反照 - sakanamon


 TENGAとコラボしたことが記憶に新しいsakanamon(サカナモン)。サカナといえばサカナクションですが、僕は超絶個人的かつ勝手にこの3ピースバンド"sakanamon"に親近感を覚えています。


 なぜなら、歌詞がことごとく僕の心を揺さぶるからですね。つまり、ひねくれている。

 

 そうなんです。我が道を行った結果、見事にモテず、一向に売れず、愚痴たれながら世間につばを吐くタイプの音楽です。これが僕にクリーンヒットしています。


 このエッセイでは基本的に一アーティストで一曲を紹介して、皆さまの音楽の幅が広がったらいいなぁ、と考えておりますがsakanamonはね、もう凄いあるの。ぱっと思いつくだけで四曲は語りたいものがある。しばらくは控えますが、ここでひとことでいうとsakanamonというアーティストは「ひねくれた人間が不条理と条理を叫ぶ」ことに(僕の中で)定評があります。


 今日は初回ということでかなりひねくれを抑えた曲を紹介します。短く、疾走感があり、爽やかで、切ない。これはアルバム曲でありながら、ひとみみぼれしました。日本に帰ったらカラオケでまず歌おうと思っています。


 瞬きすれば過ぎ去る青いひとときです。


 ―――――

 君の事やっと理解したんだちゃんと

 二学期前に引っ越すなんて急だね


 終わっちゃうんだ屹度

 変わってくんだ一歩一歩

 この儘じゃ何にしたって僕等はお別れ

 ―――――


 sakanamonのなにが好きって、言葉選びなんですよね。それは何を漢字で表すかという部分も含めてです。どこか硬いんですよ。二学期前に引っ越すのはすぐ分かると思うんですが、この舞台設定は小学校だと思っています。なのに「屹度」「この儘」「僕等」なんて小学生が使わなそうな漢字をあえて使っている感じが、ひれくれものとしては好きなんですよね。これは完全に僕の勝手な考えですが、こういう言い回しを小学生から使いたがるような人は(僕も含め)ろくな人間になりません。将来を約束された、なるべくして(変なやつに)なる感じが良いんです。その中の一瞬のきらめき。だから、エモいんです。


 そして、サビも一瞬。一度きり。


 2分ちょっとの曲ですから当然です。これが現実的な時のながれを表していて、素晴らしいですね。良いことは何度もおこらない。クライマックスは何度も来ない。そんなさみしいもの。この曲はここだけ聞いて貰えれば、僕はもう何も言いません。それだけです。


 ―――――

 僕が何度も

 二 三度も上げるこの熱を分かってよ

 君は何とも言わんけど

 笑う様な日々も僅かなこの季節よ


 駆け抜けた雨

 水縹みはなだの空

 鳴る虫と風

 君との話


 滴付けて煌めいた道

 今日はもう帰ろうか


 明日 又遊ぼうか

 ―――――


 いつだって煌めくのは一瞬。

 そんな一瞬が楽しくて、子供は何度も何度も遊びに出かけるのですね。





 

 反照 / sakanamon

 https://open.spotify.com/track/4Ik1f9KjoD4u7dNAU8CMEc?si=knw-wmDmRpK8XJ5k14i60A

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る