光の戦士たち9

 「光の戦士たちシャイニングガード」逗留中の宿にて。


「ぶはっぶはー……」

「げほげほっ!」

「ぶふーーー……!」


 3人とも息がつまったかのように、ジェイスの泊まる大部屋に入って、ようやくく息をついた。

 それまで、まるで深海にでもいるかのように息もできない程の状態で、それほどまでに衝撃を受けていたのだ。


「うげぇ……水とってくれ」

「あぅー……私にもちょうだい」

「はいはい……ぐびぐび、はい」


 ザラディンから水差しを受け取り、グビグビと飲み干すジェイス達。


「ぷっはー…………あー、死ぬかと思った」

「げっぷー…………な、なにがどうなってんの?」

「むぅ………。聞いた話をまとめるに───アルガスが、あの軍団レギオンを殲滅し、ベームスに無事帰還したようですな」


 ザラディンが眉間にしわを寄せつつムムム……と唸っている。


 ───は?


「ありえねーだろ? なんかの誤報だろ?」

「だよねー……。あのノロマ野郎だよ?」

「………………ですが、他に何が考えられますか?」


 それを言われてしまうと、何も言えなくなるジェイス達。

 少なくともギルドが意図的に誤報を流すのでもない限り、軍団レギオンの殲滅なんて誇大妄想に近いものを垂れ流すはずがない。


 仮にそれが嘘や誤報だったならば、そのせいで軍団を取り逃がしでもしたらドエライことになるのだ。


 ゆえに慎重。

 この手の情報は、慎重に慎重を期されるべきなのだ。

 ギルド側とて、何度も精査したことだろう。誰だって、こんな荒唐無稽な話を鵜呑みにするはずがない。


 つまり、ベームスから、他のギルドに戦果の詳報が伝わっている時点で、精査済みの情報で、その内容物はほぼ真実だという事。


「………………アルガスが生きている?」

「し、しかも、軍団レギオンを殲滅って───私たちまずくない?」

「だ、大丈夫ですよ。直接手を下したわけではありませんし……」


 だが見捨てたのは事実。


 格安で購入したポーターならいざ知らず、曲がりなりにもパーティのメンバーを見捨てて逃走。

 しかし、

 それが一転して、見捨てられた側が一人奮戦して、敵を殲滅したなんてことが世間に知られれば……。


 いや。

 既にヤバイ……。


 だって、アルガスの報告はギルドに出回っている。

 あの野郎がわざわざ備考欄に「───ほにゃらら」と付け加えるくらいには、悪意を籠めて!! くそッ!


「あんのッ野郎ぉ~。ノロマのくせに舐めた真似しやがって……」

「いちいち備考欄に追加とか陰険よ~」

「これは許せませんねぇ。何か手を打つべきでしょう。───まずは、情報の収集です」


 そうして、ジェイス達は、あーでもない、こーでもないと頓珍漢な逆恨みでアルガスに害意を向けようとしていた。


 知らぬは、アルガス本人と高熱でうなされているリズのみ……。


 そして、リリムダの街には一日遅れでとんでもない情報が舞い込んでくることになる。

 そう、くだんのアルガスの起こした大事件について…………。


 それは皆さんご存知の、軍団殲滅の報告の直後に起こった大事件についてであり、この街にも深ーーく関わることだった──……。

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