弾数20発?!


 き、機関銃でその数?!


 そ、そんなもん一瞬で撃ち尽くすわッッ!


『───ミィナ! 機関銃にも装填してくれッ! その箱型のやつだ!』

「え? え? えええ? こ、これ?! 大きい方の弾はいいの?!」


 ミィナも突然の指示に戸惑っている。


 しかも、再装填の仕方が分からずまごまご、と。

 その様子に苛立ちを隠しきれないアルガスだが、ミィナを怯えさせるとさらに状況が悪くなるので、努めて冷静に……!


『──────そうだ、そこのポッチを押せば上の四角い箱が外せる。外したら新しい箱を勢いよく押し込んで、そのレバーを引け!

 向きを間違えるなよ!』


「う、うん!! やってみる!」

『やってみるじゃない! 早くしろッッ』


「は、はい!」


 思わず怒鳴ってしまったが、アルガスも必死だ。

 多数の敵に囲まれ、鈍器で殴られ続けている。


 装甲はよく耐えている方だが、多勢に無勢!

 しかも、敵は戦車の特性を掴みつつあり、攻撃の合間に接近しては足回りや後部の軟らかい排気筒などを集中攻撃してくる。


 くそ!!


『て、手数が足りないッ!!』


 ティーガーなら……!


 あの重戦車なら、近接防御火器のSマイン対人地雷で近寄る歩兵を薙ぎ払えるのに!!



 くそぉぉぉぉおおおお!!!


「いいぞ!! 畳みかけろおぉぉぉ! 潰せ潰せ!!」


「「「おおおおう!!」」」


 戦車の威容にも怯えない男爵軍!

 重歩兵が、戦槌でアルガスを何度も撃ち据える。


 それを履帯で轢き潰してやるのだが、段々足回りの動きが不安定になり始めた。


 死体やら敵の装備がキャタピラに噛んでいるのだろう。


「よし! いいぞ! 動きを止めて中から引きずりだしてやれ」

 やはり、中にアルガスが乗っていると勘違いしているらしい男爵。

 それでも、実際にミィナが乗っているのだ。


 動きを止められ、キューポラをこじ開けられてしまえばミィナの命はない!


「後方だ! 後ろに周りこめ! 奴の魔法も街に向けては撃てまい!」


 く──────……!


 コイツ!!


 男爵の指示で軍勢がアルガスの後ろに──街を背にした状態に占位するように動き出す。

 おかげで、強力な主砲がそう簡単に使えなくなってしまった。


 なにせ、アルガスの主砲の先にはベームスの街があるのだ。

 しかも、間の悪いことに住民が門前に集まっていやがる……!


(くそ! 邪魔だ!!)


 無人ならまだしも、あんなに人がいる方向に砲を指向するなんてできない。


 別にアルガスは聖人君子などではないが、無差別の殺戮者でもない!


「見ろッ! 動きをとめたぞ!! 仕留めろぉぉぉおお!!」


 ここで男爵自ら剣を抜くとアルガスの車体目掛けて突撃を仕掛けた。

 それに追従する男爵軍の残り約600ほど!!


 くそぉぉぉおお!!


 ダララララララララ、ダラララララララララ!!


 車載機関銃で薙ぎ払うも、あっという間に弾切れ───万事休す!!


『み、ミィナ! 早く装填しろ!!』

「う、うん!!」


 装甲を絶えず叩き続ける男爵軍の恐ろしさにミィナがパニックを起こしかけている。

 

 …………くそ、これ以上はぁぁぁああ!!


「取り付いたぞぉぉぉお!!」

「上だ、上!! さっき子供が顔を出していた場所に入り口がある!」


 ワラワラと集まりだした男爵軍。

 攻城兵器の破城槌がキャタピラに突っ込まれて履帯が動きを止める。


 そこが弱点と見たのか、息されている戦槌や戦斧、そして剣に槍を次々に足回りに突き刺す男爵軍。


 完全に身動きのできなくなったアルガス。

 その様子を遠巻きに見ていた住民が絶望的な顔つきで眺めている。


 アルガスが討たれたら、次はベームスの街の住民が討たれるのだ。

 散々、兵をコケにしたベームスの街をリリムダの男爵軍は許さないだろう。


 新たな為政者として君臨するにしても、前の住民などなくとも、リリムダの住民を移住させればいいのだ。


 むしろ、前住民など邪魔なだけ────。


 きっと恐ろしい略奪と殺戮の嵐が吹き荒れることだろう。


 それは、仇討として王国すら追認していること──────……。


 その絶望的な顔ぶれに中に、小さな人影。

 あの少女──────シーリンがいた。


 蹂躙されているアルガスを見て、そして、その中にいるであろうミィナのことを想って涙を流す。


 自分のしでかした事の重大さに気付き、絶望して涙する……!!



 ───ガコンッ!!



「きゃあ!」

 ミィナの悲鳴にアルガスが我に返る。


 身体をいくら捩っても動けないと思いきや、ついに男爵軍が砲塔によじ登り、キューポラのハッチを強引にこじ開けたらしい。


 そして、中にいたミィナを見つけると、その兵士がニヤァァァアと笑う。


「ひぃぃい!!」


 その表情にミィナが怯え、ジョボジョボと漏らしてしまった。




「うひひ! おこんばわ~。お嬢ちゃん!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます