第33話 旅立ち
次の日の新聞には一面に俺が中央政府の要人を殺したと大々的に乗せられていた。俺は新聞を広げ、その一面を読んでいた。
「ったく、殺したのは俺じゃないってのになんだってこうなるんだ?」
「お主の日ごろの行いが悪いからではないか?」
「関係ないだろ。それに俺は日ごろの行いはいい方だと思うぜ」
俺は広げていた新聞を折りたたみ、レロイに視線を向けた。
「そうだよ!レロイ君の言う通りだよ。もう少し人には優しくすれば?特に私とか……あとほら、私とか!」
「お前は黙ってろ。それにお前が言ってるのは全部自分だろ」
「うぅ…」
サユハは少し俯き、狼狽えていた。
「しかし、これはないよな。賞金を四億も上げるなんてよ。四億もだぜ?」
「では、これで五十七億になったのだな」
「おめでとう!」
サユハは本気の様子で俺に祝いの言葉を投げ掛けてきた。
「全然、めでたくないだろ。ったく、この街にももういられそうにないな」
「そうだね。賞金が四億も上がったら、また狙われちゃうよね」
サユハの声にはどこか嬉しそうなものが含まれていた。
「さて、次はどこへ行こうか」
「どこでもいいよ」
「私もお主に付いていくまでだ」
「別にお前らに意見を聞いたわけじゃないんだがな。じゃあ、さっさとこの街を出ないとな」
俺たちは宿屋を出て、街を後にした。
「次はどこに行くの?」
「まだ具体的には決まってないが、北の方へでも行くか。何かありそうな気がする」
俺たちは方角を北に向けて歩き出した。
風人 水芦 傑 @highbootscat
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