第九一話:神聖ロリコーン王国
「確かに、幼女だらけだなぁ……」
俺はつぶやく。エロリィの転移魔法で俺たちは、彼女の故郷である「神聖ロリコーン王国」に到着していた。
戦災を逃れ、天変地異の影響も少なかったようで、街の中は平穏に見える。
街を歩いているの女性は、幼女と少女だらけ。しかも誰もが美しいのだ。
「神聖ロリコーン王国の国民はだいたい8歳から17歳くらいで成長が止まるのよぉ。もうね、これは国民性なのよ」
美しさという点では、その中でも飛びぬけた存在が語り始めた。
エロリィ・ロリコーンだ。この「神聖ロリコーン王国」の王女。つまり、プリンセスだ。
エロリィは自分の奴隷。奴隷化した元シルバーリングのガチホモに横座りして移動していた。
ガチホモは、街中をハイハイで移動。意外に速い。
口には、ボール型のさるぐつわのような魔道具がはめ込まれ、全身は戒めの縄でキチキチに縛られている。
更には、首には首輪とリード。そのリードはエロリィが握っている。
「あはッ、でも男は歳をとるんだな。大した男はいそうにないし」
緋色の髪の美少女が言った。スラリとした長い手足は歩くというだけで、美しさが溢れだす。
俺の許嫁のライサだ。今回の旅に強引についてきたのだ。
彼女曰く「あはッ、このビッチのロリ姫とアインを二人きりなんかにできないから」とのことだ。
「もうね! 男は『神聖ロリコーン王国』の国民じゃないのよぉ!」
ライサの言葉にエロリィが答えた。
ライサは「ふ~ン」って感じで周囲を見渡している。
顔を突き合わせるとバトルを開始する。エロリィとライサ。
シャラートがいなくなっても、その関係はあまり変わってない。
ここにライサがいるのは、俺がエロリィを説得したからだ。
凄まじく嫌がるエロリィを、俺が一晩中説得してなんとかOKをもらった。
本当に体を使った説得だった……
また俺は説得途中で、意識を失ってしまったが、それ以降、エロリィの機嫌は良いのだ。
ちなみに、そのことは、ライサには内緒になっている。
とにかく、シャラートを助けるためには、グダグダやってる暇などないのだ。
「男たちは、観光客か?」
「単なる巡礼者なのよぉ」
エロリィが言った。
「巡礼者?」
今度は、俺が訊いた。なんだよ巡礼者って、ここはなんかの聖地か……
と、考えたところで、ある結論にいきついた。
「もうね、神聖ロリコーン王国は巡礼者にとっては聖地なのよぉ。信者は大陸中に存在しているのよぉ! 王国への巡礼は信者の夢なのよぉ」
キラキラとした金色のツインテールをなびかせ、エロリィは言った。
ああ、そうか。千葉が信じている宗教ね―― その聖地だね。確かに。
道行く女性の多くが「生えてない&きていない」の理想を体現しているように見える。
俺ではない。千葉の理想であるが。
街中を歩く男たちになにか、既視感のある共通の匂いを感じていたのだが、それがいま分かった。
こいつらは、千葉の同類だ。
ただ、千葉のような己に対する絶対といっていい、ゆるぎない自信は無いような感じだ。
なんとなく、オドオドしている奴が多い。
それでも、何人かの男たちが羨ましそうにこっちを見つめていた。
俺が、エロリィとライサという美少女2人を連れているからではない。
その羨望のまなざしは、エロリィが座っているガチホモ奴隷に向けられていたのだった。
エロリィの禁呪により、奴隷と化したガチホモだ。
元はシルバーリング保持者。今は犬奴隷として生きている。
シャラートの過酷な拷問「ガチホモ危機一髪ゲーム」を経験し、そして犬奴隷として生きているガチホモだ。
男たちの視線を浴び、なぜか胸を誇らしげに張って、四つん這いで歩く。
乳首にぶら下がる、魔道具の洗濯ばさみが揺れていた。
なんで、犬奴隷が羨ましいのか?
なんで、誇らしげに、四つん這いで歩くのか?
もはや俺にも理解不能だ。
これも、エロリィの魅力と禁呪の力なのかもしれない。
「アイン! そっちはダメなのよ!」
俺が真っ直ぐ行こうとしたら、エロリィが声をかけた。
俺たちは、街の中央にある王城を目指している。
「いや、王城はあそこだろ」
俺は指を指す。それは進行方向の真正面だ。
「そうなのよ。でも、ここから先の通りはダメなのよぉ」
「まあ、そうか」
そして俺たちは通りを曲がる。
多くの巡礼者の男たちは真っ直ぐ歩いて行った。
「なあ、エロリィ」
「なによ、アイン」
「なんで、あっちはダメなんだ? 行き止まりなのか?」
「もうね、違うのよ。通過儀礼(イニシエーション)の通(ストリート)になるのよ」
「イニシエーション?」
「ここまで、やってきた巡礼者たちが、過激なご褒美をもらう場所なのよぉぉ」
なんだそれは?
過激なご褒美だ?
「神聖ロリコーン王国の技を極めし、精鋭がこの通りにひしめき、通りを歩く男たちを襲うのよ。そのイニシエーションに耐えたものだけが、王都に到着できるのよ」
千葉だったら、歓喜の涙を流しながら、この通りを突っ切りそう。
でも、今はエルフだからなぁ……
エロリィはその碧い瞳を妖艶な色に染めながら、俺を見つめた。
「もうね、アインには、私だけがイニシエーションしてもいいよの……」
金色の長いまつ毛が沈み込み、青い瞳に淫靡な色をともらせる。
チロっとピンクの唇から赤い舌を出して指を舐めた。
「あああ、ビッチくせぇ! プンプンとクソロリビッチの匂いがする! ね、アイン」
ライサはそう言うと、後ろから俺の抱き着いてきた。
ふわりと、長く緋色の髪ゆれ、超絶美少女独特の香りに包まれる。
「あはッ! アイン疲れたからチュウして」
「なによ! アンタみたいな、筋肉女が歩いて疲れるわけないのよぉ!」
犬奴隷を飛びおおり、ピョーンと前方から俺に抱き着くエロリィ。
2人の許嫁にサンドイッチ状態。
もうこうなったら、仕方ないのだ。
俺は、2人にベロチュウをしながら、おっぱいを揉む。
体の美しいラインに連なる、ライサのおっぱいは、一級品だ。
その細い腰から連なるラインの頂点にそのおっぱいは存在する。
それは、完成された一つの芸術だった。
「あはッ! アイン、アイン好きッ! はぁ……」
彼女は、俺から口を離し、快感に貫かれた荒い呼吸を繰り返す。
そのルビーの瞳が潤んで蕩けている。
エロリィのフラットで流麗なおっぱいは至高だろう。これは世界遺産に認定してもいい。
指先でクリクリするたびに、敏感に震えるその身体は可愛いらしさの結晶体だ。
まさしく、北欧の美の女神がコールド負けするレベルの美貌の幼女。
彼女が、俺の口を貪っているのだ。
「あああ、らめぇ~ アインは、ベロチュウもクリクリも無敵になっているのよぉ~」
ビクンビクンと脈動のように体を震わせ、エロリィがギュッと俺にしがみ付く。
街中で、彼女たちを可愛がってあげるのは、許嫁として当然の義務だ。
しかしだ。俺は自分の右手を見つめた。
ああ――
あの柔らかく、究極の弾力をもった最強のおっぱい――
最初の俺専用のおっぱい。
シャラートだ。
どうしても、シャラートのことを思い出さずにはいられないのだ。
ライサのおっぱいもいい。素晴らしい。
エロリィのおっぱい。いや、ちっぱいとも言うべき存在もいい。
しかし、俺にはシャラートが必要だった。
おっぱいだけじゃない。その全てが必要だ。
助ける――
俺はシャラートを助けるんだ。
そのために、俺はここまで来た。
この「神聖ロリコーン王国」にだ。
「行くぞ、ライサ、エロリィ」
「あはッ、すごぉッ…… そんなぁぁ、アインのせいで…… あはッ、いいぃぃ~」
「ばかぁぁぁ~ もうね、アホウなのよぉ…… にやあぁぁぁ~ らめぇ~」
二人はアヘ顔でへたり込んでいた。
そんなに気持ちよかったのだろうか。まあ、悪い気はしないが。
しかし、どうみても歩ける状態じゃなくなった。困った。
『あははは! アインのベロチュウとおっぱいもまれて、コイツらグチャグチャだわ。ねえ、めんどくさいから、殺す?』
俺の中に引きこもる精霊、サラームが言った。
『アホウか! もう、そのキャラはそろそろ捨てろ』
第二次ノンケ狩戦争では、この精霊のおかげで勝利できたともいえる。
俺と一心同体の存在だ。
今も表面上は、命を軽んじる言葉を連発するが、少なくとも俺の身内に対してはそんな態度は取らないことは分かっている。
『精霊のプライドにかけて、捨てるのはいやだわ』
『どんな、プライドだよ……』
俺は、ぐったりしたライサを背負い、エロリィを抱っこする。
疲れを回復させるどころか、二人ともトロ顔でヘロヘロになってしまったのだ。
どうも、最近ベロチュウも、おっぱい揉みもパワーアップしてきているような気がする。
やはり俺の魔力回路が7個もあるせいだろうか?
『あーあ、あっちいれば、アニメ見放題だったのに……』
『結構観ただろ?』
『そうだけどね……』
サラームはエルフの千葉のPCで暇があればアニメを堪能していた。
PCは千葉も使うことが多く、ずっと借りられたわけではないが、それでも相当観たはずだ。
エルフの千葉は戦災&天災復興大臣に任命され、多忙を極める毎日を送っていた。
なんでも、王都の候補地に視察にいくとのことで、今回は動向していない。
それでも、しばらく一緒にいた間、千葉の持ってきたPCに保存されているアニメは結構観たのだ。
『あ~ 新作観たいわねぇ、今頃なにが、アニメ化されているのかしら……』
完全にヲタと化している精霊がつぶやくようにいった。
12年間いた日本を懐かしんでいる。
アニメを見たせいかもしれないが。
オマエの故郷はこっちだぞ、と言ってやりたくなる。
まあ、思えば、コイツをヲタにしたのは俺なのであるが……
考えてみれば、この精霊と出会い、コイツをヲタにしたせいで、今の俺がある。
そう言ってもいいのかもしれない。
「とにかく行くぞ」
俺は自分に言い聞かせるために言った。
精霊のボヤキを脳内で聞きながら、神聖ロリコーン王国の王城に向かい踏み出したのだ。
◇◇◇◇◇◇
王城に着くと、大歓迎だった。
当然だ。まさに俺たちは凱旋将軍のようなものなのだ。
しかも全員、幼女か少女なのだ。
しかし、いそぐのだ。
神聖ロリコーン王国の女王との謁見が終わり、俺たちは目的の場所に向かった。
ちなみに、女王はエロリィそっくりだった。親子というより、双子にみえた。
「なあ、エロリィ、完成しているのか、本当に」
「古代魔法文明研究所からの報告では、完成したってあるのよ」
俺たちは城内を歩いていた。
当然、護衛、案内の人たちも一緒だ。
それも、全員幼女か少女。
まさに、ロリコンの夢の国だ。
エロリィの故郷である「神聖ロリコーン」王国は、単にある種の男たちの聖地であるだけではない。
古代魔法文明の研究においては、最先進国といっていい国だった。
エロリィの使う「禁呪」もその研究の結果、生みだされた技術体系だ。
精霊の力を借りることなく、人間の魔力だけで、物理世界に干渉する技術。
それは、時空干渉、次元超越すら可能とする。
俺はこの世界に転生し5歳まで過ごした。
しかし、ある事件でオヤジと一緒に次元転移してしまう。
日本に戻ってしまったのだ。
そして、高校生まで俺は日本で生活。
その俺を異世界に連れ戻したのは、エロリィの「禁呪」だった。
転移能力に関して言えば、俺のオヤジ以上だろう。
「聖装衣・エローエか……」
俺はその名をつぶやいた。
それは、古代魔法文明で使われた特殊な衣装だ。
身に付けた者の、魔力にブーストをかけ、禁呪の威力も増大させるというものだ。
「イオォールにも跳べるのか?」
「飛べるわね。もうね、ブーストされた禁呪の前には全ては、無力なのよぉ! 結界なんて意味ないのよ」
なんか、この服のことは前にも聞いたことが有ったような気がした。
もう、異世界では色々なことがありすぎて、思い出せない。
まあ、思い出せないということは、重要なことではないのだろう。
今、俺にとって重要なのはシャラートを助け出すことなんだ。
「ここが、古代魔法研究所です。ここで、見聞きした物は絶対に他言できません――」
ここまで案内してきた、少女が言った。
これも、美少女と言っていいレベルの少女だ。
「分かってるのよ! もうね、私は王女だし、アインのお嫁さんになるんだから」
「あはッ! 私は見てもよく分からないしさ。大丈夫だよ」
ライサはニッコリ笑って言った。
そして、俺たちは、城内地下にある「古代魔法文明研究所」に入ったのだった。
ここで「聖装衣・エローエ」を入手すること。
それが、俺の目的だった。
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